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孤独の棋士  作者: ばんえつP
虎王編-意地と意地-
33/81

【番外編】事件を呼び寄せる男

今日は番外編です。

龍棋戦はそれぞれ谷本と村山が勝利した。よってベスト4は河津、味谷、谷本、村山に決まった。特に虎王戦と同じ顔合わせとなったのが印象深い。虎王戦第五局はしばらく後の為、先に龍棋戦の挑戦者が決まる。


「次戦は河津味谷戦か。また面白いモノが見られるな。」

今度の対局はかなりの見物人がいるだろう。


河津は新しい詰将棋本を買いに出掛けていた。次戦での対策になると考えての行動である。道中の公園で見慣れないモノを見かけた。

「ん?なんだ?」

そこにあったのは若い女性の遺体だった。第一発見者となってしまったのだ。

「ちっ、面倒だな。警察呼ばねえと更に時間食われるな。しかも向こうは逝ってるから営業妨害で訴えることもできねぇ、くそったれ!」

河津自身、前に千駄ヶ谷の駅から飛び込んだ地雷女を見ていたり、師匠が入水したりとこういうのを見ているタイプである。その為別に今回の遺体に対して恐怖心は湧かなかったが、時間が食われることに対して悩んでいた。

とりあえず110番をした。その間触れずにその遺体をまじまじを確認してみることにした。とても可愛い顔をしている。目を虚に開いており、涙の痕が残っている。首を絞められたことによる窒息が原因だろう。吉川線も残っている。つまり殺人だろう。

「意外と将棋以外のことを考えるのも気分転換になるんだろうな。」

デリカシーの無い発言だが、そもそもぼっちの彼にデリカシーを学ぶ機会など無かったのだ。

「まぁ俺にはあまり向いてないようだ。やっぱり詰将棋を考える方が良いな。」


10分後、警察が到着した。警視庁の松岡、北村事件の時の捜査員である。

「で、貴方が第一発見者と言うことですね。」

「あぁ、公園通ってたらその女がくたばってた。俺は一切触ってねぇぞ。」

「なるほど、この公園は夜間人通りが少ないですから、恐らくその頃に…」

「俺は詰将棋について考えてる。何かあったら言ってくれ。」

「はい」


「全く北村事件の時といい、彼は将棋中心でモノを考えている。プロだからだろうけど、あまりに冷酷過ぎるな。」

松岡は河津の顔を覚えていた。あの時取り調べを担当したのは他ならぬ彼である。


「被害者の身元、解りましたよ。女性棋士の人ですね。」

「女性棋士?」

「はい。小野寺渚先生のような人がいる場所をプロ棋士と言っていますが、女性版の棋士組合もあるんですよ。それが女性棋士です。被害者の彼女は、その女性棋士でかなり有名な棋士だったようですね。」

若手の刑事が松岡に教える。

「将棋関係の事件ってことか。」


河津は身体検査等を受け解放された。時間を取られたことに苛立ちを覚えていたが、待っている間は詰将棋を考えていたのでそこまでロスはしていないようだ。ただこれで万が一味谷に負けるようなことがあったら大変である。


「それにしてもこの女性棋士、可愛いな。」

「とりあえず防犯カメラの映像とか、その辺見ておいてくださいね。」


事件の方は割とあっさり片付いたようだ。犯人は同じ女性棋士の人だったようで、刑事の星野が捕まえた。第一発見者となったときは時間を取られると心配していたが、杞憂に終わった。


「ん?河津が女性殺人事件の現場に居合わせたと。はぁ、犯人は捕まり解放されたと。」

木村が松岡から電話を受けていた。犯人じゃなかったのでとりあえず一安心である。


そして対局日、河津と味谷が対局場へ入る。重々しい雰囲気で対局が始まる。勝った方が挑戦者決定戦へ進む。まだ谷本村山戦も始まっていないが、兎も角どちらかと戦い勝てば挑戦者である。


「番外戦術なんて将棋とは無縁だ。そんなことをする奴はさっさと辞めちまえ」

「若造が、誰からも応援されない哀れな棋士など必要ない。お前が辞めるんだな。」

河津はなんだか事件や事故に巻き込まれやすいようです。師匠の入水、地雷女の飛び込み、北村駿殺人事件、そして今回の事件。探偵漫画でしょうかね…


刑事の松岡と星野は久々の登場です。

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