創造する者…………ルイン
200pt突破しましたぁぁぁぁ!!
現在大会の真っ只中でございます!!書けないかな~とか思っていましたが、そこは気合とやる気でカバーしました。
…………ああ、明日も五時起きだぁぁぁ!!
52 創造する者…………ルイン
――――バリンッ!!
ノワールが言葉を放った瞬間に響いたカップが割れる音と共に訪れた沈黙。そして重い空気。さらにルインとノワールと呼んでいた男の顔が深刻な顔となっている。
こんな顔は何回か見たことがあるが、それはノワールが数回見せる顔に似ている。ノワールが時々見せるこんな顔は大体過去のことの話される時だ。まだ俺はノワールの過去に何があったかを知らないし、ノワールも話す気がないなら聞くつもりもない。知らない方がいい時もあるわけだし、いつもは傲慢な態度のノワールが怒りの感情に飲まれてしまうほど思い出したしたくない過去というわけだ。
「…………すまない。取り乱してしまった。そうか…………お前がいきなりここに来た理由が何となく分かった」
しばらくして口を開いたルインは割れて飛び散ったカップの破片を集める(手を翳して浮かばせている)。それを平気でやってのけているルインがすごいのか…………それともそんなに大したことのない序の口のスキルなのかは分からない。
「…………ずっと気になっていたのだが、そこにいるゴーストやら狸とやらは仲間か?」
――――気づくの遅くね?今更になって俺やモンのことを聞いてきたルイン…………ノワールはそれにツボったらしく笑いを必死になって堪えている。別にそこまで無理にこらえるようなことでもないし、いつものように高笑いをしてもいいのに。でも、自己紹介もしてなかったのでここは一度挨拶をしておこう。
(どうも…………ノワール―――いや、ハルニトル・ニランクニル・ドルゾエム・フィーレ・ノゼムリム・ハタストムの友達ということになっているハルトです。俺は本体の体を手に入れるために【乗り移り】というスキル習得を目指しています。ノワールにはその手伝いをしてもらっていますが、その代わりに魔族を全滅することを手伝うことになっています。)
「こいつと友達だと?…………なるほど、影武者か」
――ふぁ?何だこいつ舐めてんのか?
俺がルインにノワールとの関係を説明したら予想もできない答えが返ってきた。まさか影武者と返ってくるとは思わなかった。確かに最強のアンデッドが最弱のアンデッドと一緒にいたらそう思うかもしれないけど、友達ってちゃんと言った後に言うとは思わなかった。
「何だ…………?最弱のアンデッドが俺に歯向かうのか?そんな度胸のあるゴーストは見たことないが、俺がこいつと同じ元魔王候補と知らないなら無理もないか」
そう言いながら俺に手を翳してきた。その瞬間俺がこの世界からいなくなってしまうような光景を垣間見たので、俺は急いで【硬化】を発動させる。全身を【硬化】させるのにかかる時間は約1秒…………これでも最初よりも早くなってきたのだが、元魔王候補のルインにとっては長すぎる時間だろう。
それを見越した上で硬化を発動させた。なぜなら…………多分ノワールが助けてくれることを知っていたから。
「止めろルイン…………。貴様がそれ以上体を一ミリでも動かしたら、我の【天滅】がこの城ごと貴様を消し飛ばすぞ」
ノワールが口を出した瞬間に俺はメタルゴーストへと変化していた。俺に手を翳していたルインはノワールの忠告通りしばらく一ミリも動かさず、やがて手を下ろした。どうやらルインもノワールの【天滅】の恐ろしさを知っているらしい。
俺にしては一安心だけど、ルインからしたら冗談じゃないだろう。
(まあ…………その、すみませんでした。でも、俺はノワールの影武者ではありません。俺はノワールの友達です。それ以下でも以上でもありません。)
さっきよりも少し強めに言ってみたので、ルインは結構怒っているようだ。でも、俺の威圧ではなくノワールの威圧と覇気に気迫負けしたみたいなので、何か釈然としない。
「分かった。影武者ということは謝罪しよう。だが、お前は本当にただのゴーストなのか?俺が今までであって来たゴーストとは比べ物にならないほどの魔力を感じるぞ?」
「こいつは転生者…………いや、二度死んでこの世界にやってきたから転死者であるな!!フハハハハハ!!すまなかったなハルトよ!!貴様がこの世界に来た時のことを間違ってしまって!!フハハハハハ!!我としたことがしくじってしまった!!」
いやいやノワールさん………しくじった人はきっとそんな高笑いしないですよ。ってか、いつの間にか俺の話になってるけど本題に入らなくていいのか?別に俺のことは女性以外なら何でも聞いてくれても構わないけど、それだと単なる俺の話題になっちゃうし…………。
