2章1話
2章開始です。
「俺の後輩が嫉妬に狂った」
「……先輩? 何言ってるんですか?」
俺――和人、あだ名は『クズ人』。現在、この世界を『また』経験している。『また』……というのも、この身に与えられた得意な異能……、そいつのおかげで。まあ、その力のことを話すのは後にして、前回のおさらいをしよう。
前回は海という少女を攻略してみた。静かで、まさに大和撫子。男の理想を体現したような存在。そんな女を順調に俺好みに教育していった。だが、それも途中まではうまくいったのだが……
『えへへ、心配してくれるんですね』
いかんせん、海の調きょ……、いや付き合い方を間違えてしまって、壊してしまったようだ。
淡々と今述べているが、実は残念で仕方がない。俺があいつを教育するのに何年かけたと思う? 自分が最強に進めたRPGを消されたようなものだ。それに海程の女は滅多にいないと思うの一因だ。金持ちであり、容姿も優れ、性格も俺好み。俺以外の男だと捨てる理由などないと言っても等しい。それに、海を見ているとどこか懐かしい感じが……『jq@f7e09』……まあいいや。頭を切り替えよう。
所詮は代わりが効く女。まあ彼女には適度に幸せな人生を送ってもらえばいい。あいつの顔ならば選り取り見取りだろう。
さて、話を変えよう。そんな過去のことよりも、今どうにかしないといけない問題が目の前にあるだろうが。
それは目の前で俺を先輩と呼んでいる女に関係すること。その女は、海より少しレベルは落ちるかもしれないが、それでも美しい部類であった。ショートカット、それにメガネをかけていて、一見すると大人しそうな女性。だが一つだけ異彩を放っていた。瞳孔が開いた眼で、俺を逃がすまいと見つめているのだ。
その彼女の部屋で、俺は力強く抱きしめられていた。
ふと彼女の部屋を見てみる。どうにも以前訪れた時よりも綺麗過ぎた。いや、これは綺麗と言うよりも……物が少なすぎた。さすがにベッドや冷蔵庫などの生活に必要なものはあるが、以前あった女の子らしい小物類など、全てなくなっていた。
また、気になるものもあった。
それは部屋中にある大量の段ボール。中に何があるかわからないが、どうしてこんなものがあるのだろうか? 両親の仕送りとかではないはずだ。その可能性は、また俺が『潰した』のだから。
「……なぁ、そろそろ仕事行きたいんだけどいいかな?」
「ダメですよ。何寝ぼけたこと言ってるんですか?」
強く強く、この女は俺を抱きしめる。女性にこんな力があるのかと驚くともに、俺は再度この女の顔を見ると、少し肌色が視界の半分以上を占めた。それは、彼女が俺にキスをしてきたからであった。
………
……
…