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そうだ、女の子を壊してヤンデレにしよう(旧題:そして俺は彼女達を堕とす)  作者: pawa
7章 花の笑顔。そして、俺は彼女を壊した。
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7章37話(ハーレム編_クリスマスパーティ) クリパ実行委員会会議

………

……


クリスマスパーティー。

それは文化祭とほぼ内容は変わらない。

クラスで出し物をするだけ。そして、部活動からも何かあれば出店とかを出す。


ただ、内容が『楽しいものか?』だけだった。


うちの学校の文化祭は、まあ正直に言ってお堅い。何らかの文化的なものの調査結果を報告する場でもある。もちろん出店とかも許されるが。


それに比べクリスマスパーティーの出し物。それはほぼなんでも許される。

メイド喫茶でもいい。

朗読会でもいい。

劇でもいい。

ビデオ上映会でもいい。

漫才でもいい。


なんでもいいのだ。学生たちが楽しめるものであったら。まあ、クリスマスにちなんだものであったらなおのこと良しなのだが。


だが、それが健全なものかどうかの確認が必要だ。

だってそうだろ? もし大人向けのお店を開きたいという馬鹿がいたら取り締まる必要がある。学校全体の評判を落とすことになるのだ。


じゃあ、誰がその確認をするのか?

そして、誰がその出し物の支援、主に予算になるのだが、各クラスの出し物を問題なく表に出せるように責任を持つのか?


そう、生徒会の俺らだ。


「これから、クリスマスパーティー実行委員会を始めます。皆さん、よろしくお願いいたします。」



クリスマスパーティー実行委員長 兼 生徒会の長であるアリアが開始の合図をつげた。

今日の会議の内容は、各クラスの出し物の簡単な概要と、その概算の費用についてだ。

各クラスの代表がこの場で集まり、生徒会に報告する場となっている。


…非常に面倒だ。

だってそうだろう?

なぜ学生の俺らが金を管理しないといけない? なぜ金の配分を考えなければならない?

教師たちは懸念なかったのか?

だってそうだろう。学生同士が結託し、予算をうまく扱えなかったらどうするつもりだ?


普通の学校ならば考えられない。だから、この世界のゆがみを感じる。どこまで漫画のような世界なんだなと心の中で愚痴る。


「この前の会議でこちらからお願いさせていただきました、各クラスの課題について今日は議論できればと思います。皆さん、今日の会議の前に概要の資料を提示いただいたきましたが…。うん、改めて、出してきてないクラスはいないわね。よし、それでは今から各クラスから説明お願いします。まずは、1-Aからお願いします」


会議の進行が始まる。

進行役について本来ならば、会計係、もしくは俺がやるべきだと思う。だが、アリアは自分がやるといって聞かなかった。

理由は、みんなに負担をかけるのは申し訳ないと。それくらいならやると。…主に俺の目を見ながらだが。


まあ、実質そうだ。俺がほとんど中身については進めているといっても過言ではない。

資料作成、そして各クラスの内容の精査。そのような細かい作業の実施、そして進捗管理はほぼ俺がやっていた。


それを心ぐるしいとアリアは思ったのだろう。だから、こうやって、やる気を出しているようだった。


各クラスが、自分たちの出し物、そしてそれにかかる費用の概算について述べていった。

それに対し、アリアはそのクラスの説明が終わるたびに、コメントを残していった。


「うん、うん…なるほど。それは楽しそうね。予算は、……うん、ちょっと高いけど、それで行けるかどうか、持ち帰って確認してくるわね。前向きに検討するわ。……うん、こちらこそありがとう」



各クラスは、安心したように説明を終えていく。


大体一通り、各クラスが説明し終えた。

先ほどのアリアの発言のように、アリアは各クラスに対して肯定的な意見を述べている。


この…『査問』が終わる前に、どうしても俺から発言する必要がある。それを感じた。


「みんな今日はありが「ちょっと待ってくれ、アリア。俺からも話したい。」…えっ何かしら?」


アリアが驚いた顔をする。

そして各クラスが、困惑した様子がうかがえる。どこか、焦ったような様子を感じる。


「予算を管理している立場の俺からの観点も述べたい。よろしいでしょうか、生徒会長?」


「え、ええ…」


「では……、2-Aの実行委員さん、ちょっといいでしょうか?」


「は、はい…。なんでしょうか?」


困惑している様子を見せる、2年の男女。同じ学年だが、俺が敬語を使っているから、それにつられて相手も敬語を使っているのだろう。


「コスプレ喫茶という趣旨はわかりました。私も楽しそうと思います。ですが……、この概算の費用は何ですか?」


「え?」


「去年、同じような催し物のクラスの予算を見てみました。その際、あなたたちのクラスの1/2以下、いや、1/3以下の予算内におさまっています。概算の時点でです。なぜそこまでかかると見込んでいるのでしょうか?」


「だ、だって…」


2-Aの担当者が口ごもる。

場の雰囲気は最悪だが、それでも俺は続ける。


2-Aを名指しにした理由……、それは風の噂で聞いたからだ。

こいつらは、衣装を2着用意しようとしている。男女別ではなく、女性だけである。普通は一つの衣装だ。それも、過激で露出度が高いコスプレをするそうである。

2着も用意する必要もないし、それに衣装にかける費用が高すぎる。しかも露出度が高い?そんなものは生徒会として基本的に認めることはできなかった。だから、厳しい言葉をかける必要がある。


