おばけなんてこわくないっ!
春の麗らかな朝
平和な天気と裏腹に藍の1日は激しくはじまる
「あーーいーー!おきなさーーーい!!!」
朝、下から叫ぶ母の声で藍は半分覚醒する。
「うぁ〜っ」
ふかふかのベッドからなかなか起き上がれないのは
いつもの事だ。ふかふかのベッドで眠るのがおっとりした性格の藍にとって1番の幸せな時間だった。
学校がある事は重々承知しているが瞼も体も全く動こうとはしない。
やっとベッドから起き上がり
母が叫ぶダイニングで朝食を食べ始めたのは
母が声をかけてから30分も経っていた。
「あーいー!もう中学生になるってゆうのにいつまで子供気分でいる気?!少しはシャキッとしなさい!」
「ふぁーい。」
少し色素の薄い栗色の髪の毛を鎖骨までのばし
パチリとした丸目小さい鼻に桜色の唇
容姿だけならとても可愛らし女の子だが
おっとりし過ぎの性格のせいで少し残念な子だ。
「ところで藍、もう8時だけどゆっくりしてていいの?」
「はぁっ!そっか!もう小学校じゃないもんね!
急がなきゃ遅刻しちゃう!!」
なんで私っていっつもこうなんだろ〜
人より1テンポ遅れるっていうか、、
気をつけてるのになぁ
「お母さん!ご馳走様!行ってきますー!!」
軽く髪の毛を整えセーラー服に付いたパンかすを払うと
急いで外へ出ていった。
「はぁー、もうちょっと落ち着きのある子だったら良かったのにねぇ、顔は可愛く産んでやったのに、、、
暁人!あんたも学校が近いからってゆっくりしすぎよ!!!」
藍の隣で静かに朝食を取っていた藍の弟にも
母の怒号は飛ぶ
「藍みたいに抜けてないから、僕はちゃんと時間配分してるよ。朝はゆっくりしたいんだよ。」
急かしても自分のペースを崩さない子供たちに
ため息が止まらない母だった