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冒険者………いや、ただの女の子

12月16日は更新できなくてすみませんでした!!

 お詫びということではありませんが、今日はいつもより長いでーす!


多分、いつもの1.1倍くらいの文字数です。

7      冒険者………いや、ただの女の子




チート持ちの友達と森を進んでからしばらく経つが、一向に森を抜けられないという現実が俺の心を苦しめていた。

 たった今、『人間の身体に乗り移らないと恋愛が出来ない』ということに気が付いた俺は、早くこの幽霊を早く止めたかった。

この世界に来て少したった時はこの体でもいいと思っていた俺だが、恋愛ができないという最悪の事態に気が付いてしまい、一刻も早く体を見つけなければならない。  前前世でも恋愛してない童貞だったのに、異世界に来てまで同じ道を歩みたくはない。


幽霊としてこの世界に来た時点で、俺が恋愛できる可能性はかなり薄いが、乗り移りという最高のことが出来るため恋愛は絶対に諦めるわけにはいかない。



「ハルトよ。貴様はそこまで恋愛したかったのか?」



おっと、ただ単に心の中で思ってただけだけど、やっぱりノワールには聞こえていたらしい。こいつの趣味は人(幽霊)の心を勝手に読んでからかってくるという最悪の趣味を持っている。だから、独り言や考え事をするときには気を付けなければならない。


「貴様……一つアドバイスをするぞ。陰口というのは相手に聞こえていたら何の意味もない。というか、貴様は隠そうとしておらんな」



(何だ。分かってるなら、人の心を勝手に読まないでほしいよ。……ってか、お前はそういう体験ないのか?)



性格はともかく、外見だけは好青年に見えるノワールだ。別にいてもおかしくないけど、さすがにヴァンパイアのこいつは人間と恋愛とかはしないか。

 ……してたらしてたで大問題かもしれない。 


「ふむ……正直我は恋愛というものには詳しくない。だが、遠い昔町や村で通り過ぎる人間に笑顔を見せたら、多くの女性から「よかったら、私と―――」なんてことはある」



(死ね。この女たらしヴァンパイア。お前なんかどっかの聖水でも飲んで浄化パージされろ!!!!)


「おや?どうしたのだ?まさか貴様は我がモテないとでも思っていたのか?フハハハハ!!!それでも元人間か!!!少しはその元人間の頭えお回転させるべきであろう!!」



……もうやだ。こいつ嫌いだ。 

 ……ってか、このチートヴァンパイアって弱点ねえのかな?弱点の一つでもあれば、それをネタにいつまでもいじってやるところなんだけどな。

 この減らない口をどうにかしたい……ってか、こいつってホントにモテるんだな。『知らぬが仏』ということわざがあったような気がするけど、こいつを好きになってしまった女性は全員そうだな。


こいつの最悪の性格を知ったら、絶対一歩も近づかないだろうな。



「……む?待てハヤトよ」


(は?どうしたんだ?トイレか?)



何ら変わらない感じで森を進んでいると、いきなりノワールが歩く足を止めた。それだけでなく、何かを警戒するかのように目を閉じ始めた。

 トイレ何てふざけたことを言ってみたが、いつもの軽い感じのノリが来ないことに気が付き、あっさりと口を閉じることにした。



「……なるほど。もうそんなところに来てしまっていたのか」



どういうことだ?一人で納得してないで俺のも教えてくださいよノワールさん。

 まだこの世界に来て右も左も分からないような俺を置いていかないで少しは説明してくれよ。



「おお。すまぬな。貴様よりは強い魔力反応があったのでな。気になって調べたら人間の子供のようだ」



魔力反応?人間の子供?俺にはそんなの感じないけどな。

 どうやらこいつはそういうのが分かるスキルを持っているらしい。そういえば、俺を見つけた時も「微弱な魔力反応」とか言ってたっけ。

今度俺にもそのスキルを教えてもらうことにしよう。 



(それで、子供がいたのは分かったけどさ。どうするんだ?血でも吸うのか?)



「貴様……我がいくらヴァンパイアでも、いきなり血を吸うようなことをするわけなかろう」


(え?そうなの?……ってかお前、今まで食事してないけど大丈夫なのか?)



そう。こいつと一緒に森をしばらく歩いて来たが、今まで食事をしていた所を見たことがない。一応俺も食事は必要ないが、口になにかを入れていないと落ち着かなくなってしまって、ことあるごとに枝を齧っている。あわよくばレベルアップを狙っていたりもするわけだが、さすがにレベル1の時とは違っていくら枝を食べてもレベルが上がらない。



「我の食事については今度話すとして、人間の子供がこんなところで一人でいるのは珍しいが……放っておいてもいいのか?」



(どういうことだ?)


こいつが人間のことを心配していうことに少し寒気がしたが、そこまで心配するための動機が気になった。……まさかとは思うけど、こいつってロリコン?小さい子が趣味とかっていうそっち系のご趣味ですか?年齢がいくつか分からないほど年とってるヴァンパイアさん……まさかのロリコンのご趣味ですか?

