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そうだ、女の子を壊してヤンデレにしよう(旧題:そして俺は彼女達を堕とす)  作者: pawa
7章 花の笑顔。そして、俺は彼女を壊した。
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7章8話(ハーレム編) 華との日常2

すみません、5/30の投稿は少し厳しいので、5/31に次はなるかもです。

「「「「いただきまーす!」」」」


4人分の声が合わさり、大きな音がこのリビングに響いた。このマンションの一室は決して広くはないが、綺麗に清掃されていることが、食器の輝きや物の整頓された様子からわかる。

ここ、部長の自宅で今俺は彼女とその弟たちとで夕食をいただいていた。


「僕、嬉しいです! 和人さんとまた会えるなんて!」


「私もー! お姉ちゃんが誰か連れてくるって電話で言うからちょっと期待してたんだー!」


「うふふ、嬉しいそうよ和人。ほら、口についてるわ。とってあげるからじっとしてなさい」


「ありがとうお姉ちゃんー!」


「あはは、ありがとうな。俺も弟君たちとまた会えてうれしいよ」


弟君と妹さんが微笑みながら俺の来訪を喜んでくれていた。そのことに俺も少し喜びを感じる。

彼らと会うと何か心が洗われるような感じがして癒しを感じるのだ。前の世界では海や春香とか癖が強いやつの相手ばかりしていたからな。

『和人君が言わないでください』『和人君が言う資格はないと思うなぁ』

……だから勝手にいつも思考に出てくるなよ。お前たちはエスパーか何かか?


「やっぱり姉さんと和人さんは仲が良かったんですね!」


「ん? どうしてだ?」


弟君のその言葉に疑問を抱く。俺のその疑問に対し、彼はまったくの邪念を感じさせずに微笑みながらこう言った。


「だって興味がなかったり嫌いだったりしたら、こうして姉さんがご飯に呼ばないですよ! 最近、姉さんが和人さんのことを結構家で話してたから、やっぱりそうなのかなって思ってました!」


「ちょ、やめなさい! 秘密って言ったでしょ!」


顔をまるで以前風邪をひいたときのように赤らめながら、部長は弟君を制止しようとするが、そんな彼女を無視して彼は続ける。


「姉さん楽しそうにいつも話してますよ。愚痴を言う時もありますけど、それも笑いながら話してますし。例えば、「すぐあいつって可愛い子にデレデレしちゃって」とか」


「ストップストップストップっ!!」


弟君が楽しそうに語るのを見て、苦笑いをする。おいおい、もしかして彼は腹黒いのか? いや、天然なのかもしれない。そう思うことにしよう、思い込もう。


「他には何て華は言ってるんだ?」


「ちょっと! 和人も聞かないで!」


「あ、やっぱり名前で呼び合ってるんですね! えっとですね、この前、和人さんはいつもチャラチャラしてるけど、頭が良いし、私よりも成績がよくてムカつくとか言ってました!」


「あはは、褒めてくれるのか貶してるのかどっちかにしろよ、華」


「あーもう! 私は何も聞こえないわよ!」


俺と弟さんの会話に恥ずかしくなったのか、彼女は目を閉じて耳を塞いだ。


「後はですねー、いつも下ネタとか言うくせにたまにカッコいいからムカつくとか言ってましたね。そしていつも弄るくせに時々凄く優しいからムカつくとかも」


「おいおい、何か恥ずかしいな」


「あー、私は何も聞こえないわよ見てないわよ感じてないわよ!!」


「もしかして姉さんと和人さんは付き合ってるんですか?」


「「……え?」」


妹さんがゆっくりゆっくりにこにこしながらご飯を食べている横で、俺と華は弟君のその言葉は固まる。……ていうか本当は華、全部聞こえてるんじゃないのか?


「何でそう思うんだ?」


「え? だって仲よさそうですし、こうしてご飯も食べに来てくださりますし……もしかして違いました? 今日も一緒に遊びに行かれた帰りに、こうしてこの家に遊びに来てくださったのかなって思ったんですが……」


……さて、どう彼に言うべきか? ま、少しぼやけて話すか。部長を褒めつつ適当に逃げよう。


「あはは、違うよ。俺が華へ両親がいなくて外食ばかりしているって言ったら、ご馳走してあげるって厚意で言ってくれたから、俺はそれに甘えただけだよ」


「それじゃ付き合っては……」


「ああ、付き合ってないよ。彼女は良い人だからな、俺よりもっといい人いるだろ? 俺なんかにもったいないよ……って、痛っ。華、何叩くんだよ」


「和人、何自分を卑下してるのよ。あんたの悪い癖よ。あんたは自分をいつもそんな風にネガティブに言って……」


「俺はいつも自信満々だぞ?」


「普段は、ね。でもこういう時はいつも相手を立ててばかりで自分を卑下するでしょ? あんたは私を助けてくれたの。そんなに自分を悪く言わないで。それだと、あんたが好きな人までちょっと気まずくなるわよ? 私もその一人」


