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そうだ、女の子を壊してヤンデレにしよう(旧題:そして俺は彼女達を堕とす)  作者: pawa
7章 花の笑顔。そして、俺は彼女を壊した。
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7章21話(ハーレム編_林間学校) アクシデント

「凄くいい空気だね~。私たちの街から少し離れただけで、こんなに自然豊かなんて。ね、海ちゃん」


「ええ、そうね春香。」


俺は、海と春香の二人と山を登っていた。二人に挟まれながら、だ。

そう、俺はこの二人といくことを約束をしていた。


背景は簡単だ。

俺は海と約束していたから。二人で登山することを。

食事をしながら横でメッセージをやりとりしていた。今日は二人で行動しようと。

だが、突然二人きりで行動したら周囲に怪しまれる。

元々春香と海は行動するつもりだった。だから都合がよかったから、俺も交ぜてもらうことにした。


…本当は二人きりがよかったですと、海から後でメッセージがきたが。

海はそれを顔に出さない。感情をコントロールするのが上手だった。


初めの時間軸では、彼女は俺をサポートすることに徹していたのだ。自分の感情を優先することよりも、俺に献身することを選んだ。

だから、それくらい彼女がわけもなくできる範疇だった。


「春香、突然悪くかったな。お前ら二人に交ぜてもらって。」


「いいえ、大丈夫ですよ! 私も嬉しいです! 和人先輩と一緒に行動できるなんて。」


「そうか、そういってくれて嬉しいよ。ありがとう」


「いえいえ! でも、はじめは誰と登る予定だったんですか?」


「ん? どういうことだ?」


「あれ? 違いました? 本当はどなたかと一緒に登る予定だったけど、急に厳しくなってキャンセルしたのかなと思ってました! 和人先輩、人気者ですからきっと誰かに誘われているんだろうなって!」



「…いや、前提が違うな。俺ははじめ、サボる予定だった。クラスの誰かに頂上のスタンプをもらってくるよう依頼して済ませる予定だったんだ」


胸が痛む。だが、感情を捨てろ。


「へー、そうだったんですね! えへへ、和人先輩らしい。」


どの部分が『らしい』んだ? サボるところか、それとも俺が苦虫をつぶした気持ちを抱いているところか? 春香に、声には決して出さないが、聞いてみたい気持ちがあった。

だが、今は会話を円滑に進めることが最優先だ。



「あはは、この学校の中で個性を持ってる方だろ?」


「ふふ、ポジティブに言えばそうですね。」


「それで突然行ってみたくなってな。気まぐれだ。せっかく山に来たんだし、いい機会だと思ってな。そこで海にちょうど会ったんだ。海に予定を聞いたら、春香と一緒に登ると返答があったから、無理やり交ぜてもらえるように無理言ったんだ。なぁ、海?」


「はい、和人先輩。和人先輩は『無理やり』とおっしゃってますが、私も、それに春香も和人先輩と一緒だったら楽しいと思いましたので、こちらもよければと思ってお誘いさせていただきました。春香に事後報告で申し訳ありません。」


この時の海は本当に役立つ。

一番初めの時間軸、海を俺に都合が良い存在として作り上げてきた。

俺がやりたいこと、言いたいこと、全てを察することができるよう、常にそばにいさせ、俺が言うまでもなく、行動できるようにした。


いうなれば、彼女は最高のパートナー。役に立つ駒。……くそくらえ。


「海、無理に俺を立てなくていい。いや、先輩の前だと正直に言えないか。まあ、こんな感じで春香に連絡がいったというわけだ。改めて、春香ありがとうな、了承してくれて」


「そうだったんですね。いえいえ、私も嬉しいですよ! 海ちゃんナイス!」


「よかったです。春香もありがとう。」


あの時の海は、勉強は壊滅的だった。

だが、元々の生まれ持った頭の良さ、そして器量の良さがある。

何が言いたいかというと、本来は『なんでもできる』のだ。


スポーツもできる、料理も、裁縫も、家計も、全部だ。医療知識も俺が学ばせた。

何があっても、海が居れば問題ないようにするために。

だから俺は家のすべてのことを任せ、そのために彼女はずっと俺の家にいた。


「海、この季節だが、周囲に虫がいる。虫よけスプレーはないか?」


「はい、そう思って事前に用意してました。どうぞ。それに、喉が渇いてませんか? よければ、スポーツドリンクも用意しているのですが…」


「ありがとう。もらうよ」


俺がやりたいことを全部用意してくれている。

そして、俺がほしいと思ったフォローも入れてくれている。


この世界で初めに、喉が出るほどほしい存在だった。


「息がぴったりですね~。海ちゃん、和人先輩のお家にお嫁に行けるんじゃない~?」


(…海)


(はい)


「い、いえ、そんなことないですよ…! もう、春香! 恥ずかしいっ」


「あはは、海ちゃん照れている!」


俺の目配せも聞いたのか、俺の期待通りの反応を見せてくれた…。いや、演じてくれた。


何から何まで、気が利く女だ。


「あ、湖が見える! あそこでちょっと休憩しませんかー?」


春香が指さすのは、湖がある休憩所。

山の中腹に小さな湖があるのだ。

少し離れたところに自動販売機もあり、家族連れまで休憩しやすいスポット。


元から休憩しようと思っていたのだが、都合が良い。


「ああ、そうだな」


「私、喉乾いたからジュース買ってきますよ! 和人先輩、海ちゃん、何がいいですか?」


「ああ、悪いな。てきとうにお茶でも買ってきてくれ。ほら、代金だ」


「ありがとう春香。私も和人先輩と同じものがいいです」


「はーい! じゃあ行ってくるので、近くで湖を眺めてたりして休んでいてくださいねー」


元気よく走っていく春香。


それを見ながら、海に話しかける。


「ありがとう、海。よく話をあわせてくれた」


「いえ、当然のことをしたままです」


俺の半歩後ろで淡々と話す海。

海の方を見る。ニコニコと微笑んでいた。


「どうしてそう笑っている?」


「はい、和人君の役に立てたと思うと、嬉しいです」


「…そうか。すまん、お前は二人きりがよかったと思うが、そうすると下手に周りに影響が出る可能性がある。それを避けたかった」


「…はい、和人君のご意向に私は従うまでです」


「ただ、…お前とできるだけ一緒にいるために、こうして交ぜてもらったんだ。それは覚えておいてほしい」


「はい、嬉しいです。和人君…気を遣ってくださってありがとうございます。」


「お前とは、これからできるだけ時間を作る。そして、周りを徐々に納得させよう。…だが、俺は不器用だ。時間がかかる。それを許してくれるか?」


「はい、私は和人君についていくだけです。」


(だからその思考と意思の停止を人形というんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!)

苛立ちを抑える。

彼女は俺の役に立ちたいと思っているだけだ。


「とりあえずは、座るか。」


「はい、お尻にしくものを用意しますね。」


「ああ、頼む。俺も自分の分を持ってきてたはずだが…」


海から目を少し離しただけだった。

何も起きないと思っていた。


だが、その瞬間。


「ああ!」


海は、湖の中に落ちてしまった。





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