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激戦の後…

 数時間前、小惑星ガイツレイが突如として機能停止し、小惑星ガイツレイ周辺で猛威を奮っていた量産型ガイツレイが機能不全に陥り、認知能力無効化領域による完全隠密機能を失ってその姿を晒し、制御を失って月や小惑星ガイツレイに墜落、または統合軍艦艇やZWの残骸に激突して爆散した。

 不死身の虚像兵が操作する擬似量産型ラーヴェスも次々と制御を失い、量産型ガイツレイと同じように墜落または何かに激突して爆散していった。

 

 ある座標では制御を失った擬似量産型ラーヴェスが姿を晒し、左半身を失った漆黒のZW…クラネオンⅣを道連れにするべく突進するが、クラネオンⅣが展開した特殊実体剣NEXOブレイドⅡが一閃して擬似量産型ラーヴェスは叩き斬られ、NEXOブレイドⅡをコーティングしているTL-D粒子が擬似量産型ラーヴェスを構築している物質を物凄い速さで分解し、虚像兵の擬似肉体と擬似魂魄システムすらも分解して消滅した。

 

 先程消滅した擬似量産型ラーヴェスが小惑星ガイツレイ側の最後の戦力だったらしい。

 小惑星ガイツレイと月周辺で絶えず発していた戦闘光は既になく、五日間続いた激戦が嘘のように静寂に包まれている。


 小惑星ガイツレイが機能停止したことにより、決戦は突如として終わりを告げたが、主役だった統合軍は戦力の6割を喪失した。


 統合軍は小惑星ガイツレイが放った異界波動砲により主力艦隊は壊滅。両翼の艦隊も異界波動砲の軌跡から姿なく出現した大量の量産型ガイツレイによって悉くが沈んだ。クラネオンⅣが所属する母艦も沈み、黒鎧部隊はクラネオンⅣを除いて全滅。ガイツレイ突入部隊は消息不明。残るは指揮系統が混乱した中で僅かに生き残った極小規模の艦隊や残存の部隊のみであった。


 黒鎧部隊壊滅後、量産型ガイツレイの予測不可能な奇襲、不死身の虚像兵が操作する擬似量産型ラーヴェスの猛攻をただ一機で凌いでいたクラネオンⅣは頭部とコクピットと動力炉以外の装甲がほとんど爛れ、NEXOブレイドⅡを展開している右腕部も被弾と熱により不具合を起こして収納することが出来ない。

 コクピットのモニターには損傷率が78%〜85%の間を絶えず変動表示され、エネルギー、残弾、推進剤も悉くが枯渇寸前と表示され、機体の冷却系統が損傷したのか、熱に至ってはずっと危険域を表示しているのが映っている。

 時々クラネオンⅣのモニターに爆発確率が増減表示されており、パイロットは舌打ちして諦観したように推進装置を停止させる。


「…やむをえん、クラネオンⅣ、TSDS停止、電源を落とせ」


 パイロットの音声に反応したクラネオンⅣは動力炉を停止させ、爛れた統合汎装甲体ブロックアーマーズや損傷の激しい部位をパージして電源を落とし、救難信号を発信しつつ漂流モードに移行する。


「…(養分は二十日、酸素は保って十三日か、運良く救助が来れば生還の一歩、来なければクラネオンⅣが俺の棺か…)」

 

 クラネオンⅣのパイロットである浅野光牙(あさの・こうが)はそう思いながらパイロットスーツに組み込まれている擬似冬眠システムを作動させ、擬似冬眠システムが誘う微睡まどろみの中に落ちていった…。

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