……そうだな。

面と向かって俺に怒ってくれる、諭してくれる人がいなかったから、少し嬉しかった。素直に感謝の気持ちしかでなかった。



「ああ、華の言うとおりだな。すまないな」


「上から目線で説教して悪かったわ。ごめんなさいね」


「そんなことない、ありがとうな、怒ってくれて」


「ううん、別にいいのよ」


……ん? 一つ疑問ができた。


「なあ、『私もその一人』って……」


「え、ああ、それは……っつ!!?!?!?」


やかんのように、湯気みたいな蒸気を出しながら顔を赤らめる華。お前は漫画の中の住人なのか?


「わ、私が言いたかったのは、あああああんたは私の友人として、隣に立つ人として大事というか、あまり気を落としてほしくないっていうか、あんたを気に入っているというか、あまり暗い顔してほしくないっていうか、いつも笑ってほしいというか!!!!!?? ああああ!! もう、何言わせるのよ!? バカ! 細かいところ突くなぁ!」


「……お前のその自爆は何なんだ。まぁ、少し俺からも言わせてもらえれば、華は良いやつだからな。俺なんかにはもったいないだろ?」


「だから……あんたも十分いい人よ。そこは認めなさい!」


「お前の方がいいやつだって」


「あんたの方がよ!」


「お前がだ!」


「あんたが!」


「「うぐぐ……」」


「…………あはは、やっぱり仲良しですね」


「「……あ」」


弟君のその言葉で、二人で言いあいながら顔を近づけていたのに気付いた。……おいおい、だから俺はこんなラブコメ的な展開は苦手だって……



「モグモグ~~すー」


「え? どうしたんだい妹さん?」


「そうよ、ちゃんと全部食べてから話さないとわからないわ。それに食べながら話すのはお行儀悪いわよ」


妹さんが何かを話そうと聞き取れなかった俺達は、彼女が口の中のものを食べ終えるのを待つ。食べ終えると、彼女はニコニコしながら俺達二人にこう言った。


「らぶらぶですー!」


「「……」」




………

……




「111,112,113……っ!」


「がんばれよー」


夕食も終わりそろそろ帰ろうとした俺は、弟君に野球を教えてくれと頼まれて少し残ることにした。教えるほどに、深い知識があるわけではないが……、家に帰ってもやることもないしな。


そうそう、俺はこの世界に来る前は野球も齧っていたよ。他にも色々やっていたが、野球歴が一番長い。まあ前世とかぶっとんだことは言っていないけど、弟君に野球をやっていたことを話したら、ぜひ教えてくれとせがまれたのだ。


……何かこんな純粋な子達と交流すると、心が洗われるよな。この前まで交流していたのは海とか春香みたいな色物だったし。

『ひどいですよ和人君!』『ふーん、そんなこと言うんだ和人君』 ……だからお前らはギャグ空間の人間かよ。


今日教えるのはバッティング。彼は今素振りをしていて、俺はそれを眺めていた。

まだまだ野球の初心者っぽい彼に教えることはたくさんある。だが、まずはある程度うまくならないと、技術的なことは指導できないのだ。だから彼には今、俺は初歩的なことを教えようと考えていた。


「150……! はぁ、はぁ、はぁ……どうですか和人さん! どこを直せばいいですが?」 


「そうだな……弟君、素振りをする理由は何だと思う?」


「そ、それは皆がやっているっていうし効果があるんじゃ……」


「ああ、やり始める理由はそうかもな。でも、ちょっと素振りの時に何のためにやるかを意識するだけで、効果がでるかもしれないぞ?」


「……一つ前のスイングよりも速くスイングすることとかですか?」


「ああ、素振りの効果の一つだな。よく自分で考えられたな。」


「えへへ……」


「素振りをする目的はいろいろあるんだ。フォームを固めること。それをまずは意識しながら素振りをしてみてくれ。試合中にスイングがブレていたら打てるものも打てなくなるだろ?」


「はい!」


「ある程度フォームが固まってきたら、次は試合を想定して素振りをするんだ。さっきまで弟君は一つのコースしか振ってなかったけど、今度からはな、相手投手がどこに投げてくるか、どの速さで投げてくるか、打球をどこに飛ばしたいかを考えながら素振りをしてみてくれ。それだったらもっと上手くなると思うよ」


