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黒幕はドワーフ?

うおぉぉぉぉ!!

 ブックマーク100件到達しましたぁぁぁぁ!!


………更新遅くなって申し訳ございません。以後気を付けようと思います。

89        黒幕はドワーフ?


「それで……リスクを負ってまで我々の場所にやって来たのはなぜじゃ?」


「それは俺らではなくお前らが知っているのではないのか?」


ドワーフが住んでいる集落に辿り着いた後、俺とルインは若干震えられている住民のドワーフに長老を名乗るドワーフが住んでいる家に案内された。

 入って直後他のドワーフより一段と年老いて見えるドワーフと話をすることができたのだが、ルインはケンカ腰のような口調で話を続ける。


「何のことですかな?」


しかし、長老は話をはぐらかせようといて適当に答えて見せた。


「話をはぐらかすな。俺はお前らが黒幕だと思ってる。この世界には悪魔たちが存在する【魔界】に続く門があるというが、俺はその門を開けたのがお前らドワーフだと思っている」


「え?ルイン?」


一瞬ルインが何を言っているのか分からなかった。ルインが言ってくれた言葉は事前に伝えてくれているものではなかった。魔界に続く門の話…………その存在を俺も知らなかったわけではない。しかし、その話は神話と言っていい。場所どころか存在すら伝説になっている魔界の門。それを開けたのがドワーフだとルインは言う。


「それはまた大した妄想ですな。場所どころか存在すら伝説である魔界の門を開ける何て不可能…………。それを我らが開けたというのですか?」


「その通りだ。しかし、たとえ伝説だとしても噂だとしても『無い』というのは証明できない。

 そして……仮にその魔界の門を見つけた時、門を開けることが出来るのはお前らドワーフだけだ」


ルインは相手を威嚇するような口調で言い。最初は話をはぐらかせようとしていたドワーフの顔にも少し焦りと汗のような物が見えてきていた。ルインは単なる予想を立てているだけだと言うのに、まるで真実を語っているかのように話すルイン。



「ハタストム。これか予想や確信ではない。これこそが真実なんだ」


そしてルインは俺の胸のうちを知っているかのように言葉を続け、焦りと汗がにじみ出ている長老をさらに追い詰めようとする。


「それで?なぜ門を開けた?この戦争の黒幕はお前たちドワーフだと言うことか?」


ルインの問いかけに俯くことしかできない長老は手を震わせながら床を撫でるようにしてさする。次の瞬間焦り、と汗を滲ませている顔に不敵な笑みを見せながらボタンを押すように床を押す。


―――カチッ。ドワーフが力を込めると音を鳴らしながら木で出来ているはずの床の一部が凹む。……そして訪れたのは音もない爆発だった。音が出ていない分威力は半減と言ったところだが、もちろん直撃したら火傷では済まない。

 ただし…………それが普通の人間だった時だけである。


「……死んだか」


音は無くても爆発は爆発。立ち上る煙のお陰で俺とルインの姿を認識できない長老は勝ち誇ったようなことを口にする。しかし、その顔は一瞬にして壊れてしまう。


「勝手に殺すな」


「!!?。まさか……生きておるのか!!?」


「その通りだ。……さて、今の爆発で証拠が見つかったようなものだが何か言うことはあるか?」


「……お主何者じゃ?」


魔界の門をドワーフが開けたということにも気づき、ドワーフが作り出した無音の爆発すらもろともしないルインを見た長老はまるで悪魔本人を見るかのような目でルインに問いかける。ルインは煙が完全に消えるのを待ち、マントを振り払いながらドワーフの問いかけに対して


「俺の名前はルイン。ただの魔術師だ」


とカッコつけるように言った。



※※※








―――ドワーフが魔界に続く門を開けたという事実が証明された結果、俺とルインはさらに長老に話を聞くことにした。


「この他種族戦争……。我らドワーフには戦う力も数もない。作る力を持っていても戦う力を持っていなくては宝の持ち腐れもいいところじゃ。

 そんな時…………魔界の門のことを聞いたのじゃ」


事実が証明されたドワーフは完全に開き直ったようで、さっきよりも明らかに能弁になって語っていた。ルインは「今度下手の動きをとったら殺す」と長老に告げたため、いつでも殺せるように左手で常時魔術を発動させながら話を聞いていた。

 しかし、ここまで長老が話したことは予想通りなのかルインは全く顔色を変えなかった。


「魔界の門…………あれが魔界の門なのかは定かではないかったが、我らはそれに賭ける以外生き残る術はなかった。何とかして門を開けた結果、悪魔と通じることができたのじゃ」


