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仕返し

どうもココアです!!

 今は夏休みですよね!!ということで更新ペースを上げています!


そして、早速本日で総合評価ptが300になりました!!

97     仕返し



「ひ、ひどい目に会った……」


天気は雲一つもない晴天だというのに、俺の心は雨雲のように黒ずんでいた。なぜなら昨日一日、それこそ魔女さんの人形同然に扱われた。ノワールとかは先に帰っちゃうし……ただ俺は助けを求めながら時間を過ぎるのを待っているしかなかった。


何回も何回も魔女さんが持っていた服を着せられ、挙句の果てに男の娘になるところだった。でも、それだけは何とか守り抜き、一生消えない心の傷を負いながらノワールたちが待つ場所まで移動していた。朝になってもノワールが向かえに来ないので、スキル【テレパシー】で連絡を取った結果『場所を教えるから来い』という連絡が返ってきた。さすがに転移は使えないので、帰りは魔女さんに送ってもらった(見返りに抱き着きを要求された)。




―――そして今に至る。辺り一体は木々で囲まれていて、空を見上げると木々の間から青い晴天の空が確認出来る。魔女さんは「あんなのに会う何てごめんよ」と言って直ぐ帰ってしまい、俺は今先に帰ったノワールたちを探しているというわけだ。


「ったく、一体どこに居るん―――」


―――ドゴォォォォォ!!!


「え?何、今の音……」


思い切り文句言ってやろうかと呟いた瞬間、爆音がここら一帯に轟いた。思わず耳をふさいだまましゃがみ込むと、本当の意味で影のようなものが俺の視界を横切った。耳をふさいでいる場合ではないと思った俺は目を拗らせてよく見ると、それは確かにスキル【人間体】を発動させたモンの姿だった。

 その近くではコアトルちゃんがいて、ノワールは腕組をしながら見ている。どうやらモンとコアトルちゃんで組手をやっているらしい。


恐らくコアトルちゃんが範囲無差別のスキルでも発動させたのだろう。全くもって迷惑な話である。


「何だよ……驚かすなよ」


わざわざ耳をふさいでしゃがんだ意味が無かったと思った俺は、昨日俺一人を置いて帰ったことに腹が立ち、さっきのことも含めて仕返しをすることにした。


「よし【認識阻害】、【気配遮断】の平行起動。そして、【魔力妨害】に【魔力分解】を常時発動」


そう呟くと、俺の姿は完全なステルス状態となりそれなりの実力者でないと気が付かれない。万が一気が付かれたとしても【魔力妨害】により威力を抑え、【魔力分解】によってそれでも残った攻撃魔力を分解するという手はずだ。

 まあ、ノワール以外には気が付かれないでほしいかな。あいつに気が付かれるのは別に構わないけど、モンとコアトルちゃんには少しでも強くなったことを分かってもらいたい。


子供の悪戯のような感覚でやろうとした俺は近くに落ちていた木の棒を手に取り、スキル【硬化】で強度を高める。さらにスキル【付与エンチャント】で【黒炎】を付与エンチャントし、属性攻撃も可能とさせた。スキル【硬化】により、ただの木の棒でも黒炎の温度に少しは耐えられるようになる。


「まあ、それでも限界は二分ってところだな」


二分という少ない時間で悪戯を仕掛ける俺はスキル【音速走】で距離を一瞬にして詰め、モンとコアトルちゃんが向かい会って立っている真ん中に移動した。俺のことには全く気が付いていないらしく、二人とも何も気にしないで拳を固めながら走り出す。


「そこまで!!」


「「えっ!?」」



―――しかし、二人が自分の全力を乗せた拳を突き出した瞬間にノワールがストップの合図を出す。心の中では俺も『えっ!?』と思っていたりする。


「ノワール殿。なぜでござる?むしろこれからでござる!!」


「私もそう思う。モンと戦うの楽しい……。それに、今は69勝70敗なの。これで同数に並ぶの」


そんなに組手やってたの?いきなりストップをかけたことに不満の声を上げるモンとコアトルちゃんに、俺は心の中でツッコミを入れていた。すると、ノワールがいつの間にか俺の目の前に近づいていて見下すように見えていないはずの俺を見つめていた。


そして黙って指を鳴らすと、俺が発動させていた【認識阻害】と【気配遮断】が強制的に解除される。


「やはり貴様か。感じたことの魔力がいきなり消失したことに違和感を感じたのだが、その程度のスキルd我を騙せると思わないことだな」


「は、ハルト殿!!?いつの間にそこに居たでござる!?」


「あれ?ハルトって、あの綺麗な人のお嫁に行ったんじゃなかったの?」


「うん。とりあえず色々言いたいことあるけど、コアトルちゃん。俺は『お嫁』にはいけないからね。行くとしたら『お婿』だよ?それ以前に、俺はあの人のところにお婿何て行きたくない」


「……?そうなの?分かった」


首を傾げるコアトルちゃん。どうやら俺がここに居るということに本気で驚いてくれているのはモンらしい。スキル【人間体】を発動させているモンの体結構エロ……いや、結構人間らしく、表情も数段分かりやすくなる。


