元魔王候補
本日も更新でございます!
それと、今日だけでブックマークが5件増えました!!
本当にありがとうございます!
でも、明日は投稿できそうにありません………本当に申し訳ないです。
それでは皆さん、楽しんで読んでください!!
4 元魔王候補
現在O・B・Kとして異世界に転死してやってきた俺。長い長い草原を地道に進んでいた結果、ようやく草原から森にたどり着くことができた。
でも、現在俺は目の前にいる狂った頭のヴァンパイアに絡まれていて、結構ピンチなのだ。
「フハハハ!!何だその顔は、我のいきなりのカミングアウトに言葉も出ないのか!!」
………こいつうるせえな。
元魔王候補とさっき言ってきたこの……名前なんだっけ?こいつの名前、長すぎて覚えてない……というかそのあとの『元魔王候補』という言葉が衝撃的すりてすっかり忘れてしまった。
まてよ、こいつの特徴を全部繋げるとかなりヤバいモンスターというのが分かるんじゃないか?
俺はテンション高めでずっと高笑いしている男を軽くスルーして、偏見と俺の現在の気持ちだけでこいつを解析してみることにした。
黒いスーツ・ヴァンパイア・頭おかしい・高身長・魔法っぽいの使える・元魔王候補・名前が異常に長い。
……やっぱりこいつは紛れもないヤバい奴だ。
「貴様……先ほどから我を侮辱しているが、貴様は我が怖くないのか?」
おっと、そういえば俺の心の声は全部筒抜けなんだっけ。
もはや筒抜けでもいいと思っていた俺は遠慮なく偏見で決めつけていた。でも、さすがにイラっときたのか、ヴァンパイアの……は高笑いを止めて真剣な顔でこちらを向いていた。
(まあまあ、ほんの冗談だから許してくれよ。えっと……ヴァンパイアの……何だっけ?)
「ここまで我に恐怖を抱かない輩も初めてだが、まあいいだろう。名前については勝手に呼んでくれて構わん。転生者である貴様は分からないことも多いだろうしな」
前言撤回、やっぱりこいつは良い奴だ。勝手に心を読むのは勘弁してほしいものだが、心を読んでくれるお陰で説明をする手間が省けて助かる。
上手く説明できる自信もないし、言っても信じてくれないだろうと勝手に思ってたからとても助かる。
このままレベルアップ概念というのも説明してくると助かる―――
「おっと失敬、貴様は既に死んでいる身であったな!『転生者』ならぬ『転死者』であったな!!!これは傑作だ。長いこと生きているが、ここまで面白いことがあったのは初めてだ!!フハハハハハ!!!1%にも満たない確率を見事引き当てた!!元は人間だった貴様は今や満足に喋ることさえもできないアンデッドモンスターだ!!!」
―――やっぱり嫌いだこいつ。
さっきは心配してくれているような雰囲気を醸し出していた癖に、突然コロッと態度を変えた瞬間にイジってきやがった。
あーそうだよ!!所詮は低確率を見事に引き当てた元人間だよ!!!現在進行形で上手く喋れない幽霊だよ!!
半透明のこの身体をタコのように赤くするイメージを持ちながら強く心の中で叫んでいた(本当に赤くなっているわけではない)。
「まあそう怒るでない。ヴァンパイアではあるが鬼ではないのでな。……それにしても、転せ――転死者が何も知らずにここに来るとはな。500年生きてきた我も初めてのことだ」
え、500年!?まさあこのヴァンパイアさんってかなり先輩だってりする?
結構強いモンスターだったりするのか?
「我に対して怯えない輩は初めてだが、今更そこに気が付くとはな。さっきも言ったが、我は元魔王候補だ!!そこらのゴブリンなどと一緒にしないことだ!!」
そう言われても……この世界に来て初めて会ったのがお前だから仕方ないだろ。別に強さが分かるスキルを持ってるわけじゃないし。
まあ、魔王候補って言うくらいだから普通のモンスターより強いのは分かるけど。だからって他のモンスターと会ったことないから比較することもできないし。
「そこまで言うなら仕方ない。我が【解析】というスキルを教えてやろう」
え、まじで。
てか、スキルって教えてもらうことできるの?それすらも知らなかった俺だけど教えてもらうことってできるの?何か、初期固定スキル的なのと、草食ってたらレベルアップして覚えたスキルはあるけど教えてもらって覚える何てできるの?
