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出会う人………いや、モンスターだ

2話投稿の時点で、早速感想とブックマークと評価点を頂きました!!

 昨日は少し暇がなくて書けませんでしたが、本日は更新です!


皆さん楽しんで読んでください!!

3     出会う人………いや、モンスターだ




異世界に来て早くも10日ほど過ぎていた。

 10日間、空を浮いたり草を食べたりのそのそ進んだりと、結構忙しい毎日だったが、ようやく草原ではなく森にたどり着いた。


そこが何の森なのかも、どこに繋がる森なのかも分からないけど、とりあえず入ってみたのだ。

………入ったのはいいが、やっていることは草原を進んでいたときよりも何一つ変わっていない。強いて言うなら食べるものが草から枝に変わったくらいだ。


暇を潰すため、目につく枝は全て食べているが一向にレベルが上がらないのはとても残念である。

 この間レベルアップしたときは草を食べていただけだったので、てっきり食べ続けていればレベルが上がるのだとばかり思っている。でも、実際はあの日以降レベルが上がったという言葉が頭のなかに流れてこない。


頭のなかに流れてくるのは魔力消費を教えるときだけであって―――


《 現在、80%の魔力を消費しています。 》



――――まるで計ったかのようなタイミングで頭のなかに言葉が流れてきた。さすがにレベルが上がってもずっと宙に浮くことは不可能らしく、定期的に休憩をとらなくてはならない。


………暇だな。というか、まじでやることねえ。  誰か通り過ぎることもなく、ただ時間だけが過ぎていった。できればこの森に長く滞在はしたくない。

 なぜなら夜中になると「アオオーン!!」と、まるで狼の遠吠えのような声が夜の森に響き渡るからだ。それだけでなく、ガサガサ………ガサガサと、ウサギのような小動物が草むらを揺らす音も聞こえてくる。俺はその音がなる度に体を跳ねて、直ぐ様NSノーマルスキルである保護色を使ってしまう。



周りの景色と同じ色に変化することができる保護色は、まさに俺のような雑魚モンスターにはもってこいのスキルだ。

 俺自身が雑魚モンスターなのかは分からないけど、さすがに狼みたいなモンスターには勝てないだろう。他の生き物にも俺の姿がキチンと見えているのかとても気になる点でもあるが、今はとりあえずこの森を抜けることを専門に考えている。



現在幽霊の俺が言えることでもないが、何かどっかの病院の廃墟よりも雰囲気ある森だと何か出てきそうでとても怖い。それこそ、いきなり他の幽霊が現れてヒエラルキーをつけられて、一生(死んでいる)そいつに従わなければならなくなるかもしれない。

 そういう事態になることを否定できな今、俺がするべきことはさっさとこの森を抜けて早く乗り移る予定だった体を見つけることだ。 もう少し幽霊の状態でいたいという気持ちはあるものの、上手く喋れずに殺される可能性のある体でいるメリットは存在しない。



だから、この薄気味悪い森を早く抜けなければならない。

 ………てか、早く抜けたい。    


ポキポキと、枝を齧りながら進んでいるものの全く道が開けてこない。それどころか、まるでループするかのようにずっと同じ景色が続いている。  

 ………そう言えば、枝を食べているときに気がついたけど一応この体には歯というものが存在するらしい。 草を食べていたときは『味覚がない』ということしか感じなかったが、枝を口に入れた瞬間いつもの感じで噛もうとしたら、ポキポキという音がしたのだ。味覚はないのに歯だけはあるという何とも中途半端な体だ。



まだまだこの体のことについては謎が多いが、それも新たなる体を見つけるまでの辛抱だ。俺が乗り移る予定だった体を見つけた瞬間、さっさと乗り移ってハーレム人生を歩もうと思う。


 体がイケメンということすらも知らないがこういうときは、いろんなヒロインにちやほやされるような顔で転生するものだろう。だからきっと、俺が乗り移る予定だった体はイケメン&チート持ちのはずだ。 



ガサガサ………ガサガサ………。   



………と、そんなこんなで下らない妄想をしていた矢先、俺の近くの草むらがいきなり揺れだした。 

 

………やべ、まさかモンスター?   和解のできそうなモンスターだったら大歓迎だが、和解もできず言葉も話せない奴なら全力疾走で逃げる必要がある。

 俺は100メートル走の陸上選手のようなスタートダッシュをしようと、キチンと設置を始める(足ない)。伸びすぎる舌を器用に使って足場を固定し、典型的幽霊特有の尻尾のようなものを設置した。 


ガサガサ………ビュン!!

