7章25話(ハーレム編_クリスマスパーティ) 生徒会
「海、今日の予定は?」
「はい、まず今日の昼休みまでは普段の和人君通りに過ごしてください。昼休みの最後の20分、私にください。そこで昨日から今日の昼までの進捗を報告できればと思います。」
登校中。華を先に行かせ、俺は海と二人で、誰もいない道を歩いていた。わざわざ裏道を通り、人目がつかないように、誰にも聞かれないように。
「長いな…。まあ、カモフラージュも込みだったらしょうがないか。わかった。今日の昼休みは生徒会室に向かう。その帰りにいつもの場所で待ち会おう。」
「はい、お時間とらせて申し訳ありませんが、よろしくお願いします。」
「他にこの時間で言うべきことはないか?」
「特筆して報告すべきことはありません。いつもと変わらないように見えましたし。……あ、この前お借りしたシャツ、いつお返しした方がよろしいでしょうか?」
「人がいない時間帯と言いたいが、いつもの場所に置いておいてくれ。」
「わかりました」
登校まで時間がない。お互い話すべきことをなるべく簡潔に話していく。
そろそろ学校が見えてくる位置まで来た。
「あ、和人君……。いい、でしょうか?」
「ああ…。」
目を閉じた海にキスをする。この位置ならば、誰も見られる心配は確実にない。
そもそものリスクの有無を考えたらこの場でキスをしないのが正解。だが、このキスはそれほどの価値があるのだ。
「ありがとうございました…。」
「……いくぞ」
顔を赤らめながら、満足そうな表情で微笑む海。それに背を向け、校門へと歩んでいく。
その校門の前には、あいつがいた。
「あ、和人君! おはよう」
「ああ。おはよう……アリア。……海、お前は先に教室まで向かってろ」
「はい。わかりました。また後で…」
………
……
…
今の俺の状況を説明しよう。
現在、この高校の2年目10月。文化祭が終わった時期だった。
思い出したくもない、あの『前の時間軸』の文化祭。それとは違い、その一年早い文化祭だ。俺と華は2年。海は1年。まだ、『タイムリミットまで1年』あった。
俺はその時期、何をしているかというと…。
「今日はお前が朝の校門前の声かけの当番だったな、アリア」
「ええ、そうよ。確か、和人君は昨日だったわね。お互い、生徒会として後一年くらいかな、頑張らないといけないわね。」
俺も生徒会の一員として、アリアと交流していた。こ
「ああ、向こうではそういう文化はなかったのか?」
「そうね。この国にきて、そしてここに転校してきて、ちょっと違いに戸惑ったけど、生徒の顔を見て、そして挨拶を返してくれるのは楽しいわ。でも、正直なことを言うとちょっとまだ朝の準備は大変。身だしなみを整える時間だってほしいし、その分早起きしないといけないし…」
「ああ、その辺大変そうだもんな。大丈夫か、無理していないか? ……お前の当番の回数を減らすことを検討した方がよさそうだな。幸い、俺も最近は立て込んでない。俺に回すことも視野に入れよう」
「そういう意味じゃないの! いいのよ、気を遣ってもらわなくて。いつも和人君に助けられているんだから。それに、私は『生徒会長』だから。ちゃんと責任もって、そういう業務こなさないと」
「そうか…。冷たい言い方をすると、お前が体調を崩して、それで業務が泊ることは全体を見るとよくない。」
「……うん」
「だが、それは建前でもある。俺個人の観点で言えば、単純にお前の体調が心配だ。精神的にも、だ。まだ、転校してきて日が浅い。その中でお前はよく頑張っていると思うよ。生徒会長にまでなって。そして毎日の業務をこなしている。誰もがすごいと思っているし、俺も尊敬している。」
「あ、ありがとう……」
「少しでもきついことがあったら相談してくれ。一緒にどう対処するか考えよう。お前が一人で抱え込むことはない。」
「うん……いつも和人君は一人で悩んでいるっぽいのに」
「何か言ったか?」
「ううん!なんでもないわ。ありがとう。また相談させてね。……もうそろそろみんな教室に行かないといけないわね。みんな、今日の朝の分はもう終わり! お疲れ様。和人君、一緒に教室まで行きましょう?」
「そうだな。」
そうだな。何故俺が生徒会の一員になったのか?
何故俺はアリアと行動を共にしているのか?
まずはそれを話そう。
………
……
…




