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3-3.素手

3-3.素手


しばらく世間話をしながら歩いて、アジトに着いた。

もちろん、道中のゾンビどもはジェニファーとマーガレットが始末した。


「……な、なにあれ?」

それを見たビル達は目を丸くし、口をあんぐりと開けた。


二人とも素手でゾンビどもを叩き潰すのだから、当然といえば当然か。

習慣的に刃物を好むが、刃物がなければ素手でも戦える。


「あの二人、ホントに人間?」

ビルがわざわざ振り返って聞く。

「武術を習得してるのよ」

ルチアは咄嗟に出任せを言ったが、その目は中空をさ迷っていた。


「なんだっけ、素手でゾンビ倒すカメラマンのゲームあったな…」

「ああ、デッ○ラのこと?」

ビルとケンが、何か現実逃避っぽい会話を交わしている。


眼前では血飛沫が飛び交う光景が繰り広げられているので、ムリもない。


ボグッ

ジャニファーのパンチ一閃でゾンビの首が飛び、


バキィッ

マーガレットの蹴りでゾンビの背骨が折れ曲がる。


『面倒ねぇ』

『面倒だなぁ』

マーガレットとジェニファーは同時に言って、


『どりゃー!』

ジェニファーは駄々っ子のように両手を振り回してゾンビの群れに突っ込んだ。

掴みかかってくるゾンビどもが紙風船か何かのように吹っ飛んでゆく。

さながらブレーキのぶっ壊れた機関車だ。

『せいっ』

その後に続いて、マーガレットは残ったゾンビどもを加撃する。


手刀

貫手

掌打

膝関節への蹴り

顎への蹴り上げ

踵落し

後回し蹴り


首を折った後も勢いが止まらずぶっちぎれ、皮一枚でつながったまま、ぶらんと垂れ下がる。

頭蓋骨側面が粉砕された後も勢いが止まらず首の骨が折れ曲がってぶっちぎれ、皮一枚でつながったまま、ぶらんと垂れ下がる。

喉首が陥没した後も勢いが止まらず背面まで貫通して頚部破裂してぶっちぎれ、皮一枚でつながったまま、ぶらんと垂れ下がる。

頭部がありえないくらいに後方へ折り曲げられた後も勢いが止まらず頚部が折れ曲がってぶっちぎれ、皮一枚でつながったまま、ぶらんと垂れ下がる。

膝関節が破壊されて折れ曲がりバランスを保てず倒れそうになったところを、

蹴り上げによって顎骨を粉砕された後も勢いが止まらず頚部が折れ曲がってぶっちぎれ、皮一枚でつながったまま、ぶらんと垂れ下がる。

踵落しによって頭頂部が陥没した後も勢いが止まらず頚部が折れ曲がってぶっちぎれ、皮一枚でつながったまま、ぶらんと垂れ下がる。

後回し蹴りで側頭部粉砕された後も勢いが止まらず頚部が折れ曲がってぶっちぎれ、皮一枚でつながったまま、ぶらんと垂れ下がる。


文字通り一打必倒の打撃が途切れることなく次々、次々と打ち込まれる。

疲れを知らない不死の存在ならではの攻撃。

さながら永久機関である。


「北○の拳みたいだな」

ビルが言うと、

「まさに世紀末」

ケンはうなずいた。


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