「他のスキルを覚えてる貴様なら大丈夫だ。これから教えるスキル【解析】は、あらゆることを解析できる」
どうやって覚えるんだ?
「心の中で【解析】と言ったまま我のことを見ればいい。……まあ、この方法で覚えることができるのは解析でかだが」
うわ~~~適当だな~~~~てか、ほんとにその方法で習得できるもんなのか?このヴァンパイアの性格からして、俺のことをはめて笑い転げるような未来しか見えてこない。
そして最後に
「フハハハハハ!!!これは傑作!!まさか本当に引っかかるとは!!」
とか言って俺をバカにして終わるんだろうな。
でも俺は、あえてこのヴァンパイアの策略に乗ってやる。バカにしたければ好きなだけバカにすればいい!!俺が何年間、社会の忠犬社畜として飼いならされたと思っている……お前の煽り何て、余裕で耐えてやろうじゃないか!!
(行くぞ!!【解析】!!)
《 NS【解析】を習得しました。直ちに展開致します。 》
【種族:アンデッドモンスター】
個体種族名:ヴァンパイア
個有名:ハルニトル・ニランクニル・ドルゾエム・フィーレ・ノゼムリム・ハタストム
レベル758
攻撃力45000
防御力70000
魔力150000
SPS 思考抑制
NS ※数が多すぎるため全てを同時に解析できません。
頭のなかに言葉が流れ込んできた瞬間、目の前の黒い変質者のデータが事細かに映っていた。
俺にしか見えないものなのだろうが、確かに便利なスキルだ。
でも、ここは普通、やっぱりできないって俺がキレてバカにされるようなオチじゃねえのかよ。
……てかすみません。ヴァンパイアさん……いや、ヴァンパイア様。今まで軽くバカにしていてすみませんでした。 レベルとか、この世界に来てまだ日が浅いと言っても、信じなくて申し訳ありませんでした。
「フハハハハ!!気にするでない!!我の今までの行動上、どうせ嘘だと思って信じてなかった転死者よ!!そして今、「やっぱりできるじゃねえか」という顔をしている転死者よ!!貴様は今どんな気持ちだ?偏見と独断で我のことを量ったつもりでいた貴様はどんな気持ちだ?」
すいません、すいません、すいません!!本当に申し訳ございません!!!
ほんと何にも言えません。えーと……ハルニトル・ニランクニル・ドルゾエム・フィーレ・ノゼムリム・ハタストム様……。
てか、こいつってどんだけ強いんだよ。レベルアップ概念というのがまだ完璧に理解してるわけでもないから限界レベルがいくつなのかもわからないけど、本当にどんだけ強いんだよ。
スキルの数が多すぎて解析不可何てバグをいきなりやらかしやがって。ほんとにどんだけ強いんだよ。
「ふむ……我のステータスを解析しても態度を変えないバカな奴は初めてだ。我も構わないが、貴様はほんとに肝が据わっているな。その度胸があるなら、前世でも活躍できただろう」
やかましい!!ほっとけ!!
そんなことわかってるんだよ!!どうせ前世……いや、2回死んでるから前前世か? 前前世の俺はどうせチキンの忠犬社畜だよ!!
サービス残業バンザーイ!!!
「むうう……我から振った話であったが、素直に謝ることにしよう。……それにしても、我のことをフルネームで覚える輩は初めてだ。貴様……まさか我と友達となりたいのか?」
……は?いきなり何言ってんだこいつ?
今まで散々自分のことをバカにしてた奴と友達になりたい奴なんているのか?いたとしても相当マニアックな奴だぞ。俺がただ単にお前の名前を覚えてただけだよ。元人間の記憶力を舐めてんのか?
