表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋した相手は【死神】と呼ばれる魔術師でした ~僕らの恋は偽物だったと言った癖に今さらやり直そうとかもう遅いです~  作者: 日之影ソラ
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/33

第一章おさらい前編(語り手:エミリア)

 皆さん初めまして!

 私はエミリア・シエルです。

 何だかちゃんと自己紹介したのは初めてな気がしますね。

 今日はなんと何と!

 私から皆さんに、この物語の始まりから一つの終わりまでお伝えしようよ思います。


 そうですね。

 最初に重要なことを伝えましょう。

 

 これは私とユートの物語。

 別れから始まり、出会い、話し、触れ合って絆を深めていく。

 ラブラブな二人のお話です!

 なのでユートは誰にも渡しませんよ!

 って何を言ってるんでしょう私は……おほん!

 そろそろお話を始めましょうか?


 

 グレゴニカ王国。

 それが私の生まれた国の名前です。

 このグレゴニカ王国では、親交のある貴族間で、生まれた子を婚約者にするというのはよくある話でした。

 そして私にも、婚約者がいたのです。

 ブロア・ロストロール様。

 名門貴族の嫡男で、私の家とも縁のあるお方でした。

 家同士で決めた婚約だったとはいえ、十年あまりを一緒に過ごし、互いに絆を深め合っていたと思っていました。


 でも……


「僕は本当の恋を知ったんだ! それでわかったのさ。君との恋は偽物でしかないと……それがわかってしまったら、もう君と一緒にはいられない」


 ある日突然、そんな理由で私に婚約破棄を言い渡してきたのです。

 私も理由を聞いたり、食い下がろうとしました。

 だけど聞いてくれなくて、一方的に話は進み、私たちは他人になりました。

 私は胸にぽっかり穴が開いたような気持ちになって、しばらく何も手につきませんでした。

 そんな時、私は運命の出会いを果たしたのです!


 それはお昼の時間。

 憐みの視線を感じ、一人になりたいと学園の敷地をさまよっていた私は、一本木の下で本を読む彼に出会いました。

 ユート・バスティアーノ。

 それが彼の名前です。

 見た目は地味だなんて言われるけど、世界で一番格好良い男性だと思います。


 私はそんな彼に一目惚れして、出会って数秒後に言ってしまいました。


「もし……もしよろしければ、私の婚約者になってくださいませんか!」

「……は?」


 勢い余ってというか、気持ちが先走ってしまいました。

 当然ユートにはあきれられて、最初はあしらわれてしまいました……

 でも彼は、落ち込み涙を流す私を慰めてくれたり、友達になってくれたんです。

 

 それから、彼と過ごす時間が増えました。

 一緒にいて話をするだけで幸せな気分になって、どんどん彼のことが好きになっていったんです。

 もっと彼のことを知りたい。

 そう思っていた頃だったでしょう。

 ブロア様が突然私の前に現れて、ありえないことを言い出しました。


「エミリア、僕ともう一度婚約してほしい」

「……はい?」


 何があったのかは知りません。

 何の脈絡もなく、彼は私とやり直したいなんて言いました。

 いつも通り偉そうに、ペラペラと綺麗な言葉を並べて。

 それが何より嫌で、腹が立って、私は彼を突っぱねました。


「いつも態度がでかくて口を開けば自慢ばかり! 話していてもちっとも楽しくない。何を作っても美味しいとさえ言わないのも腹が立つし、作ってきて当たり前みたいな態度はもっと嫌でした!」

「ぅ……」

「そもそもあなたが勝手に他の女性に手を出したのでしょう? それを今さらやり直そうなんて虫が良いにも程があります! というか彼女はどうしたんですか? 今日は一緒ではないようですね」

「そ、それは……」


 今まで胸の奥で溜まっていた不満が、全部流れ出たような感じでした。

 言い切ってスッキリしたと同時に焦りましたよ。

 ついに言ってしまったと思って肝を冷やしました。

 案の定ブロア様は怒り、私に手をあげました。

 それを止めてくれたのは――


「ユート」

「まったく世話がやける」


 彼が私を庇ってくれたのです。

 でも、これがきっかけとなり、ユートもブロア様に目を付けられてしまいました。

 そんなことは気にせず普段通り過ごすつもりでいた私たちは、次の日にブロア様とユートの決闘が行われることになっていたと知ります。

 もちろん、ブロア様が貴族の力で勝手に決めたことです。

 彼は横暴で偉そうですけど、実際偉い人ではあります。

 魔術師としての実力も持ち合わせており、学園で彼に勝てる者はいないとさえ言われていました。



 湧き上がる闘技場。

 一方的な戦いになると、誰もが予想していました。

 その予想は半分当たっていたと言えます。

 一方的でした。

 ただし、勝っていたのはユートです。

 なぜなら彼は、彼の正体は――


「黒い髪と赤い瞳……思い出したぞ。最年少で国家魔術師になった天才の中の天才がいると……二つ名は【死神】」

「正解、俺は死神だよ」

 

 国家に仇なす大罪人を、彼は何十何百と殺している。

 その姿を見た者は、決して逃れられない。

 そうして与えられた二つ名こそ――死神。


 王国最強の魔術師の一人。

 地味で冴えない彼は、誰よりも強い人でした。

 そして、怖い人でした。


「こ、怖くないのか?」

「どうしてですか?」

「だって俺は……死神なんて呼ばれてるし、この手で多くの命を」

「それはお仕事で仕方がなくでしょう? ユートがとっても優しいこと、私は知ってますから!」


 でも私に、そんなこと関係ありません。

 彼が誰であろうと、何をしてきたのだとしても、この気持ちは本物だから。


「それに私は――ユートの笑顔が大好きですから!」


 こうして私たちは出会い、本物の恋が始まりました。

 さてさて、ここからは私よりも、ユートに語ってもらう方が良さそうですね。

 後半は彼に、私の大好きな彼にお任せしましょう。

 

 くれぐれも、惚れないでくださいね?


アルファポリス用に書いたものですが、こちらにも投稿しておきます。

おまけみたいなものです。


【面白い】、【続きが読みたい】という方は、ぜひぜひ評価☆☆☆☆☆⇒★★★★★をしてくれると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