「各クラスの予算配分は大体決められてます。そして、必要性が私たちに伝われば、それにかかる費用を私たちがさらに追加予算を決定する。私たち生徒会の、今回のクリスマスパーティーのためにためた予算です。それは前回にも言いました。しかし、なぜこれだけかかるのかの根拠がわかりません。私たちが納得する材料をください」


「そ、それはみんなが楽しむために必要だと思って…」


「楽しむ? それはほかのクラスのみんなだって、楽しみたいはずです。みんなが楽しむための支援をするのが私たちですが、それも限度がある。つまり、分け与えれれるお金も無限ではないことを知ってもらいたい。」


「……無理ですよ! 学生の私たちが、こんなお金のことなんて管理することは…」


確かに無理だなと心の底で同意する。

だが、諦めてくれ。それがこのいびつな世界なんだ。


誰がこんな世界を作ったんだ。馬鹿が。社会人がやることなんだよ、これは。


憐みの心を持ちつつ、半分泣きそうなその担当者にさらに突きつける。


「なるほど。…では、1-Aのクラスの方、予算を見せてももらってもいいでしょうか? そして、自分たちのクラスの費用の根拠を教えてください」


「はい」


そうやって、1-Aの担当者……、そう、海が席を立つ。

海は明確な費用根拠を提示していた。何のためにこの材料が必要で、一番安い値段で購入してもこれくらい費用がかかる。材料すべてに対して調査が完ぺきだった。


海が説明をし終えると、俺は言葉をつづけた。


「ありがとうございます。1-Aの方の説明で、私は納得しました。ほかのクラスの皆さんはどうでしょうか?」


「……それは、その子が特別すごいだけで」


他のクラスは文句がなさそうだったが、2-Aのさっきの担当者はまだ反論しようとする。

そうだな、海は確かにできる女だ。頭がよく、それに美人だから学校でも知れ渡っている。


「確かにそのような部分があるかもしれません。しかし、この子に対しては、私は先日から予算面のフォローを行っていました。どのように算出すればいいのかの支援です。」


「え、それずるくないですか?」


「ずるくはありません。現に私は数週間前のこの会議で言いました。相談してくだされば、早めに予算面に対して指導等アドバイスを行うと。それが一日前であっても。そのことはこの前の議事録にも載っています。」


「……」


この会議の雰囲気は最悪のものになっていた。


「何も、あなたを攻めているわけではない。あなたは十分にクラスのために動いてくださっていると思います。それはすごいことです。名指しで代表としてこうやって説明を求めるのは大変申し訳なく思ってます。……だが、学校の予算は有限ではない。それは私たちの親から出ているものだ。それをできるだけ有意義に使いたいだけです。だから…、皆さん、よろしければ協力してください。2-Aの人だけではありません。皆さん予算をもう一度見直してください。仮の話をします。膨大な予算を各クラスが提示して、ここで私たちが全部にOKを出す。その後、やはり我々から出せないと判明すれば、皆さんの計画も破綻してしまう。誰も楽しめなくなってしまうのです」


これはアリアに向けた言葉だ。横のアリアを見る。アリアは悲しそうな顔をして俯いていた。横にいる俺だけが表情を把握できた。そして、怒られる子供のように体を小さくしていた。



「後で、私から各クラスの予算改善案、主に疑問点をまとめたものを出します。それに沿って、まずは決められた予算内で収まるよう頑張って下さい。それでも難しい場合は相談してください。」


「……で、でも、和人君。スケジュールは間に合うの? それに和人君の負担が…」


アリアは顔を下げながらも、小さくても、はっきりと声を上げた。


「間に合う? 間に合わせるんだ。それに、今回このようなことが起きると予想して全体スケジュールを組んでいる。問題ない。それに俺の負担? それは俺たち生徒会の中で話す議題だ。この場で議論することではない。」


「……」


アリアは黙り込んだ。そんなアリアから視線を外し、各実行委員の方を向く。


「失礼しました…。一つはっきりと言いたいことは、……我々も、皆さんができる限り楽しくなるよう本当に支援したいんです。それが生徒会の役目ですから。だから、よければこれからのご協力、ぜひお願いしたい。……今日の会議は以上としたいと思います。会長から何かありますか?」


「……」


黙って下を向いているアリア。いつもの俺だったら、優しい声をかけているが、今回は違う。


「アリア、顔を上げろ。生徒会長のお前がそうなってどうする?」


「…っ」


「何も言うことがないならば、その旨を伝えろ。それが今日の最後の役目だ。生徒会長だろ、お前が」


「……私からは、何もありません。皆さん、これからも、……生徒会を、よろしくお願いいたします。」


それは自分に向けて言った言葉のようだった。


「それでは今日の会議を終わります。皆さん、解散してもらっても大丈夫です。……生徒会室は本日19時まで空いています。それまで何かあれば受け付けますので、いつでもどうぞ。今日のこと含めてです。本日はありがとうございました。」



………

……





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