「おっとこれは失敬。貴様は元人間であったな!」
強調すんじゃねえよ!!!
所詮は底辺サラリーマンだよ!!元人間の底辺サラリーマンだよ!!
「まあよい。とはいえ……貴様のその知性には目を見張るものがあるな。……よし!我が友になってやろう」
何だこいつ?やっぱりこいつ頭おかしい?いきなり友になってやるとか、こいつどんだけ偉そうなんだ?
別に友達になるのは構わないけど、35歳にまでなって友達ができるとは思ってなかったけど、なりたいというなら別になってやっても構わないけど?
「ほう。交渉成立であるな。正直な話、我もここまで簡単に了承するとは思っていなかったぞ。いざとなったら、『レベルアップ概念』の詳細を教える見返りに要求するつもりだったのだがな」
……やっぱりこいつと友達になるのは失敗だったかな?人?を脅迫してまで友達を作るような奴と友達になって大丈夫か?人の心を読むような奴と友達になって大丈夫か?元魔王候補と友達になって大丈夫か?
「心配するでない!!我は同胞を殺したことはなからな!!いくら貴様が最悪な態度をとって我の機嫌を損ねたとしても、笑顔で許してやろう」
いやいや、怒ってるときの笑顔って一番怖いんだよ?てか、笑ってるけど実は怒ってますってかなりの恐怖だよ。気に入らないことがあれば全然言ってもらって構わないよ?俺だって、折角できた友達を邪険に扱うようにはしないし。
どちらかというと邪険に扱われそうなのはこっちだけど……その時はその時でちゃんと文句をいうことにしよう。
「ふむ。じゃあレベルアップ概念について説明してやろう。知性の高い元人間の貴様なら、きっと余裕で理解できるはずだ」
そんなに無駄なプレッシャーをかけないでくださいよ。止めてくださいよ。元人間とは言え所詮は底辺サラリーマンですから。手柄は全部上司に持ってかれるという最悪な立場だったんだ。
頑張って理解したいところではあるが、俺にだってできないことはある。……というか出来ないことばかりだ。だから、もし分からないことがあったらもう一度聞きなおすぞ。
「では説明するぞ。まず『レベルアップ概念』というのは、動物として誕生したときに貰うものだ。その名の通り、自分の強さがレベルに関係するわけだな。
レベルが上がれば色々変わる。
ステータスの向上・スキル習得・スキルレベルの向上・レベルの低いモンスターが寄り付かなくなる。……と、大分こんなところだ」
なるほど。なかなか分かりやすい説明なだけあって一発で理解できた。あと、もっと複雑だと思ってたけど想像よりも単純な概念だから理解しやすかった。
とりあえず、レベルを上げれば強くなるってことなのだろう。レベルの限界などは別に今聞かなくてもいいだろう。現在の俺のレベルは2だし、仮に限界レベルがあったとしてもまだまだ先の話なのはたしかだ。
それよりも気になるのは、レベルを上げる方法・スキルレベルの謎・さっき見たSPSというもの。
まだまだ説明してもらうことは沢山ある。
そして、どうせ俺の心を聞いているこいつには頼むことは不要だろう。
「まったく……我が友と言えど、いきなりそんな期待をされるとさすがの我も戸惑うぞ」
大丈夫だよ。ゆっくりでいいからな。俺は別に急ぐことを目的としていないからな。
最初はさっさと転生する予定だった体を見つけて乗り移りたかったけど、この体のお陰でハルニトル・ニランクニル・ドルゾエム・フィーレ・ノゼムリム・ハタストムと出会えたことだしな。
……それにしても長いなこの名前。
こいつのあだ名は
『ノワール』
でいいか。
ヴァンパイアのあだ名の由来ですが、勝手に『黒』というイメージをつけてしまったので、確かフランス語で『ノワール』と言うので、今回はそうして見ました!!
ノワールというあだ名についての反応とかは、次回にご期待ください!!
読んでいただいてありがとうございます!