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「まえがき」  親愛なる可奈子へ~ わたしのなにが羨ましいですか?

 これは、還暦近くになってやっとわかった自分の性的感情。わたしはノンセクシャルだった・・・

 そんなわたしが、昭和という時代に飲み込まれて、次々に寄ってくる好きでもない相手と交際を余儀なく迫られ繰り返した結果、内面では傷ついていても言葉に出せなかったこと、まだ子供なのに大人のどろどろした恋愛事情を突き付けられて、しりぬぐいの手伝いまでさせられて、どんどん自分が嫌いになっていった。そんな言いたくても言えなかった出来事の裏側を書いていきます。失っていた記憶を辿っての文章なので、感情の不足部分はご容赦ください。

 いつ頃からか、【モテ期】という言葉を耳にするようになりましたが、わたしには、そういう【期】とかやらは無くて、自分の意に沿わないのに【居るだけで誰かが寄ってくる】そんな状態でした。


 でも、本当のわたしは、男とか女とか、そういう生き物が大嫌いです。

 男という生き物は、どいつもこいつも人のことを下から上まで舐めまわすように、いやらしい目線で見てくる奴ばかり。

 そしていつも決まり文句のようにこう言って近寄ってくるのでした。

「ねえ彼女、足がきれいだね」

 若い頃は自分の感情がわからなくて、その言葉にどんな意味が含まれているのかもわからなかったので、差し障りのない冗談で交わしていました。

【ええ? また足? 誰も顔を見てくれないのね・・・】などと、作り笑みで誤魔化していました、自分の気持ちも相手にも。

 小さい頃から周囲の顔色を見て育ったせいで、下手なことを言えばどうなるか、想像がついたからです。

【揉め事が一番精神をすり減らせる】ということが解っていました。

 今でも誰かが喧嘩をしたり、大声で怒鳴っていたりすると体が反応して、極度に疲れて寝込んでしまう事もあるくらいです。

 でも、この歳になって改めて思うのですが、男のいやらしい目線や身振り素振りは、思い出すだけで虫唾(むしず)が走ります。


 道を歩けば車で付きまとわれ、電車に乗れば卑猥(ひわい)な物を体にこすり付けられ、バイト先でも客にスカートの中に手を入れられたこともあります。

 もうすぐ還暦だというのに、未だにエロい目線を送ってくる男はいて、精神科でのデイケアーに通っていた時には、年下の男に【スズさんって女らしいねー、仕草が上品ですき】と言われて寒気がしました。

 わたしのことを【女】という目線で見る男がいるだけで精神が悪化するのです。

 まさかの! 整形外科のマッサージ師に、わいせつな行為を受けたこともあるのです。

 でも、当事者もその関係者も世間も、そういう事をなんとも思っていないようで腹立たしい限りです。そういう心無い言動が、人をどれだけ傷つけているのか、ということをちゃんと考えて欲しいです。

 世の男性陣! そういう【悪気のない悪意が一番の暴力だ】ということを自覚してくださいね‼



 また女という生き物は、何かにつけてネチネチと執念深い者である。

 自分にないものを私に見つけた途端に、(ねた)んでひがんで、それを取り上げようとすぐに群れては嫌がらせを繰り返す。

 またそのやり方が陰湿で卑怯だ。さも自分は何もしていないようなふりで、他人を利用して嫌がらせをさせるという有り様。嘘をでっち上げて私を悪者に仕立てるのです。そうすれば誰かが加担して代わりに苛めてくれるという算段をする、全くもって始末の悪い生き物なのだ。

 いくら他人(ひと)(ねた)んでもひがんでも、他人(ひと)の者を欲しがっても、仮にそれを奪ったとしても、本当に欲しい者やその他人(ひと)と同じものなんか絶対に手に入る訳がないのに。

【全く、暇だなぁー そんな事やってる前にもっとすることあるだろう! こっちは、お前らになんか一ミリも興味がないんだから関わって来るな!】って、ずっと思ってました。ある意味、そういう言葉をぜんぶ口に出せる輩が羨ましいです。



 ねえ可奈子?モテるって、そんなに羨ましいことなの?

 中学の頃から20年以上の親友だった可奈子に言わせると、わたしは、「モテる」らしい?・・・のですが、

 わたし自身、そんな自覚は持ち合わせていなくて意識したこともない、そういわれてもぜんぜん嬉しくもないのです、むしろ鬱陶しかったし、怖かった。

 そのせいで、わたしは何度も仕事を辞めなきゃならなかったし、引っ越しをせざるを得ない状況にも追い込まれたのです。

 そこまで追い込まれた人の気持ちわかりますか?