今はただ口を大きく開け、誰がどう見ても驚いているというのが分かる顔をしている。


「フハハハハ!!ご苦労であったなハルトよ!!あの破壊の魔女のことだから、奇抜なドレスでも来た状態で帰ってくるものかと思ったが、そんなことがなくて残念だ!!フハハハハ!!!」


「うるせえ!!お前らが先に帰ったあと、俺がどうなったか知らねえだろ!!あともう少しで男の娘になるところだったんだぞ!!」


「そう怒るのではない。そして、その怒りは戦って解消すればいい。今からモン・コアトルVSハルトで組手をやってみるがいい。範囲はこの森一帯にするとしよう。たとえここを更地にしたとしても、ルインを呼び出して創造させるから安心するがいい」


うわ。ルインメチャクチャ可哀想じゃん。

 そんなノワールの提案により、俺はモン・コアトルちゃんと組手をすることとなった。




※※※




「いいか?これがあくまでも組手だ。当然殺すのは無しだぞ?」


「へいへい。それはいいけどさ、俺に何か得物貸してくれない?さすがに素手をキツイんだけど」


「そんなものは自分で作るものだ。貴様の強さなら問題ないだろう?」


「あーはいはい。聞いた俺が馬鹿だった」


さすがに木の棒に【硬化】で強度を上げただけでは直ぐに破壊されると思い、【収納魔法】で数多くの物を収納しているノワールに武器を借りようとしたけど見事に却下された。


そんな意味の無いやり取りをしていると、モンとコアトルちゃんの二人が既に戦闘態勢に入っていた。


「ではあとは好きなタイミングで始めるがいい。我は高見の見物をしている」


「お前あとで3発殴らせろ」


組手スタート合図すらも出してくれないノワールにムカついた俺は無意識にそちらに視線を向けると、既にコアトルちゃんがこちらに攻撃を放っていた。その攻撃はスキル【黒炎竜】。何回も見たことがあるスキルだが、以前見た時は【炎竜】だったはず。【黒炎竜】は【炎竜】の上位スキルで、威力の差は一目瞭然である。


「あ、やべ―――」


気がついたら黒い炎で作られた竜がこちらに向かっていて、回避するような時間は既に用意されていなかった。それでも俺は真っすぐ右手を伸ばし、スキル発動させる。


―――ドゴォォォ!!

 早速一発で勝負がついたと思うほどの破壊音が響き、黒い煙が高く上がっていた。でも、俺には全く攻撃が届いていない。煙でこちらの様子が分からないと踏んだ俺はスキル【音速走】で思い切り駆け、無傷の状態で煙の中から出てきた俺を見て驚いている二人を確認してスキル【部分擬態】で右手を竜の爪に変化させる。


「【竜の爪(ドラゴンクロー)】……」


このスキル【部分擬態】というのは単なる見掛け倒しではなく、擬態した物をそのまま再現できるのだ。しかし、擬態は使う本人のイメージ通りに擬態してしまう。だからきちんと想像しないとまがい物に擬態してしまうのだ。


そして、無事に右手を竜の爪に擬態させることが出来た俺はそのままモンとコアトルちゃんに振りかざす。


「あれ?」


「正直見くびっていたでござるよハルト殿」


しかし、俺の一撃はいち早く俺の攻撃に気が付いたモンの【魔結界】によって防がれた。しかし、息を切らしているモンの姿を見ると相当無理をして魔結界を張っていると見える。恐らく【人間体】を長く発動しすぎたのだろう。スキル【人間体】は膨大な魔力を消費するスキルで、その代わりに代償以上の力を持つことが出来る。


「コアトル殿!!今でござる!!」


「分かった!!ハルト、勝負!!」


俺の右手がまだ【魔結界】に防がれているのをいいことに、コアトルちゃんが肉弾戦を挑んできた。それを見た俺は急いで【部分擬態】を解除し、急いでコアトルちゃんの動きに対応する。


するとコアトルちゃんの拳に黒い炎が纏う。どうやら以前自分で考えたスキル【炎突き】を【黒炎突き】に進化させたらしい。

 何はともあれ魔力の物理攻撃だと分かったことに安心し、コアトルちゃん渾身の一撃を左手で軽く受け止める。


「―――あれ?」


俺が渾身の一撃を受け止めると、拳に纏っていた黒炎が段々と小さくなりやがて消えて行った。コアトルちゃんは力が吸われるという味わったことがない感覚に襲われたことにペースを乱し、隙だらけのコアトルちゃんの体に触れた俺は極限まで威力を抑えた【魔力破】を放つ。


「うっ!?」


威力を抑えても、【魔力破】の衝撃を直接体内に伝わったコアトルちゃんはしばらく立つことはできない。一応無属性なので自動的に腐食が付与エンチャントされているのだが、そこはちゃんと回復魔法で対処している。


「コアトル殿!!」


「モン。お前はどっちがいい?」


「え?」


「【魔力破】がいいか【竜の爪(ドラゴンクロー)】」


コアトルちゃんの心配をするモンに近づいた俺はこれ以上ないほどニヤニヤしながら選択肢を与えた。するとモンは小さな声で【魔力破】と答えたので、コアトルちゃんと同じような感覚で魔力破を放った。






――うん。これですっきりした。

読んでいただいてありがとうございます!!

 夏休みなので更新ペースを上げてしますので結構展開進むのが早いと思います。


次回をお楽しみに!

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