「そうであったな。貴様で遊ぶのは久しぶりだから忘れていた。…………では、早速本題に入るとしよう。そこでさっきの質問へと行動だが…………ルインは魔族が増えていることを知らなかったのだな?」
やっと本題に入ったノワール。そう言えばすっかり忘れていたけど、さっきルインが自分で落として割ったカップはいつの間にか修復されていて、さっきと何ら変わらず飲んでいた。どうやって戻したのかとかは後で聞くとして、今はノワールの話を聞くようにしよう。
「我がここに訪れた理由はただ一つ…………今まで以上に活発に動いている魔族が攻撃を仕掛けた時に撃退する時の戦力が欲しいのだ。無理にとは言わないが…………放っておけばこの世界丸ごと支配される可能性だってある。そんなことは二度とさせない…………ッ!だから今日は訪ねたのだ」
「…………そんなことだろうと思ってた。だが…………俺が力を貸したところで魔族を撃退できるのか?雑魚なら何百体と束になろうが問題はないが、魔王が出てきた時には打つ手がない。今の魔王がどれほどの力を持っているのかは知らねえが、俺のお前だけで勝てる奴らなのか?」
ノワールの話に乗っかているように話ているルインだけど、少し距離が遠いような気がする。でも、そうなってしまうのも仕方のないことだ。もし仮にノワールの言っていることが真実だとすれば魔族は近いうちに絶対に世界を滅ぼそうとする…………。けど、それに抗わないといけないという決まりもないわけだ。つまりルインが言いたいのは…………勝てない方には味方につかないということだろう。
結局は自分が生きていればいいという考えを持っているルイン…………ここでノワールと手を組んでも絶対という単語は理想でしか存在しない。勝てる見込みのない方は敵という考えなのだろう。
確かにその考えは悪くない…………でも、ルインはどこか悩んでいるように見える。なるべく生き残りたいと思っているけど、ノワールの敵にはなりたくないとでも思っているのだろう。
そんな真剣なことを考えているなかでキラキラ光る水玉の壁紙が気になって仕方ない。そして悩むときに強く抱きしめるピンク色の熊のぬいぐるみも気になってしまう。
「…………貴様の言うことは最もだ。戦いに絶対は存在しない…………我らが勝てるかどうかは分からん。だがこれだけは言える。
ルインがいれば絶対に近づくということだ」
どうしたんだよノワール…………いつになくカッコいいぞ?いつもそのくらいカッコいいノワールでいてくれれば助かるんだけど、そうするとノワールの高笑いも聞けなくなっちゃうんだよね…………。
絶対にはならなくても絶対には近づけるという完璧なセリフ。それはルインだけでなく俺の心にも突き刺さった(俺は全く関係ない)。
「…………なるほど。お前はそういう考えをするか。いいだろう、魔族が来たら手を貸そう。この最強の魔術師…………【創造する者】が全力で力を貸そう」
「交渉成立であるな」
交渉を終えると、抱いていた熊のぬいぐるみを優しく座っていたソファーに置いてから立ち上がったルインは同じく立ち上がったノワールと握手を交わす。最後にルインが言っていた【創造する者】という意味が気になって仕方ない俺だけど、こんな時は必殺便利スキル【解析】の出番だろう。
(【解析:創造する者とは】。)
《 現在の解析レベルでは解析できません。これを解析するには解析レベル5が必要ですが、あなたは現在2です。レベルアップしますか? 》
断られたと少しへこもうとした俺だけど、どうやらレベルアップは可能らしい。レベルアップできるなら是非ともしてほしい。あとできれば自動でレベルアップしてほしい。別にそんな進化する時に発動してしまうかわらず石なんて持っていないし。
(レベルアップできるスキル全部レベルアップして。)
《 了解しました。【解析】、レベル2→7【魔力撃】レベル1→4【浮遊】レベル1→3【硬化】レベル1→8【保護色】レベル1→7。 スキルレベルがアップしたことにより、消費魔力が減ったり発動が早くなったり、威力が上昇します。多くのスキルはレベル10までが限界です。 》
よし…………思いのほかレベルが上がったけど別に良いや。これで解析のレベルが7になったから【創造する者】に関して調べられるだろう。
(よし!!じゃあ改めて【解析:創造する者とは】。)
《 解析が終了いたしました。
【創造する者】。個有名ルインという人物と異名となっており、その由来はルインのSPSの【創造】から来ていると推測されてします。そのスキルは空気中に漂う原子、粒子に魔力を込めることでありとあらゆる物質を生み出すスキル。物質を生み出してから物体を作ることも可能で、汎用性が高いスキルである。 》
読んでいただいてありがとうございます!!
次回も楽しみにしていてください!!章が始めってすぐ新たなるキャラが出てきましたが、分かりにくかったですかね?
そんな感じだったら遠慮なく言ってください!!