 究極のことを言ってしまえば、

 わたしにとっての恋愛は、結婚に繋ぐもの=あの家から逃げる、あの家と縁を切るための唯一の手段でしかなかったのです。

 たった一度だけの純粋すぎる想い、心から尊敬し本当に大好きな人を守るためだと信じて自ら彼を遠ざけた幼いあの日。あれからわたしは誰も好きにはなれなかった。

 今でも忘れられない彼のことを無理やり諦めて遠ざけて、どんどん自分の事が大嫌いになった・・・

 それでも、彼の事が好きで私を妬んでいる女が、彼の近況を逐一報告してくる、それも嘘交じりの嫌がらせで。その女には、小学生の頃にしつこく苛められて彼を遠ざけたのに、また中学生になっても卒業しても、成人してからも嫌がらせは続いた・・・

 どうして? もう彼とはずっと関わっていないのに・・・ と、いつも疑問だった。

 今でも、どうして彼女があんなにも長い年月、執念深く私に彼の情報を流していたのか? 理解に苦しみます。何がしたかったんでしょうか・・・



 そんなんだから、いつしかどんどん

【わたしなんか、どうせ幸せになれるわけがない】と、思うようになっていて、

 だから、わたしにとっての恋愛と結婚は何の意味もない、夢も希望もないものでした。

 時代がそうだったと言えばそうなのかも知れないのですが、ただただ、

【あの家から逃げるには結婚するしか方法はないんだ】と、思っていただけだったのです。だから、好きでもない男に押し切られて交際することばかりでした。なんの感情もなく、ただただ求められるがままに・・・



 たかが生まれた家が悪かったというだけで、保育園から小学校卒業までずっと、男子にからかわれて苛められて、でもなぜか? 中学生になると男子の友達がたくさん出来ました。

 入学式の日から同じクラスに二人の男子の友達が出来て、学年とクラスが変わる度に新しい男子の友達が増え、みんな卒業するまでいい関係で居てくれました。今でも、同年代の女性は好きではなくて、年齢は問わず、こういう関係性で居てくれる男性の方が話していて楽なのです。

 そういう男子の影響なのか? 小学生の頃に少し遊んでいた男子達も、より近しい友達になったりして、

 中学では「男女の垣根を超えた友達」という感じの優しくも温かい関係性を保ってくれた男子がたくさん居ました。ある意味、彼らも生きづらさを経験していた人達だったのかも知れませんね。

 彼らは、何かあるとすぐにかばってくれて、私の存在を尊重してくれました。決して否定することはなく、ちゃんと話を聞いてくれました。だから私の人生の中では、中学校の三年間が一番楽しかったのです。意地悪な従姉(あね)も婚期間近で、自分の事で精一杯だったのでしょう。エリートの旦那に良い顔を見せるために、随分と良い姉を演じてくれていました。その上、普段は家に寄り付かなかったので、私は人生の中で一番、自由に生きられた三年間でもありました。

 お陰で男女ともに友達も増えて、大好きな彼を廊下越しに見ながら切ない気持ちを抱えていたけど、以前よりも気持ちがまぎれていたように思います。 あの女が嘘まで作り上げて、私に彼の近況を流さない限りは・・・



 でも、そんな中でも苦い思い出もあります。

 友達に頼まれて告白の手紙を渡しにいったら「俺はお前が好きなんだ。付き合ってくれ」と迫られて、どうしていいのか?わからなくて途方に暮れました。

 また、伯母の宗教がらみの息子さんが2つ上の先輩で、親がらみの知り合いだといういことで、部活の部長としても色々と良くしてもらったのですが、それを妬んだ女狐(本当に狐顔だった)に、学校の裏庭に呼び出されて三人寄って嫌がらせをされたこともあります。

 でも、その瞬間

【ああ、この人、先輩のことが好きなんだなぁ、でも先輩には彼女がいるし、それに先輩はあなたみたいな人を相手にしないよ、あかんべー】と、心の中で思っていました。

 他人のことをそんな風に思ったのは初めてでした。



 その後も、どうしてか? わからないけど・・・

 高校中退して働くようになると急に男の人に付きまとわれるようになりました。そこに居るだけで声をかけられるようになったのです。

 悪いことばかりではなく食事に誘って貰ったり、娘や妹のように可愛がってくれる人も多かったのですが、どうもわたしは鈍感というか素直というか、見たままに(とら)えていました。【いい人だなぁ、優しい人だなぁ。ありがたいなぁ】と。


 すると、ある時、中学からの親友の可奈子にこう言われました。

「スズはモテるから良いよね! 昨日なんか若いかっこいいお客さんに手紙を渡されたから『私だ!』って思って喜んだのに【これ、日曜日のバイトの女の子に渡しといて】って言われたんだよー ショックだったわー、【ええーー、またスズなのー?】って思ったわさー・・・」