「そしてこの世界は悪魔たちが生み出した【魔族】によって支配されているわけか」


長老の言葉に繋げるようにして言うルイン。長老はただ俯きながら首を縦に振って頷くことしか出来ず、ルインの目つきがさらに怖くなっていった。そう…………今回のことをまとめるとすれば、ドワーフはこの世界が支配される衝動を起こした。

 だが、自ら手を下したわけではない。だから今まで皆考えなかったのだ。悪魔と言うのは何者で、一体どこから来たのかと。


そして、今回のことで俺とルインは真相に辿り着くことが出来た。でも、犯人が分かったからと言ってドワーフが悪魔たちを操っているわけでもない。仮のドワーフを殺しても悪魔や魔族が一緒に滅びるわけでもない。


「ちなみに……“見返り”はどうした?」


「見返り?」


「とぼけるな。理由はどうであれお前たちドワーフは悪魔をこの世界に出入りできるようにしたということになる。それの見返りは何だ?」


「それは―――」


長老が何かを言いかけようとした刹那、ルインは俺の襟元を掴んで天井を突き破って跳躍した。空気中に漂う灰を吸い込まないように急いでポケットにしまっていたマスクを装着し、ルインが襟元を離して重力に従って地面に直撃する時の受け身を考えていた。


「って!!ルイン!!離すなら離すって言え!!」


「無駄口を叩くな。油断していると死ぬぞ」


「え?っうお!!?」


今もなお宙に浮いているルインを睨みつけていると、いきなり巨大なオノが飛んできた。体をそらして何とか避けるが、一瞬腰から鈍い音が聞こえてきたような気がする。オノが飛んできた方を見るとさっきまで俺とルインと話していた長老が、よぼよぼの体からは予想もできない大きさのオノを握っていない。


「長老?何やってるんだ?」


息が荒くなっていて、黒い目もいつの間にか紫色に染まっていた。


「面倒だな……」


―――ズバンッ!!ルインは長老の死角に居ることを利用して容赦なく魔術を放つ。その魔術によって四肢は切断され、生きていたとしても身動き一つとれないはずのドワーフだが切断された四肢がどんどん治って行った。


「な……何だよあれ」


「ハタストム。あれはドワーフではない。既に……【魔族】だ」


「魔族?」


「奴は最後に何かを言いかけたが、最後に何と言おうとしたか分かるか?」


綺麗に着地したルインは振り向きながら俺に問いかけた。しかし、俺はその問いかけに答えることはできず、ただ首を横に振るしかできなかった。


「恐らくだが……見返りは【魔族化】だ。今までずっと抗っていたのだろうが、それが今となって限界を迎えたんだ」


「限界を迎えた……。それで、魔族化」


目が紫色になったのも魔族化したことを現すものだとルインは言い、とてつもない再生力を見せる長老にもう一度魔術を放つ。いつの間にか家から出てきた住民にも囲まれていて、全員の目が紫色に光っていた。


「逃げるぞ……。さすがにこの数は分が悪い」


肩を叩いて俺に「【身体強化】を使って早く逃げろ」と囁くようにして言い、一足早く逃げていった。俺もルインの後を追いようにして魔力を使って身体能力を飛躍させた。さっきまでずっと話していたから魔力が回復したため、魔力切れの心配はないと言っていい。


いくら魔族化したと言っても元々作る力しか持っていないドワーフに身体能力を飛躍した俺とルインに追いつけるわけもない。

……大分進んだところで俺とルインは一度止まり、後ろを振り返る。追手の一人も来ていないことに一安心した俺とルインだったが、殺気とも言える気配を感じとった瞬間に汗が止まらなくなってしまった。


「ル、ルイン……この気配は?」


「分からん……。だが、この気配は感じたことがないほど強力な気配だ」


ドワーフの長老と話している時も顔色を変えなかったルインの顔が今まで以上に焦っている顔をしている。



「……それなりに膨大な魔力を感じてやってきたが、まさかそれが人間だったとは笑止だな」


「「!!?」」



―――ここには俺とルイン。二人しかいないはずなのに、どこからやって来たのかも分からない声にこれ以上ないほど震わされていた。

 声のする方を見ると、魔族化したドワーフと同じ紫色の目……コウモリのような翼。鬼のような角が生えてる者が宙に浮いていた。

読んでいただいてありがとうございます!!


そろそろ過去編も中盤くらいですかね?

 ゴールまでもう少しでーす!!


次回をお楽しみに!!

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