表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤独の棋士  作者: ばんえつP
孤独の努力編-天才との格差-
11/81

内弟子&ヒフミとコハル

今回は内弟子の話と味谷一二三の妻の話です。

番外編的な感じでご覧ください。(土曜日はイベントのため投稿できませんでした…)

内弟子。それは師匠の家に住み込んで将棋の勉強をする弟子を指す。河津は羽島の内弟子と言える。(もっとも河津は家が施設なので住み込みせざるを得ない状況だったが)

内弟子だからと言ってラブコメに発展するなんて考えはラノベを読みすぎている証拠である。現実問題、内弟子なんて羽島と河津みたいな関係を指す。

のだが、最近、新庄の所に内弟子ができた。しかも女性、というより女の子である。新庄に憧れて弟子入りしたそうだ。

ここで憧れという気持ちについて考えてみよう。小野寺はかつて谷本に憧れていたが、それでは谷本を越えられないとの考えから憧れの棋士はいないと話すようになった。憧れというのはどこかで自分はその人より下であると認めているのである。そう、越えてやるという気持ちが大事である。

実際新庄がその内弟子のことを話したら、小野寺は「その人は大成しませんね」と話し、味谷は「憧れなら辞めさせろ」という始末である。

村山は新庄の内弟子に直で会ったことがある。その女の子は花田希空(はなだのあ)といい、女子小学生ながら小学生大会でかなりの成績を収めていた。村山は憧れというのは特に気にしておらず、内容について考えていた。花田は大会で穴熊しか指していなかった。完璧な受け将棋である。木村に似ているといえば似ているが、どこか木村とは違うのだった。

「憧れとかは気にしない。小野寺や味谷は憧れてたら負けというが、俺はそう思わない。兄に憧れているからだ。」

憧れていてもプロにはなれるのだ。ただし、恋愛感情だけは敵であるという認識である。


八乙女は花田についてこう記す。

「好きな人に憧れてプロを目指そうとするその姿勢は可愛らしいが、この世界はそんな恋心でクリアできる世界ではない。」

憧れの心を恋心と記したのである。女性目線だとあの雰囲気、あの姿勢は恋なのだという。

そうなれば村山の恋愛感情は敵という話で、村山も花田が大成しないという考えになってしまう。

八乙女は花田の憧れをイコール恋とし、村山は花田の憧れは恋ではないと考え、味谷や小野寺は憧れの時点でアウト。花田希空は果たして大成するのだろうか…新庄は花田の憧れ心を大事にするようだ。


恋というのは盲目だと言われている。自分のものにしたいという独占欲、周りが見えなくなる。自分だけの世界。メンヘラやヤンデレというのはそこから来ていると。いくら相手を想っていても、プライバシーはあるのだから、その点は留意すべし。

さて、新庄への花田の想いが恋であるならば、盲目であるならば、独占欲の勢いが将棋に向く可能性も否めない。メンヘラの北村は、構ってもらいたいという欲を将棋に活かし、タイトルを取っている。同じようなことが起きる可能性もあるということだ。


「妻以外の女の子ってもんは昔から怖いんだ。米永は気にせず食べていたが、俺はやっぱり怖い。笑顔の裏に恐怖を感じたこともある。」

味谷はこう話していた。

「好きですという言葉にも圧があるというか、普通に話していても好きな人には圧がかかってたりとか、なんだろうなぁ。言葉に表せねぇ何かがある。まぁ妻は好きですなんて言わないけどな。圧かけないあたり、素晴らしい女房さ。」


女の子と無縁な河津という男はある意味恵まれているのかもしれない。


梶谷湊(かじたにみなと)、花田と同じ学校に通う小学生。そしてプロ棋士を目指している。花田と違い学校では将棋好きを公表しておらず、ひっそりと勉強している。師匠として選んだのは、森井。つまり村山の弟弟子である。

学校では花田はクラスのヒロイン。梶谷はただの陰キャであった。花田は育成機関におり、梶谷は養成機関。まだ三段までは遠いが、ひたすら勉強である。自分のことを陰キャという人は別に孤独ではないというのは河津の例で分かりきっているので改めて言うことはないが、別にただの陰キャであっても孤独ではない。師匠がいて、家族がいる。孤独とは無縁だ。

学校の先生の京極凛(きょうごくりん)は森井と面談した際、将棋の才能があるということに初めて気が付き、「私の力不足で彼をフォローしてやれなかった」と話したという。先生にも恵まれているようだ。

京極もかつてプロ棋士を目指していたそうで、三段まで行って退会したという。

「俺も昔は、プロ棋士目指してたんです。クラスの花田が将棋棋士になりたいと言った時、俺の夢をこの子は叶えるんじゃないかと思いましてね。まぁ俺は男で花田は女だから色々制度も違いますが。それで今日、梶谷もプロ棋士を目指していると聞いて、俺は涙が出そうなんですよ。俺の夢、2人も見せてくれるのかと。」

森井門下は、かなりの弟子がいる。村山が一番弟子であるが、そこから多くの棋士が生まれていった名門なのだ。


味谷一二三の妻、小春(こはる)はいつも一二三の為に弁当を作っていた。谷本や八乙女に対してきつく当たっていた味谷であっても妻にはとても優しいという。2人の出会いは子供の頃まで遡る。味谷一二三はある日風邪で寝込んでしまった。将棋の勉強を徹夜でした結果だという。その時学校の宿題を持ってきてくれていたのが、隣の家に住んでいた小春だった。それから二人三脚で過ごすことになるのだから幼馴染というのは面白い。

「一二三…がんばって。」

小春は対局に向かう味谷へ声をかける。

「小春、俺を誰だと思ってる?味谷一二三、最強のプロ棋士さ!」

痛々しいように見えるが、別に夫婦間のやり取りなんてこんなもんだろう。


味谷谷本戦が行われている対局場。研究の為に小野寺も来ていた。そこに昼頃小春が弁当を届けにやってくる。夏場は腐らないように小春が昼頃持ってくるようにしている。冬は家から味谷が持っていくのだが。

小春は小野寺に「一二三から聞いてます。渚くんはとても強いって」と話しかけた。小野寺は味谷がそれだけ自分を評価しているのかととても嬉しくなった。そしてそれと一緒に味谷に負けたくないという気持ちも芽生える。


小野寺はこの後味谷戦、木村戦(龍棋)が控えている。プロ棋士の戦いは続く…

(リン)って名前は自分は女性の名前だと思っていましたが、峠を攻める漫画では男性の名前として出ていました。よくよく考えるとリアルで男性のリンさんと会ったことありました。ボカロやキャンプ系で置き換えられてたようです。

(アキラ)(リョウ)(マコト)一二三(ヒフミ)と如何にも男性の名前ってキャラが多いですが、たまには女性っぽい名前の男性でもいいんではないでしょうか…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