7章27話(ハーレム編_クリスマスパーティ) きっかけがあれば後は簡単だった
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アリアとはそれから華と二人で交流を深めていった。
あの後休日にカフェで会い交流も深めた。
休日だけではない。学校でもコミュニケーションをとり続けた。
「おはよう、アリア。今日も綺麗ね。どこの化粧品使っているの?」
「おはよう、華。ありがとう嬉しいわ。そんなに高いもの使ってるわけじゃないのよ? この国に来たばかりで、どの化粧品がいいかあまりわからないし。逆に今度おすすめ教えてもらえたら嬉しいわ」
「ええ、わかったわ。今度一緒に買い物行きましょうか。って、もう授業始まるわね。ほら、和人。あまり鼻の下伸ばさない。行くわよ」
「伸ばしてねぇよ。俺を会話のオチに使うな」
昼休みも話しかけに行ったし、俺と華の時間が合えば昼飯も一緒にした。
「ほら、二人分のお茶もってきたぞ。」
「ありがと、和人」「ありがとう和人君」
「華は持ってきた弁当で、アリアは…ラーメン定食? 大丈夫か、結構ボリュームあるが…。」
「ええ、ラーメン、この国に来て食べてみたいと思ったから注文してみたのだけれど……ちょっとびっくりしているわ」
「入りきらなかったら途中で言ってくれ。後は俺が全部……、いや、なんでもない」
「何でよ和人。別にいいじゃない。食べてやりなさいよ」
「あのなぁ、華…。それはお前と俺の仲というか、距離感だからやれることだ。」
「え、どういうこと…?」
「お前、同じクラスの男友達の食べかけ、食べられるか? まだ同じクラスなったばかりの、お前の席の横のやつだとして」
「いや、それはちょっと…」
「だろ? お前はそれをアリアと俺に求めてるんだよ。アリアも俺もお互い気まずい。」
「あ、確かに……。同姓同士の友達だとそこまで感じないけど、異性だとそうよねぇ…。和人以外のもの、食べたくないもの」
そんな俺と華の様子を見て、アリアは何か訳が分からないことをつぶやいていた。
「ねぇ、あなたたちやっぱり付き合って…」
「あ、えへへ、やっぱりそう思うかしら「別に付き合ってない。気のせいだ」……むぅ」
「そ、そう…」
「で、ラーメンの味はどうだ? うまいか?」
「そうね、とてもおいしいわ」
「よかった。この学食のラーメンは値段の割にうまい。このラーメンが旨いとなると、……そうだ、華。この前二人で行ったラーメン屋、同じ系統の味で旨かったよな?」
「ええ、そうだったわね。ああ、アリア。今度行きましょう。私たちでも入りやすい雰囲気だし、店も綺麗よ。あまり味付けもこってり過ぎないし、別に濃すぎないし。おすすめできるわ。今度の買い物時にどうかしら? 和人、あんたは荷物持ちしなさいよ」
「ええ、行ってみたいわ。よろしくね」
「……荷物持ち決定かよ」
「あんたの家の生活品も買いに行くのよ。この前シャンプー切れてたじゃない。他にも不足しているものあるわよ。それに、その後で付き合ってくれたお礼もするからいいでしょ?」
「わかったよ……」
「え、二人は同棲しているの?」
「してない」「してないわよ?」
「……これ以上深くは聞かないことにした方が、正しいかしら」
思った通り、華とアリアは気が合わないということはなく、交流を重ねていった。
休日に何度か行っているカフェでの、何気ない会話の時に、クラスでの過ごし方の話になった時もあった。
「ありがとう、華。そして和人君。あなたたちのおかげで、クラスでも会話が増えてきたわ」
「そう、よかったわね。私たちは特に何もしていないと思うけど、アリアが喜んでくれてるのなら嬉しいわ」
「何もしていないなんて、そんなことはないわ。あなたたちが私に話しかけてくれていることで、クラスの人たちもそれを見ているのでしょうね、警戒心というのかしら? それもなくなったのかしらね、あちらからも話しかけてくれるようになったし、こっちが話かけても前よりも壁を感じなくなったわ」
時間の問題だったと俺は思う。
