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1-3.M

1-3.M


『ところで、今回は私と「J」だけかい?』

「「M」も出動してきているはずよ」

『ウゲッ! 「呪いの薔薇」か』

フラニーは露骨に嫌そうな顔をする。

「ふふ、「M」は魔術も使うからね」

ルチアはジェニファーの後を車で追いながら言う。

口元がわずかに笑っている。


フラニーは、元々はエミュー街に巣食う魔物だ。

死後ナイトメアとして人々に祟っていたが、ルチアにスカウトされた。

存在としては霊に近いので、同類か特殊な感覚を持つ者にしか見えない。


『魔術は苦手だよ』

フラニーは苦い顔。

「魔術みたいなことをするくせに?」

ルチアが聞いた。

『私のやることは、ちゃんと理に適っているよ』

フラニーはフンと鼻を鳴らした。

『悪夢を見せるヤツがいて、悪夢を見る。

 悪夢に打ち勝つヤツがいて、死から免れる。

 私に気づいたヤツがいて、私を排除したから悪夢が終わる。

 筋道が通っている』


「そうかな?」

『でも、おたくらの魔術はそうじゃない』

「……それ私も入ってるの?」

『教団の連中みんなさ』

フラニーは肩をすくめた。


『あら、ご挨拶ね』

そのすぐ横で、声がする。

見ると、いつの間にか仮面をすっぽりかぶったスラリと背の高い女がバンのすぐ脇を歩いていた。

仮面のすそから白い髪がちらりと見える。

『なんだ来てたのか、マーガレット』

チッと舌打ち。

『「呪いの薔薇」、遅ればせながら参上しました』

マーガレットは会釈して、ルチアを見た。


ルチアは教団の中でも特別な地位を持っている。

いうなれば『神の使い』と言ったところか。


「呪いの薔薇」ことマーガレットは教団の魔術により造られた魔物だ。

教団のために働いている。

そのため、自然とマーガレットの言葉遣いが丁寧になるのだった。


『私もいるんだけど?』

『まだ成仏してないのね、フラニー』

『あんたに言われたくないわね』

フラニーはフンとそっぽを向く。

マーガレットは、やれやれと肩をすくめた。


『では「J」に加勢してきます』

「よろしくね」

ルチアは笑顔で見送った。


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