 

「貴様……どれだけ我を侮辱すれば気が済むのだ?寛大な心を持っている我でも、さすがにイラっとくるぞ」


(あ、すみません。お前が素直に人の心配していることにちょっと驚いたからさ。)


「我が心配しているのは子供がこんなところに一人でいるところだ。この森にいるということは恐らくこの森に村を作っている人間と思うが、それでも村からは大分離れている。子供が遊びに行く範囲を超えているぞ」


え?何こいつカッコいい。なんでこんなにも、こいつがカッコよく見えるんだろう。だって俺たちは人間の敵である【アンデッド族】だよ?

 それなのに何でそんな心配してあげられるの?自分が殺されるような心配がないからか?



「この森には、それなりに強いモンスターが存在している。貴様も【解析】を使ってみるがいい」


(へいへい。じゃあ早速、【解析:現在地】。)



    《 現在滞在している場所:ペリカ大森林

      生息モンスター:虫・魔獣

      モンスター平均レベル:7

      モンスター平均危険レベル:C 》




なるほど。環境を解析するとこんな感じなのか。今回は、ノワールのスキルの時みたいに解析できないといことが起きなくて助かった。

 いきなりバグ発生にあの時は少し驚いたが、今となってはレベル2の俺がレベル758のノワールのスキルを全部覗けるわけもないか。 ……でも、平均モンスターレベルが7というのはかなり不味い。


俺がモンスターとして割り出していないとすれば、俺はこの森では平均以下といことになってしまう。

 でも、レベル758を入れて平均が7だとすれば俺は別に普通の方なのかもしれない。モンスターの危険レベルというのはまだ知らないが、それはおいおい覚えていくことにしよう。



「どうやら、この森について少し分かったようだな」


(まあ。軽くは理解できたけど、子供がこんなところにいて本当に危険なのか?解析をした結果だけ見れば、別にそこまでの危険があるようには思えないし。)


「……確かにな。だが、それはあくまで確率に過ぎん。いつ、何が起こるのか分からないのが現実だ。……現に、その子供のにおいを嗅ぎ取った魔獣が近づこうとしておるぞ」


(魔獣?)


それは初めて聞く種族だった。でも、名前だけだと味方と考えるのはかなり難しそうだ。

 魔の獣。ということで魔獣なのか、それとも別の名前の由来があるのか?それはまだ分からない。



(なあ、もしかしなくてもその子供って結構ピンチか?)



「もしかしなくてもピンチだ。いくら下級の魔獣だからと言っても、子供には到底太刀打ちできまい」



(なあ………お前、人助けをする気はないか?)



「いいだろう。我が友の最初の願いだ。慎んで受けることにしよう。人間に借りを作るのは、我にとってもメリットがある」



ノワールとの交渉に成功した俺は、ノワールと共にその子供を助けに行くことにした。

 こいつがここまで素直に受けてくれるとは思っていなかったが、今はこいつ以上に頼れる奴はいない。 ………いや、もしかしたらこいつは俺から『助けにいくぞ』という言葉を待っていたのかもしれない。


わざわざ俺にその子供のことを教えたのも、俺に心配させるような感じでいったのも全部が自分自身が助けたいものなら、全てつじつまがあってしまう。

 ………まさかこいつ………実はこいつ、『ツンデレ』か?



「ハルトよ。余計なことを考えている場合ではないぞ。予想よりも魔獣の動きが早い。我一人なら余裕だが、動きが遅く、空を十分に飛べない貴様と一緒だから間に合わないかもしれん」




(すみませんね!!ってか、遠回しに俺の動きが遅いことと、結構気にしてる空が速く飛べないことをいじらないでね!どうせ俺が一緒に行かないとお前はいかないんだから、俺が急ぐしかないんでしょ!!)



「やむを得んな………我の肩に乗れ」



(は?)


そう言って渋々足っていた足を止め、俺が肩に乗りやすいように姿勢を低くしているノワールの姿があった。

 あまりに意外すぎる行動をとってきたため、一瞬罠かと思ったけど、今はそんなことにツッコミをいれている場合ではない。 さすがのノワールも、こんなときにまではふざけたりしないだろう。


(よし!乗ったぞ!)


ノワールを信じ、肩に乗った俺は振り落とされないようにノワールの肩を強く掴んだ。


「では行くぞ………」



(おう!!了解だぜ――――)



「【音速走】」


ビュン!!

 ノワールが一言呟いた刹那、半透明の身体が分離してしまうのではないのかと心配になるほどに強い風が俺を襲った。


(―――うぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!怖いぃぃぃぃぃぃぃ!!速いぃぃぃぃぃぃ!!)



ノワールの肩に乗っているとより分かるその体感速度はジェットコースターや新幹線の比ではない。『安全』という保証がないこの状況は、俺の耐久ゲージを余裕で越えていた。

 ……てかダメだろこの速度。絶対速度制限守ってねえだろ。


最初はビビっていた俺だったが、少し経つと目が慣れてきてなんとも思わなくなってきた。それどころか、このスピードが何となく楽しくなってきた。

 それにしても、これだけの速度で移動していてもまだつかないのか?  ノワールの話だと、そこまで離れているような感じではなかったはずだが……。



(なあ。まだつかないのか?これだけの速度で移動してるんなら、直ぐに着くもんじゃないのか?)


