草原→森→村
昨日に続いて今日も更新です!!
ようやく村にたどりつく!?
詳しくは本編で!!
9 草原→森→村
………おかしいな。多分、こっちに進んだと思ったんだけどな。
ノワールが魔獣に襲われている姉妹を助けてしまった手前、俺は認識阻害をかけられたまま一人ぼっちになってしまっていた。
あのムカつくメッセージはともかく、早くノワールに追い付かないと本当に同調を切られそうで困る。
人の(幽霊の)嫌がることをするなら、あいつの他に適任はいないくらいだ。俺が迷いながらあいつを追いかけていることも、もしかしたら何らかのスキルを使って見ているのかもしれない。
そして、俺が魔獣の目の前を通った瞬間に同調を切って笑い転げる姿が目に浮かんでしまう。
友達ならもう少し信頼してやれと思うかもしれないが、あの外見詐欺のノワールの何を信頼すればいいのだろう。
たまに………極たまに『いい奴』だと思うことはあるが、その三秒後には前言撤回している自分がいるのだ。
てか、本当にこっちでいいのかな。
こうも追い付かない………というか、村のような場所が見えてこないと自身が無くなってくるんだけど。
俺はノワールたちが通ったであろう、少し開けた獣道のような道を突き進んでいた。だが、一向に追い付かない………というか、本当に道を間違えたのかもしれない。
《 個体名ノワールから、【スキル:テレパシー】を使用してメッセージが届きました。メッセージの内容を確認いたします。 》
おっと、ナイスタイミングじゃないですかノワールさん。
やっばり俺のことをスキルか何か使って見てるでしょ?この狙ったかのようなタイミングはなかなかできないと思うんだけど。
頭に流れ込んできた言葉に期待して、俺はノワールからのメッセージを待っていた。
すると、さっきとは違って直ぐにメッセージの確認の終わる合図が頭のなかに流れ込んできた。
《 メッセージの確認が終了致しました。メッセージをお伝えいたします。 》
(フハハハハハ!!!貴様、我に置いて行かれて森をさ迷っている我が友よ!村に行く方法を教えよう。
………村に行く道は、そのまままっすぐだ。貴様は霊体故に足がないが、急いでいけば10分ほどで着くだろう。我は既に着いており、先程『村長』という者にお礼の品をもらったのでな。では、村で待っているぞ!フハハハハハ!!!)
………ふざけんなよあいつ。
それが友達のすることかこの野郎。メッセージが届いたっていうときには、思わず期待しちまったじゃねえか。やっぱりあいつはろくでもない奴だな。
何回騙されたことか分からないけど、今度という今度は絶対許さねえ。友達とかって言う都合のいいことばっかり言いややがって。
本当に友達だと思ってるなら少なくとも追いつけない友達を心配して待っていてくれよ。
ノワールさーん!!チートヴァンパイアなのに、友達を助けてくれないんですか?ノワールさーん!!今はどんなごちそうを食べてるんですか?
俺の分も取っておいてくれよ!………味覚ないし、ほとんど食事じゃなくて作業に近いけどさ!雰囲気うらいは味わいたいという、転生じゃくて転死してこの世界にやって来た儚いゴーストの願いなんだからさ!
どうせ俺の心の声を勝手に聞きながらニヤニヤしてるんだろ!!
………俺は、きっとこの先にいるであろうノワールに文句を言い続けていた。もちろん、舌が長いから声に出して文句を言うのではなく、恐らく聞いているだろうということを信じて心の中で言っているだけだが。
心の中で文句を言いながら渋々と森のなかを突き進んでいた。
魔獣のような姿もなく、気配もない。もし仮に魔獣がいたとしても、認識阻害を同調されているので、多分バレない。さっき黒毛狼の死骸を食べた時、いきなりレベルが5に上がってしまったことを考えるとちょっと魔獣と戦ってみたい気持ちもなくはない。特性という新しい単語を知っただけでなく、攻撃力と防御力、そして一応魔力が急激に成長したことも気になる。
その辺のことはノワールに聞くのが手っ取り早いと思うけど……あいつに会ったら、一発殴ってやろうと心に決めたからな。
新しく覚えた【魔力撃】というスキルがとても気になるが、記念すべき一発目はノワールに使うと決めていたからな(今さっき決めた)。
(……というか、一向に村につかないんだけど。ノワールさん、10分くらいで着くとか言ってたのにさ。何で村のような物が見えてこないの?)
