"聖餐"
少年は集まった僕たちに一礼すると、テーブルに横たわる
僕たちはテーブルを四方から取り囲みながら、手を繋いで立っていた
静謐な部屋だ
礼拝堂は総て、白を基調として建造されている
銀色の様々な形をした、肉を切り分ける道具を乗せて
数名の子供達に押されて台車が運び込まれる
聖餐の前の腑分けが始まろうとして居た
数名の間で眼配せが交わされたあと
僕は切っ先のとても短い銀色の刃を持って、まじまじと視た
腑分けは生死を考慮しない
しかし、切り口の美しさは絶対のものとして常に要求されていた
横たわった少年が僕を視ている
その瞳の頷くのが解ったため、僕は彼の白く冷たい腹部に刃を押し入れた
透き通った皮膚の内側に浮かんだ、青い血管の流れが視える
握った切開刃を通して、生きているものを切り開く感覚が伝わってくる
もう一度視ると
少年は瞼を降ろし、青褪めた顔で唇を僅かに震わせていた
紅い、彼の入り口から
指を入れると、中身が温かかった
昂奮を覚えて内側のあちこちを触ると
少年が呻いて、唾液を溢すのが視界の端に視えた
心配そうに視る
彼が、手の甲を自分の眼に当てながら、「いいよ」「続けて………」と答えた
中を探って、最初に手に触れた果実を引き出す
少年は生命が弱ってきたのか、心臓の鼓動が小さくなっていたが
それでも正確に打たれ続ける脈の動きに合わせて、果実は弱々しく動いていた
いつしか、最初手を繋いで立っていた子供たちは
僕の傍らに、厳かに整列して順番を待っていた
一人目が僕から、腑分けされた果実を受け取る
二人目が僕から、腑分けされた果実を受け取る
三人目が、四人目が僕から、
腑分けされた果実を受け取る───
子供たちが、全員聖餐を手にし終える頃
テーブルの上の少年は満足げな顔で、冷たい躰を横たえ、動かなくなっていた
皆が果実と盃を手にしたのを確認し、僕は『最後の一つ』である心臓を切り取ると、指で摘んで顔に近付け、舌を這わせた
白砂糖よりも甘く、かぐわしい
聖餐が始まった