…………。

 返事は帰ってこなかった。どうやらノワールは、相当集中しているらしい。仮に会話ができたとしても、これだけの速度で移動してたら風によって声は遮られるか。まさかノワールの奴、これを狙ってあえて遠回りをしてるのか?わざわざ俺をいじるためのネタを回収するためにこいつは遠回りをしているのか?


だとすればこいつ………最低だぞ。

 自分から子供がピンチだとか言っておきながら遠回りをして魔獣に子供を襲わせようとしているのか?

罪のない子供の命よりも俺をいじるためのネタ回収の方が大事だと言っているのか?


もしそんな奴だったら、俺はもうノワールとは友達じゃな――


《 個体名ノワールから【テレパシー】を使用してメッセージが届きました。なお、このスキル【テレパシー】は解析をすることによって習得することができます。

  メッセージを確認致します。 》



――え?なにいきなり?テレパシー?

ノワールからテレパシー?どういうこと? 


いきなり頭のなかに言葉が流れ込んできて、言うだけ言って引っ込んでしまった。

 メッセージを確認すると言っていたのでとりあえず待ってみるが、一向にそのメッセージとやらが来ない。


《 メッセージの確認が終了致しました。これよりメッセージをお伝え致します。 》



お、やっと来た。この速度のなか………というか、スキルを二つ同時に使うとかもできるんだな。


(………貴様。黙って聞いていれば気に障ることばかり言ってくるな。まあよいが。とりあえず、今貴様には一つだけ教えておこう。……我は、人間が嫌いではない。)


《 メッセージは以上です。 》




……ノワールからメッセージを受け取った俺だったが、少し反省するべきだろうか。

 半分くらいは本気ではなかったが、それども少しノワールのことを誤解していたかもしれない。

普段が普段なため、いつも言っていることが半信半疑なのだ。でも、今回受け取ったメッセージは間違いなく本心だろう。


(素直じゃねえな。ノワールは。)



さて、さっき頭のなかに流れ込んできた言葉のなかに『解析をすることで習得が可能』って言ってたよな。

 使えるかどうかも、使うかどうかも分からないけど習得しておいて無駄なスキルはないだろう(多分)。



(えっと………確か【テレパシー】だったか?よし、じゃあ【解析:テレパシー】。)



《    スキル:【テレパシー】。

   スキル効果:近くの者の脳内に言葉を伝えることが出来るスキル。ただし、一定以上の距離より離れてしまうと使えない。また、このスキルは習得していない者にもメッセージを伝えることができる。 》



なるほど。てか、この世界すっげえ便利だな。

 ここまで来ちゃったらもはや口いらねえじゃん。舌が長すぎて上手く喋れない俺のためのスキルだろこれ。……まあ、魔力が少ないから使える回数もたかが知れてるんだろうけど。


《 スキル【テレパシー】を習得しました。そして、スキル【解析】のレベルが2となりました。 》



……え?なに今の?

 解析レベルが2?どゆこと?  そういえば前にノワールから『スキルレベル』っていうのを聞いたことがあるな。結局説明してもらえなかったんだけど。よし、このままの流れでスキルレベルについても解析しちゃうか。


キュッ!!!


おっと!!危ねえ……。


俺が解析をしようとした瞬間、体育館を走って急に止まったような音が鳴り響き、等速直線運動?をしていた俺の身体が前のべりになってノワールの肩から落ちそうになった。

 いきなり止まったことに一つ文句でも言ってやろうと思ったが、ノワールの真剣な眼差しに言葉を失ってしまう。 ノワールが真剣な眼差しを送っているその視線の先には、何とも麗しい光景が広がっていた。



見守るようにして、草木の茂みに隠れているため気づかれるようなことはない。 

 


「お、おねえちゃん……」

「大丈夫。ティナのことは私が守る!!」

「グルゥゥゥ……」



茂みのなかに隠れているが、それでも少女達の声は聞こえてきた。


 『お姉ちゃん』と言っていた少女はまだ5歳くらいにしか見えず、どっかの民族風の恰好をしている。そして、恐らく逃げている時にでも足を捻ったのだろう。涙目になりながら自分の右の足首を押さえていた。二人とも姉妹ということだが、全くもって似ていなかった。


お姉ちゃんと呼ばれていた少女はぱっと見8歳くらいにしか見えず、妹のためにと、少女よりも一回りも二回りも大きい魔獣に小さいナイフを向けて立ち向かっていた。

 二人とも同じ格好をしているし、同じ顔たちだし、同じ黄緑色の髪を長く風に吹かせていたが、一つだけ大きく違う点があった。



ノワールから聞いていた【巫女】という人間の見極め方は『紅い目』を持っているかどうか。

 その足を押さえて涙目の妹さんは、何の淀みもないほどの『紅い目』を持っていた。



読んでいただいてありがとうございます!


ここで重要なお知らせですが、しばらく更新ができなくなります。

 期間にすると2週間から1ヶ月くらいです。


少し小説の修行に行って参ります!

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