俺と華が干渉しなければ、おそらくだが、アリアは自分で根気強く話しかけたりの交流を続け、壁を取り払ったと思う。
今回の時間軸では、俺たちが介入し、その壁を早く取り除いただけだった。
確かに俺と華は効果があったと考えている。
俺と華は、クラスでの立ち位置も確立していたと言っていい。心底どうでもいいが、クラス内のカーストでも、トップ層の位置づけにあると自負している。
顔も良く、コミュニケーションもうまく取れている。それだけでクラス内ではある程度の位置づけをとれるのだ。
他のクラスへの干渉……、他クラスの友人を作るのにも尽力していた。
他クラスの遊び、例えばカラオケなどだが、それらにも積極的に参加し、顔を広げていった。
別に目立つ必要はない。顔を広げるだけでいいのだ。変に脇役の俺らが出張る必要はない。交流の種にすればいいのだ。仲良くなれそうだったら、別の機会で交流を深め、また別の機会を作り、遊びに行けばいい。そうやって、他クラスの中でもある程度の位置を確立していった。
ある程度顔も売れ、好印象を他クラスから持たれる。その状態でアリアに話しかけたのだ。
アリアと、そんな俺らが楽しく話しかける。
第三者というのは、意外とよく見ているというもの。
会話の雰囲気
アリアの話す内容。表情。
そして俺と華の態度。
俺と華、そしてアリアは同格だと周りに見せつけていった。
カーストなどクソどうでもいいが、思春期のこの閉じたコミュニティでは、それが同世代では重要だった。
「……華ちゃん、えっと、アリアさん? 横からごめんね。ちょっとカフェの話聞こえたんだけど、どこに行ったりしているの? 私たちも近くで良いところないかなって探してたんだけど、教えてもらってもいい?」
「……! ええ、いいわよ。えっとね…」
そうやって、アリアを同格と周りへわからせ、そして話のネタになりやすいものをわざと目立つように話し、周りが話しかける機会を作った結果、それが実を結んだ。
少し時間が経つと、クラスメイトと談笑しているアリアの姿が目撃された。
段々とクラスになじめているようだった。
ただ、それから俺と華がクローズアウトされるというわけではなかった。
「華、和人君。今度の土曜日遊びに行かない? クラスの人に聞いたのだけれど、おいしいパスタのお店があるそうなの」
「いいわね。私は大丈夫よ。和人は?」
「ああ、誘ってくれた手前悪いが、俺はいいわ。二人で楽しんできてくれ」
「何よ、用事でもあるの?」
「ああ、違うやつと会う予定がある。夕方までかかりそうだ。」
「そう…。ならまた次の機会にするのはどうかしら? 華も和人君もそれでいい?」
「私はそれでも大丈夫だけど…」
「いや、これからしばらく散発的に予定が入りそうだ。そのたびに予定を変えさせてしまうのは申し訳ない。俺はタイミングが合えば、参加させてくれ。その際は声をかけさせてくれ。」
「そう。わかったわ。アリアもそれでいいかしら?」
「ええ。また声をかけさせてね。和人君」
「……ああ」
華の竹を割ったような性格をアリアは気に入ったようだった。
逆に華は、アリアの真面目さというか、誠実さというか、頭の良さというか、その辺りを気に入ったようだった。
…まあ、俺はアリアなんて嫌いなんだけどな。
アリアを俺が嫌いな理由? そんなの前の俺の経験を語ればわかるだろうが。こいつとの思い出なんて、一つも嬉しかったことなんてない。
だから最初の接触、またそのあとの交流で華が必要だった理由の一つ。華には悪く、そしてとんでもなく情けない話だが。
俺はフェードアウトしていく方に流れようとしていた。もう、華とアリアは親友に近い状態までいっている。俺もある程度の有効度を稼いだ。目標はある程度達成に近かったのだ。
それに、……あいつらのフォローをする時間も必要だった。
アリアとは、華の次に距離が近い友人になり、ある程度の時間がそれから経った。
海たちも入学し、林間学校も過ぎ、数々のイベントも終わり。
それから、生徒会選挙となった。
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