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そうだ、女の子を壊してヤンデレにしよう(旧題:そして俺は彼女達を堕とす)  作者: pawa
7章 花の笑顔。そして、俺は彼女を壊した。
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7章31話(ハーレム編_クリスマスパーティ) 生徒会選挙の決着

………

……


アリアの生徒会選挙は、もはや決定したも同然だった。


「……それでは、皆さんご清聴ありがとうございました」


アリアの演説が終わると同時に、生徒全員が大きな拍手をした。これまでの立候補者の拍手よりも大きな音。

この音よりも、次の立候補者の音が大きくなることはない。

次のやつらが可哀想だった。


「お疲れ、アリア」


「ありがとう和人君。……あっ」


「大丈夫か?」


「ええ、ありがとう、助かったわ和人君」


アリアが疲れだろうか、それとも緊張が途切れたのか、転びそうだったのを俺が支えた。

今はステージ裏の控室。次の立候補者が最後で、他の立候補者は休憩中だった。結果発表までここにいることになっていた。


「よかったな、みんな大きな拍手をしてくれて。お前が受け入れられている証拠だ」


「そうだったら嬉しいけれど…」


「特に興味がなかったら、最低限のまばらな拍手しかない。お前はよくやったよ。支援者として誇りに思う」


「ありがとう…。全部、和人君のおかげよ。何もかも支えてくれて。私だけじゃ何もできなかった。動けなかった」


「そんなことないさ。お前ひとりでもできただろう。」


「ううん、そんなことない。私、一人で何もできない人間だから」


「(…わかっているじゃないか) おいおい、生徒会長になろうとする人間があまりそんなネガティブなことを言うんじゃない。どうした、疲れたか?」


「…正直、そうかもしれないわ。全部の仕事が終わって、一気に疲れが出たのかもしれない」


「そうか。じゃあ、この後お疲れ様会やろうか。これまで頑張ってくれたみんなも呼んで」


「ええ、そうね。落選してもやりましょう。みんなにお礼を言いたいわ」


「おお、そうだな。店も探しておこう」


「ありがとう。……ねえ、和人君。さっきの話の続きだけど」


「さっきの話?」


「私が一人じゃ何もできないって話についてよ」


「ああ、その話か」


「もしよかったら、和人君がよければなのだけれど……、生徒会長になることができれば、やっぱり和人君に副会長になってほしいの」


「……」


これまで何度もお願いされていた。だが、そのたびに回答をはぐらかせてきた。

…少し、状況が悪かったからだ。

ただ、それ以上にメリットはあったのも事実だった。

その兼ね合いを整理し、そして状況をうまく整えることに時間を費やしてきたのだ。


「和人君がいないと、私何もできないことがわかった。これまで手伝ってくれて、全部教えてくれて。…隣にいる人があなた以外なんて考えられない程に。だから、もしよかっただけれど…」


「…ちょっとジュース買ってくる。お互い、喉も乾いただろう。お前にはいつものお茶買ってくるな」


「え、ええ…。」


「結果発表の時に間に合わないかもしれないが、ちゃんとまたお前に会いに行くから。それじゃ」


「あ、和人君……」


部屋を出ていき、俺は自販機前まで歩く。

この時間は皆、生徒会選挙の演説を聞くために講堂にいる。

場は静かだった。小鳥のさえずりさえ聞こえてきた。


俺一人だと、この空間では思っていた。


「和人君」


「…海か」


海が後ろから声をかけてきた。


いつも通り、前の時間軸での距離感で、俺に話かけてきた。


「ありがとう。お前の協力には感謝している」


「いいえ、何もしていませんよ」


「お前と春香のおかげで、後輩票はすでに過半数を超えたと言っても過言ではないだろう。さすがだな、お前たちは」


「ありがとうございます。」


「…春香はどこにいる?」


「先ほどまで講堂で一緒にいました」


「なるほど。では、ここではあの件はいいだろう。お前もすぐに講堂に戻れ」


「はい」


その時、講堂の方向から大きな歓声が聞こえてきた。

そろそろ結果発表の時間だと思っていた。

どうやら、決着したらしい。


「決まったようだな」


「はい。アリア会長に決まったようですね」


「予定通りだ」


「はい。では、次のプランに移りましょう」


「…その前に」


「はい?」


「海、ちょっとこっちにこい」


「…」


無言でこちらに来る海。海の肩に手をかける。

この距離ならば、誰にも聞こえない。


肩に置いた手を、海の頭に乗せ、頭を撫でる。


「海、本当によくやってくれている」


「…はい。」


「今度、また二人の時間を時間を作ろう。」


「…いいのですか?」


「ああ。前の時間でお前といった、あの飯屋に久しぶりに行くのはどうだ?」


「はい、嬉しいです!」


「そこでお前のことをまた話してくれたら嬉しい。あの『目的』のことは、その時だけ忘れて、ゆっくり話そう」


「はい…はい!」


「さあ、そろそろ行くか。…今、お前だけが頼りだ。これからもよろしく頼む」


「っ! わかりました! では…」


…そろそろ、決心をしないといけない。


「和人君!」


「…アリアか」


俺の方に走ってくる女がいた。満面の笑みで。瞳には涙が溜まっていた。

そして俺の方に抱き着いてきた。


「ありがとう! ありがとう和人君! あなたのおかげでなれたわ!」


「おいおい、もうすぐ当選後の挨拶だろうが。いいのか?」


「まだちょっと時間があるから……あ、急に抱き着いてごめんなさい」


「いいよ。俺も嬉しい。……なあ、アリア」


「何?」


「俺、副会長なるよ」


「いいの?」


俺の顔色をうかがうアリア。そんなこいつに対して、作り笑いで、優しく微笑んだ。


「ああ。お前を支えたい」


「…っ。ありがとう和人君っ」


また抱き着いてきたアリア。


俺の顔はアリアから今見れないだろう。

だから、俺は今の感情を素直に出した顔をしていた。


………

……



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