さすがの俺も足が痛くなってきた(足ない)。ゴーストの10分とチートヴァンパイアの10分が違うことを忘れてません?メッセージには『貴様でも急げば10分で着く』とか言っていたような気がするけど、俺はどうやらその要望に応えられないような気がします。
……と、ゆっくり森の景色を堪能しながら進むこと15分(自分の腹時計間隔)。
ようやく道が開けてきて、少し活気のある声が聞こえてきた。……言葉は理解できないけど、人間の声であることは間違いない。
ノワールが俺と同じ日本語を使うものだから、てっきり共通言語なんだと思っていた。……あれ?でも、確かあの姉妹の言葉は理解できたよな?あの子たちだけは日本語を使うのか?
《 個体名ノワールが、あなたに【言語理解】を同調していたからです。なお、これは報告しないでくれということだったので、お伝えしませんでした。 》
………いきなり流れ込んできた言葉は、今まで以上に驚いたことだった。いつもいつも絶妙なタイミングで流れ込んでくることだけでなく、今回は内容の方もだ。ノワールが俺に伝えることもなく、言語理解を同調させて言葉を理解させたということだ。
………全くもって素直じゃない奴だ。
いつもいつも変なことをしてくると奴だけど、実は良い奴だということだ。………さすがの俺も、【言語理解】というスキル?特性?のような物は理解できる。きっとどんな言語でも理解することができて、それを話すことも聞くこともできると言ったところだろう。
……そんな夢のようなスキルとかがあるなら、地球でも使えそうじゃねえか。一応地球にも、日本語だけでなく英語だとかスペイン語だとか色々あるからな。この世界の言語が一体いくつあるのか分からないけど、ノワールが俺に同調させた【言語理解】というのは欲しいな。
これから先、乗り移る身体を探せたとしても言葉も理解できなかったら元も子もない。
………でもまあ、どうせめんどくさい方法なんだろ―――
《 【言語理解】という特性は解析をすることで獲得することができます。 》
―――まじですかい。
この世界って、俺に厳しいのか優しいのかわからないな。解析をするだけで言語理解を獲得できるというなら、やらない手はないだろう。
(【解析:言語理解】。)
《 【言語理解】。ありとあらゆる言語を理解することが出来る特性。世界にいる80%の動物が獲得している特性。獲得する特性のなかでは、基本中の基本であり、たとえ子供でも獲得している。また、言語を理解するだけでなく言語を話すこともできる。 》
なるほど。言語理解か。
便利だとは思っていたけど、ここまで便利だとは思っていなかった。
《 特性【言語理解】を獲得致しました。また、これは特性なので体力や魔力を消費する心配はありません。 》
何とタイミングのいいことだろう。………毎度毎度同じトーンで頭に流れ込んでくる言葉のことが気になってしょうがない。この世界に来てすぐさま知ったのが、『何か起こったら頭に言葉が流れ込んでくる』ということだ。
お陰で村から聞こえてくる声が分かるようになってよかっ―――
《 個体名ノワールから【テレパシー】を使用してメッセージが届きました。メッセージを確認致します。》
―――おいおい。本当に何なんだよ。
ノワールさん、俺に発信機でもつけてるのか?何でそうやって絶妙なタイミングを狙ってくるんだよ。
《 メッセージの確認が終了致しました。これよりメッセージをお伝え致します。 》
(フハハハハ!!!ハルトよ!そろそろ村について、【言語理解】という特性を獲得したところか?貴様のことだから、我に会った瞬間に殴ろうとでも思っているのだろう!!
そこで一つ教えるが、我は現在ある家の中にいる。そして今、あることを頼まれているのだ。詳しい話はそこで話すが、急がないと認識阻害の同調を切るぞ。 )
おいおい、鬼かこのやろう。家にいるということは分かったけど、どこの家なのかまでは教えてくれないんかい!
分かったよ!!気合で探してやるよ!!
俺は、目の前にある村にダッシュしてノワールがいる家を探すのだった―――
読んでいただいてありがとうございます!!
昨日と比べたら文字数が少ないと思いと思いますが、そこはすみません。
次はもう少し多く書きたいと思っております。
誤字脱字報告はいつでも待っております!!