表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/11

1-1.専門家

1-1.専門家


キッ。


ブレーキが掛かり、タイヤが音を立ててバンが止まった。

州軍らしき迷彩服の男たちがバンに近寄ってくる。

前方はずらっと歩兵、輸送トラック、テントなどが並んでいる。

つまり封鎖されている。

運転席の窓が開いた。


赤毛。

ロングの髪を無造作に後頭部で縛っている。

グラマラスなボディ。

パンツ、ブラウス、ジャケットというビジネス風の服装。

サングラスを掛けているので表情は分からないが、どことなくアンニュイな感じがする。


「ここから先へは進めません」

兵士が慇懃ではあるが、有無を言わさぬ態度で言った。

「許可はもらってます」

女は書類を見せる。

「何を言ってる?」

兵士は一瞬怪訝な顔をしたが、

「市政府、軍部、国立疾病対策センター…必要なのは全部揃ってますよ」

女が言うと書類に目を落とした。

『よりどりグリーン』

助手席の女がニヤニヤしながらつぶやく。


頬に一筋の火傷の痕があり、横縞のセーター、ソフト帽を被っている。

髪はウェーブのかかった金髪のロング。

右手に皮の手袋を着けており、その指先には鋭利な刃物。掌側に湾曲したナイフが4本伸びており、ちょうど鉤爪のように見える。


赤毛の女はガン無視。


兵士は何も言わず、すぐに無線に話しかけた。

「ハイ、ハイ……分かりました」

「……専門家ってヤツか」

別の兵士がつぶやく。

何だか複雑な表情である。


「通って構いません」

兵士が無線通信を切り、前方のゲートの方へ手を振った。

「ありがとう」

『お仕事ごくろーさん』

赤毛の女と横縞セーターの女が同時に言う。

兵士は目礼だけしてバンを見送った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