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そうだ、女の子を壊してヤンデレにしよう(旧題:そして俺は彼女達を堕とす)  作者: pawa
1章 そして俺は同級生を後輩に堕とす
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1章1話

以下、注意です。ご確認お願いします。

・この小説は、基本的に女の子が酷い目にあったりします。ご容赦願います。

・女性蔑視の意図はありません。不愉快な描写がある場合申し訳ありません。

・皆さんに楽しんでいただければ幸いです。


「え? お前留年したのか。何やっているんだよ馬鹿が」


「誰のせいですか! 誰の! うぅ……」


目の前の美少女がきゃんきゃんと、床に伏せて子犬のように泣き喚いている。俺はその様子を口角を釣り上げながら眺めていた。

彼女の泣き顔を覗くことはできない。それは先ほど俺が彼女に命令したからである。『お前の汚い泣き顔を見せるなよ』と。


そんな俺―――和木谷 和人わきやかずと、ある時期には『クズ人』と呼ばれていた俺は現在、元の世界とは少しだけ違う、だがほとんど同じであるこの世界に来ていた。

目を覚ますと全く知らない子供っぽい部屋。そして短い手足。人生で一番焦ったのはこの時だろう、冷静とはとても言えない状態で部屋に備え付けてあった鏡を探し出すと、俺の子供の時の姿が映っていたのだ。

寝ていたベッドの枕元には一つの手紙があった。その手紙には箇条書きで2つの言葉が記載されていた。一つ目の内容は、


『この世界で楽しませろ』


最初は冗談かと思った、タチの悪い夢だろうと。だが、それから日々暮らしていく中で、これが冗談でないことに気付いたのであった。この世界は元の世界と似たような現代の日本であり、紛れもない『現実』だということに俺は気付かされていったのだ。

そのふざけた手紙の内容に従って? 俺はこの世界で生きていくのであったが……


「……で? 一体、誰のせいなんだ?」


「ちょっ!? あなたって人は……!」




………

……




この女と何故こういう会話をするに至ったかを回想しようと思う。


転生? やり直し? どちらかはわからないが、そのような奇天烈な出来事が実際に俺の身に起きてしまって思った。間違いなく子供の頃の自分の姿。やり直すことができる。だが、正確な意味での『やり直し』はできそうになかった。それはニュースの内容や町の名前、芸能人の名前。様々なものが前の世界と異なっていたから。そして一番違っていたのは家族。まったく知らない父親・母親がいたときは驚いた。このことからやり直しではなく、ただ子供の姿で違う世界に来たのだと理解した。


だがこうして来たとしても……実際何をすればいいんだと大きな疑問を抱いた。

別に剣と魔法の世界でもない現代日本に似たこの世界は、命の危機がない。であるからネットに転がっている小説のように身体を鍛えたり、魔法を習得したりする必要もなく、要するに何もしなくてよい訳である。


この世界に来て日常を過ごす中でわかったのだが、本当に現代日本とあまり変わらないのだ。だから今まで過ごしてきた日々のように、一般人Aとして生きればいいのであった。やるべきことも、やりたいこともなく、為すべきことも、ただ社会の歯車の一部分として、日常生活を謳歌すればいいんだ。


――――いや、やりたいことはあった。

この胸にグツグツと、マグマのように湧き上がるものがある。

……『寂しい』。そのような胸を苛む病のような感情。

今までは家に帰ると暖かく迎えてくれる家族がいた。厳しい父、厳しい母、性格がきつく、何かと干渉してくる姉妹。……あれ? 優しいのか? そういえば皆暖かいと言うよりも、ツンドラのように冷たかった気が……まあいい。そんなあの人たちや、友達から離れ、一人ボッチになったのだ。俺は彼らに支えてもらっていたのだと。彼らは自分という存在の大部分を占めていたのだと。二度と彼らと会えないかもしれないのだ。

確かに現代日本と変わらないけど、知らない世界に来て、知人もいない。テレビも、有名人も、ドラマも、漫画も元の世界とは違っていた。寂しいと思わない者など、どこにいるだろうか?

彼らを、俺の人生を構成するものたちを忘れることなどできない。


この、孤独感を埋めるために行動しなければならない。そう決意した。

身体が成長し、まずは必要ないと考えていたスポーツや勉強に打ち込んでみた。そうすれば何も考える必要もなく、達成感など何かしらのポジティブな感情を抱くことができると思ったから。

そうする内に、神童と持て囃され、上級生にもスポーツで負けないくらいに成長していった。こっちはアドバンテージがある。体の動かし方もわかるし、勉強も以前習得したこと。伊達に「あの人」を目指していたわけではない。


だけど……結果はダメだった。どうしても寂しさを拭い去ることなどできない。

確かに何かに熱中し褒められているときは、少し頭を空にすることができた。だが、段々と『本当の意味で誰かから認められたい』という承認欲求が強くなっていった。というか、勉強やスポーツに打ち込むことで寂しさをなくせと言う方がおかしかったのだ。結局は人間は承認欲求を満たすために行動しているに過ぎない(俺の偏見かもしれないが)。勉強し良い成績をとることで褒められる、早く走れれば女の子から好かれる。自己の行いを深堀していくと結局はそれが根底だったのだ。……俺は何故今までこんな行動を起こしたのだ?  今の俺に対する賞賛・それに対する優越感など、同じ出発点から勝負して初めて得られるものだろう。俺はそもそも出発点から違うのだ、それで自分よりスタートが遅れている者達に勝ち、何故喜んでいられるのか。というか異世界転生ややり直しした奴等は、こういうことで周囲から認められて恥ずかしくはないのか? 死にたくはならないのか?


いくら賞賛されてもこの孤独感からは抜け出せなかったのだ。というかイライラした。

はじめは喜んでくれていたこの世界の両親も、俺のことを化け物のように見ていることも拍車に。その年齢ではありえない理知的な行動をしてしまっていたツケだ。俺が悪いのだ。この異分子が。だがそのことがさらに焦燥感、寂しさに結びついてしまった。


ふと、そんな慢性的な心病を解消するために深夜アニメを見てみた。偶然だ、偶然。で、その内容だが特に変哲もないラブコメものであった。イケメンの主人公がヒロインたちの悩みを解決し惚れさせる内容。巷に溢れている特筆すべきものがない作品。

だけど、そのなかで気になるキャラがいたのだ。

ヒロインの一人がいわゆる『ヤンデレ』の娘だった。その彼女が主人公を愛し、主人公に依存し、主人公の周りの暖かな環境を壊す。そんな傍から見れば迷惑極まりない彼女を観て、こう思ったのだった。『そんなに愛されているのなら、この苛立ちを消すことはできるのでは?』、と。

天啓を得た。視界が明るくなった。胸にこもっていたイライラが晴れた。ありがとう、名も忘れたハーレムアニメ。この恩は忘れない。


目標が出来てしまった。この世界でやるべきことができてしまった。これが昔の偉人たちも感じていたような天啓なのだろうか。揺るぎなき決意ができた。これが俺の意志だ。


『この世界で女を壊して依存させよう』


………

……


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