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孤独の棋士  作者: ばんえつP
孤独の努力編-天才との格差-
13/81

棋士総会

今回は番外編です。

「先日の挑戦者決定戦。谷本会長の行動はどう考えても不適切である。」

棋士総会で村山は声をあげた。


棋士総会。それはプロ棋士が集まり、将棋界の今後について考える会である。

今回、谷本浩司及び谷本花子の行動が問題視されていた。本来棋士総会は会長が主導権を握るが、今回は代理で理事の木村が担当した。


今回の件で声をあげたのは村山の他に味谷、萩原、小野寺だった。河津は別にどうでも良いという感じである。


「谷本会長は一体何をしたのか、しっかり教えてください。」

北村が発言する。みんなの前なのでメンヘラモードではない。

「村山八段は、説明してください。」

木村が話を村山に振る。


「今回、王棋戦挑戦者決定戦、谷本河津戦に於いて、谷本浩司が自身の妻である谷本花子を対局室へ呼びました。その後、配信媒体が広告中に、浩司が勝ちますよねなどと言った圧をかける発言をし、対局者である河津稜の妨害を行いました。対局当事者でない、谷本花子の行動は問題であるとともに、それを容認した谷本浩司へも言及したい。」

谷本がその発言を聞きすぐ発する。

「うちの奥さんを悪く言わないでおくれ。確かに花子は対局室には来た。しかし、対局室に入るのは問題ではないはずだ。実際、観戦記者の八乙女も入っているし、プロ棋士も時々入るだろう。それに、浩司が勝ちますよね?でしたか。言った証拠はあるのでしょうか。口裏合わせでそのようなことをされたら冤罪ですよ。」

言及した村山、味谷、萩原、小野寺が組んでいれば、谷本を陥れるための罠と捉えられるのだ。実際、北村はじめ、多くの棋士はこの事実を知らなかった。木村も注意深く話を聞く。

「とりあえず、対局相手の河津五段。ありますか?」

河津は一言

「聞こえたが無視をした。」

と証言した。

しかし河津も当事者であり、陥れるための口実ができてしまう。実際今回の件を知らない棋士は以下のように答えている。

赤島「もしも谷本花子さんが対局室でそのような発言をしているのなら、誰か止めるはずです。対局者の河津五段が無視をしたとしても、記録係は止めるはずではないですか?」

北村「正直言って嘘っぽいなという印象です。証拠があれば自分も完全に信じれるのですが」

木村はこの状況じゃ埒が開かないので、当時の記録係を呼ぶことにした。

記録係が招喚された。木村は早速話を聞く。

「谷本花子氏が浩司が勝ちますよねと発言したのは事実ですか?」

記録係はすぐには答えなかった。1分ほどの沈黙の後、谷本の目を見て

「い、いいえ…違います…」

と力無さそうに呟く。村山らは買収されていると直感で感じ取った。木村も何か隠していると思いつつも、記録係を追い詰めることになるため何も出来なかった。更にはやっぱり違うのか!という声もあがりだす。当然やった証拠を出すこともできず、採択に入る。

谷本浩司の行動に対して処罰を与えるかの問いに賛成8、反対126で否決された。

賛成者は河津、村山、萩原、味谷、小野寺、新庄、藤井、白河であった。北村などは谷本を信じた。中には会長側につかないと不利なことをされるかもしれないと思った人もいるだろう。なお木村は審判として中立な立場をとる。


数日後、賛成者の家に無言電話が掛かってくる。恐らく花子の仕業だ。


「谷本も昔はあんな奴じゃなかった。やっぱり結婚してからおかしくなったように感じる。特にここ最近はおかしい。」

味谷はボソッと声を出す。小春はそんな味谷に

「昔はどんな人だったの?」

と聞いてみた。

谷本がプロ入りした当時は、絶対王者の大山悠晴(おおやまゆうせい)十五世名人と中原真一(なかはらしんいち)十六世名人がおり、将棋界は彼らを中心に回っていた。そう、そこに期待の新星としてやってきたのが谷本である。

当時は好青年といった雰囲気であり、味谷はそんな谷本を少し妬んでいた。後に起きる上座事件もこの時の妬みが一つの原因である。

「当時は俺も谷本も若かったから血の気も多かったのさ。まぁ今でも時々あるけどね」

谷本は小野寺とは違う雰囲気があった。小野寺は誰からも愛されるキャラクターだが、谷本はそれとは違う。愛されるというより、少し上の世代からは生意気と言われることもある。

「好青年だが、嫉妬を買いやすい性格だったんだよ。今みたいに露骨に反感を買うことはなかった。」


木村は家に帰り、谷本と村山どっちを信じるか悩んでいた。

「どっちが本当なのか…」


「そうだ、俺たちが隠れて見れば良いのか。」

最初の時に比べて味谷と谷本の評価が変わってきました…


谷本浩司自体は悪い人ではありません。簡単に言うと操られています。

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