「わかりました! それじゃ、もっと考えながら素振りしてきますね!」


「ああ、頑張れよ。この前俺が見た時よりも上手くなってるからな、教えてる方も楽しいよ」


「ありがとうございます!」


ま、最初はこれくらいでいいだろう。もう少し彼が上達すれば、もっと色々なことを指導していけばいい。はじめはこうして基礎的な部分でも楽しく練習できるように教えればいいんだ。きつく練習して野球から離れるなんてもったいない。それに、ちゃんとした野球部に入れば、指導者も正しい練習方法とか教えてくれるだろう。


「バットが遠回りに出ているように見えるな、もう少し注意した方がいい」


「はい!」


「頭がぶれ過ぎているように感じる。それじゃ上手くボールを見ることができない」


「はい! わかりました!」


そんな感じでちょくちょく彼に指導のようなことをしていると、マンションの中で家事をしていた華が俺の所に歩いてきた。


「はい、教える方も疲れるでしょ? これ」


彼女が俺にスポーツ飲料をくれた。シャンプーの香りがしたから、華を見る。どうやらついでに風呂にも入ってきたようだ。少し濡れた髪を見てそう思った。


「お、ありがとな」


俺にドリンクをくれた彼女は俺の横に座り、弟君の様子を一緒に眺めるのに加わる。


「こっちこそありがと。弟に教えてくれて」


「いいや、彼は才能あるから教えるこっちも楽しいよ。それに、久しぶりに野球に携われて嬉しい」


「ねえ、あんたって野球やってたの?」


「ま、ちょっとな」


前世でもやっていたし、何より今回の世界でも暇つぶしでたまに草野球とかでやっている。


「それにしてはあんた野球部みたいにゴリゴリしてないわね」


「あはは、芸能人みたいでカッコいいだろ?」


「ふふっ、もう……変なところでナルシストバカなんだから。どれくらいうまかったの?」


この春も過ぎようとしている時期、風が気持ちい。その風が流れる。華の髪がなびく。……やっぱり可愛いよな? 風呂上りだから、妙に色っぽいし。何でアリアの時間軸で、あのクソ転生者野郎は攻略を本当にしなかったんだ?

まあ、それはどうでもいいか。


「自分のうまさとか人に言えるものでもないしな……ま、お前が見たら『カッコいいわ!』って叫ぶくらいにはうまいよ」


「何よそれ、私がまるで甲子園で特に親しくもない野球部が負けているのをスタンドで見て泣いているような女の子みたいじゃない」


「……随分具体的なツッコミだな」


「で、ほんとにうまいのかしら? それくらい言うんだから自信あるんでしょうねー?」


ニヤリと、挑発的な顔をして俺を覗き込む彼女。そのしぐさに俺は口の端を上げながら答えた。


「じゃあ今度の球技大会見てろよ」


「え? 確か内容は……」


「野球だよ。クラスには俺が野球やってたことを知っている奴がいるから、俺を出そうとするだろうな。面倒だからサボろうとしていたけど、お前がそういうなら証明するよ」


「ふふ、負けず嫌いなのね、和人は。いいわよ、証明できたら何かあんたのお願いかなえてあげるわ」


「おいおい、そんなこと言っていいのか?」


「ええ、なんでもかなえて……って、下ネタはやめなさいよ!」


「……何も言ってないだろうが。そうだな、どうしたら証明したことになる?」


「野球経験者からホームラン打ちなさい! そして、目指すは優勝よ!」


「……マジか?」


ホームランとは結構難しい。確か今回の相手クラスの投手は……


「何よ、できないの?」


「あー、もう。わかったよ。そのかわり覚悟しておけよ?」


「はいはい、楽しみにしてるわ」


……ああ、気づくのが遅れたな。華に俺の上着を着せた。


「ほら、これ着ろよ」


「え?」


「春って言っても、まだ少し寒いだろう? 風呂上がりっぽいし、風邪ひくぞ?」


「う、うん。……あ、ありがと」


体育座りをしながら、俺の上着を素直に受け取る華。心なしか、顔が赤い。


「あんまり俺の上着の匂いを嗅ぐなよ。恥ずかしいだろう?」


「嗅いでないわよ! ……ちょっとくらい、いいじゃない……。それに、急に優しくするから、ドキドキするじゃない……バカっ」


「何か言ったか?」


「いってない! ……ねえ、寒いから、少し近くに行っていい?」


「ああ、いいぞ」


二人で、弟君と、星を眺めながら夜を過ごすのだった。




………

……





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