「あんたさー いい加減、自分がモテるってこと自覚しなよー

 どれだけの男が今まで告白する前にふられてると思ってんの⁈ それ解ってるの? いい加減に悟れよー!」って・・・


 今だから言葉にできるけど、

【でもさ、可奈子? わたしのことをモテるから羨ましいっていうけど、行くとこ行くとこで男に付きまとわれて、夜歩いていても車でつけられて「ねえ彼女、遊ばない?」とか言われてさー、どんだけ怖かったかわかる? 可奈子は大好きな浜ちゃんとずっと付き合ってて、結婚して子供も生まれて、そっちの方が十分に羨ましいことなんだよ。 本当に好きな人と添い遂げられるなんて滅多にないんだよ! 可奈子こそ、それ解って言ってるの? あんな優しい旦那さんは滅多にいないんだよ! どんな我が儘も受け止めてくれてるよね? それちゃんと感謝できてるの?】

 って、一方的に言われるだけじゃなくて、あの時、そういえたら良かったな・・・


 私だって、大好きな人とずっと一緒に居たかったよ。あのまま何もなくて、みんなのように自由に人生を選べて、自分のことを好きで居られたら、きっと彼と幼なじみのままで居られたと思うんだ。

 そしたら、わたしだって、きっと・・・


 でも現実は、好きでもない男にしつこく強引に付きまとわれて

「好きです!付き合ってください!!」って、二か月もバイト終わりに待ってる奴とか、可奈子は「野郎さん、いい男で羨ましいわー」って、真っ先にいったけど、余りのしつこさに断れなくて付き合っただけだよ。それに、彼は一般人じゃなかったしね・・・

 バイトの帰りに先輩の由美ちゃんと歩いていたら、おっきなワゴン車に横付けされて「ねえ彼女、乗ってかない?」って言われてさぁ、振りむいたら由美ちゃんが乗ろうとしてて、それ必死に止めて、由美ちゃんの手を引いて必死に走って逃げたことだってあるよ。

 朝、バイトに行こうと玄関を出たら家の前に車が止まって

「ねえ彼女~遊ばない?」って、ガラの悪い不良が二人、一人が降りてきて・・・

 また違う日は、「ねえ彼女、一緒に温泉行かない?」って、ガラの悪いオッサンが二人も乗ってて・・・めちゃ怖かったんだから!

 何処に行ってもこんな事が何回もあったよ、一緒にいた友達はみんな着いて行こうとするから「危ないからだめ!」って必死に止めて、

 でも、うちには助けてくれる大人なんか居ないから、男たちには必死に虚勢を張って見せたけど、いつも心の中は不安で

【このまま拉致されたらどうなっちゃうの?】って、本当に怖かったんだよ。

 そういう気持ち、可奈子にわかるの?


 それからも、なぜか? わたしは、自分につきまとう男に苦悩するだけでは済まず、大人たちの裏のどろどろした恋愛事情を見せられ、聞かされ、しりぬぐいの手伝いまでさせられる羽目になったのです。

 まだ17か18歳の私に、一回りも上の大人達が見せる【どろどろした男と女の恋愛劇】は、私の人間不信に、より一層の拍車をかけることとなりました。


 こうして、書きながら思い出したことですが、あの頃の私はナンパされるということに強い嫌悪感を抱いていました。だから、もしかしたら大きなチャンスを逃していたのかな?と思うところもあります。

 実は、名古屋でも東京でも、何度かスカウトをされました。でも、当時の私はその全部が怪しく思えて仕方がなかったのです。

「あの、すみません。少しお時間ありますか? こういうものですが・・・」と言われただけで拒絶反応が出てしまっていたように思います。

【スカウト? どうせ怪しいやつでしょ? 変なビデオを撮られたりとか、風俗に連れて行かれたりとか、どうせそんなもんでしょ?】と思っていたので、つんとした態度であしらって聞く耳を持ちませんでした。

 思えば、皆さんきちんとした身なりの方で、礼儀正しく丁寧に名刺を渡そうとして下さっていました。もしも、それが、わたしが思っていたようなものではなかったとしたら今頃は・・・



 そういえば、すっかり忘れていましたが、実際にチャンスはあったのでした。

 16か17歳の頃、友達に着いてスクールメイツのオーディションを受けた時も後から家に連絡が来て「うちの事務所に入りませんか?」と言われたのですが

【わたしなんかには無理だ、この家では絶対に無理だ】と思って頑固なまでに断っていました。 

 その後もバイト先で「プロの卵」だという男子に声をかけられ、バンドのキーボードに誘われたのですが、【わたしなんか・・・】と思い、断りました。あの時なぜ、彼がわたしに声をかけてくれたのか?は、未だに不明です。


 その頃のわたしは、もう、既に自分に自信がなくて、夢も希望も失くし、人生を諦めていたのです。従姉(あね)に散々なまでに全てを取り上げられ、もう二度と立ち上がれないほど潰されたから・・・ 

 でも・・・ もしも、あの時わたしが何らかの形で芸能界に入っていたとしたら、私の人生は違っていたのかな?・・・ なんてことを、ふと思う今日この頃です。


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