表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋した相手は【死神】と呼ばれる魔術師でした ~僕らの恋は偽物だったと言った癖に今さらやり直そうとかもう遅いです~  作者: 日之影ソラ
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/33

16.私は知っている

さっき書き終わった話です!

 国家魔術師。

 その称号を持つ者は、この国に二十七人。

 優れた功績を残した者。

 圧倒的な力を示した者のみに与えられる最高の魔術師の称号だ。

 彼らは等しく人間の域を超えている。

 故に絶大な敬意を払われると同時に、畏怖の念を抱かれる存在でもあった。

 その中に一人、歴史上最年少で国家魔術師の称号を手に入れた天才魔術師が――


「おはようございます! ユート」

「ああ」


 私が恋をしている人です。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「どうした? やはりその程度か!」 

「っ……」


 戦っているユートを、私は外から見守っていた。

 いつも冷静で落ち着いている彼が、何だか苦しんでいるように見える。

 押されているから?

 たぶん違う。

 悩んでいるんだと思った。

 考えているのは私のことじゃないのかもしれない。

 それでも私は、彼に負けてほしくなかった。


「ユート!」


 そして私は、彼が何者であるかを知った。

 正直に言うと、薄々感づいていた。

 ユートが特別で、私たちとは違う世界を生きてきた人だって。

 心のどこかで思っていた。

 まさか国家魔術師で、しかも最年少で選ばれた天才だなんて思わなかったけどね。


「黒い髪と赤い瞳……思い出したぞ。最年少で国家魔術師になった天才の中の天才がいると……二つ名は【死神】」

「正解、俺は死神だよ」


 死神という言葉に怯えていたのは、戦っているブロア様だけではなかった。

 観客席からも、ボソボソと声が聞こえてくる。


「お、おい……死神だと」

「ああ聞こえたぞ……つまりあの男が、国に仇なす大罪人を処刑し続け、屍の山を築いたのか」


 死神に関する逸話は多く残っている。

 受けた依頼はほとんどが殲滅、殴殺を指示され、彼の前では命が軽い。

 それは彼が残忍なのではなく、彼が恐ろしいほど強いから、そういう難しい任務を任されているだけだ。

 みんなだって本当はわかっている。

 だけど、屍の山に一人立つ真っ黒な男を想像して、恐れない者はいないはずだ。


 刹那、決着はつく。

 ユートの剣がブロア様を追い込んだ。


「まさか僕を殺す気で」

「おいおい冗談だろ? 殺しても良いルールにしたのはそっちじゃないのか?」

「く、来るな! 来るな化け物!」


 ブロア様は怯え騒ぎ、泣きわめいて失神した。

 あまりにも情けない負け方に、私も呆れてしまう。

 対峙していたユートも、小さくため息を漏らして魔術を解除した。


 勝利したのはユートだ。

 決闘の勝者には本来、観客からの激励の言葉や拍手が送られる。

 でも今は、シーンと静まり返っていた。

 まるで誰一人会場にはいなかのような静寂。

 その中を一人、ユートは悲しそうに去っていく。


 みんな……ユートのことが怖いんだ。

 彼もそれを承知の上で、早々に舞台から去ろうとしている。

 もしかすると、彼が力を隠していた理由はここにあるのかもしれない。

 知られれば恐れられ、誰も近寄らなくなる。

 ならばいっそ、最初から一人になってしまえと。

 私の勝手な妄想だから、本心はわからない。

 ただ、私はみんなとは違う。


「格好良かったです! ユート」


 たとえユートが死神でも、私は怖いなんて思わない。

 その悲しそうな姿を見てしまったら、声をかけずにはいられなかった。


「えっ……」


 ユートは珍しく目を丸くして驚いていた。

 どうしてまだそこにいるのか、と思っている目だ。

 ユートは私に、怖くないのかと尋ねた。

 私は怖くないから、正直にそう答えるだけ。


「ユートがとっても優しいこと、私は知ってますから!」


 これは紛れもない本心だ。

 死神だから怖くて近寄れない?

 そんなはずない。

 だって、私は知っているもの。

 彼の優しくて温かい笑顔を、私は見たことがあるもの。

 もしかして、みんなは知らないのかしら?

 彼の笑顔を見たことがないのかしら?

 だとしたら可哀想……ううん、私だけが知っているというのも嬉しいことね。

 でもきっと、ユートにとっては辛いことなんだと思う。

 それなら私が、みんなの分も伝えよう。


「それに私は――ユートの笑顔が大好きですから!」


 あなたはこんなにも素敵な人で、愛されているということを。

 精一杯の笑顔と言葉で、何度でも私が伝える。


「エミリア……」


 私の名前を呼んでくれた。

 それだけでも、私はとても嬉しい。

 そして――


「本当に変なやつだな……エミリアは」


 ユートは一番素敵な笑顔を見せてくれた。

 ああ、これだわ。

 この笑顔に私の心は撃ち抜かれて、虜にされてしまったの。

 今度こそ……ずっと先まで、私はこの笑顔を忘れない。

 誰にも彼の笑顔を渡したくないと思うのは、我儘なのかしら?

続けるか悩みました。

たくさん続きが読みたいという声を頂いて、何ならツイッターのDMまでもらいました。

そこまで言われたら仕方ありませんよね!

わかりました続きを書きましょう!

でも普通にエタるかもしれないので、その時は怒らないでくださいね?

とりあえず気力、体力、やる気が続く限り書きたいと思います。

【もっと続きが読みたい】、【エタるんじゃない!】という方は、何度もお願いして恐縮ですが評価☆☆☆☆☆⇒★★★★★してくれると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] おつかれさまです!続き書いていただけるみたいで、とてもうれしいです!!!お話とてもおもしろかったでふ!!これからもがんばってください!!!エタる?初単語でしたが応援してます!!
[一言] おぉ〜‼︎ 祝、続投! 続投ありがとうございます! かんぱーい ♪(*^^)o∀*∀o(^^*)♪ これから、どんどん甘々カップルになって。 クズに見せつけていくわけですね? 良いで…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