 

そして、まるで計ったかのようなタイミングで揺れたいた草むらから何かが飛び出してきた。


「フハハハ!!!微弱な魔力反応があると見にきたら、まさか我と同じアンデッドモンスターとは!!これは傑作だ!」



フハハハと、まるで悪魔のような笑いで飛び出してきたのは身長180センチくらいありそうな男だった。

 外側は黒く、内側は赤いマントを羽織っていて、マントの下にはサラリーマンのような黒いスーツを着込んでいた。さらに、首元に付いている蝶ネクタイはまるで紳士のようだ。  




………けど、なぜか俺の直感が全力で『逃げろ』と訴えかけていた。その真っ黒な髪と、生きているのか死んでいるのか分からない虚ろな目をしている男は危険だと、全力で危険信号を送ってくる。 



「貴様、いったい何者だ?いくらアンデッドモンスターでも――――」


(保護色)。



目の前の男がなにかを言いかけた瞬間、先手必勝の保護色を使って相手を同様させ、俺は全力で逃げた(全然速くない)。

 和解のできそうなモンスターではあったが、あいつはヤバイ………何となくヤバイ………根拠はないけど、俺の直感が今までに無いぐらいの危険信号を送ってくる。   幽霊なのに、心臓の鼓動が早くなっている気がした(ただの気のせい)。


さすがのあいつも保護色で周りの景色と同化している幽霊を見つけるのはそう簡単ではないはずだ。ゆっくりだけど確かに遠ざかっていく黒スーツの男は、どうやらいきなり視界から消えた俺のことを探しているようだが、やっぱり見つけられないらしい。

……俺の鬼ごっこスキルを侮らないことだな……自慢じゃないが、子供のときは『幻惑の隼人』と呼ばれていたからかなり自信が―――




「フハハハ!!!貴様!それで隠れたつもりか!我の力を持ってすれば【保護色】なんてものは簡単に見破られる!!」



―――これほどまでに恐ろしい笑い声を今までに聞いたことがない。やっぱり俺の直観は間違っていなかったようだ。てかまじでヤバい……何か足がすくんで動けないような(足ない)、心臓がはち切れちゃうような(心臓もない)、蛇に睨まれた蛙みたな感じだ。  この体って、一回死んでるけどもう一回殺されたらどうなるんだろう。心臓がなかったら普通に考えると不死身ということになると思うが、そんな都合のいいチートを持たせるならもっと分かりやすいチートを持たせてほしいものだ。

 必死になって逃げながらも、俺はきちんと希望を持っている。ただの死亡フラグでしかない言葉ばかり言っているせいなのか、後ろから黒いスーツを着ている悪魔が全力疾走をして俺に近づいてきた。



「フハハハハハ!!いいぞ!これは面白い!!我を目の前にして必死に逃げるアンデッドモンスターもなかなか乙なものだが、そろそろ貴様の鬼ごっこに付き合うのも飽きてきたのでな……悪いが力ずくで行かせてもらうぞ」



300メートル、200メートルと確実に距離を縮めてきている男はいきなり立ち止まってこちらに右手を伸ばしてきた。

 ……あれ?まさか俺に対する攻撃?いやいや、さすがにそんな距離から届かないでしょ。てか、あいつに付き合って俺まで立ち止まる必要もないし早くヤバい攻撃が来る前に距離を―――


「【氷結矢】」



―――ヒュッ……ビシィィィィ!!!    



……あ、危ねえ。あと一歩右にずれていたら、俺の脳天を一本の矢が容赦なく貫通していたところだ。頭を貫通されたところで死ぬかどうか分からないけど、痛みだけは感じそうだから出来ることなら攻撃を避けたかった。

 ……てか、自信満々に俺に攻撃してきたのにも関わらず豪快で外したのも、結構気まずい。俺に攻撃を仕掛けてきた男は、てっきりさっきの攻撃が俺に当たったものだと勘違いしている様子で高笑いしながら近づいてくる。



「フハハハ!!少々やりすぎてしまったか!!同胞とはいえ、生意気に我に歯向かおうとしていた輩は久しぶりだからつい力が入ってしまったようだ!!」


……フハハハと、自信満々に勝利の美酒に酔っているけどこの状況はメチャクチャ気まずい。倒していると思っていた奴が実は生きていました~(テヘペロ)、何て状況は考えたくもない。

 


……ここは一つ、このまま保護色を発動させたままこいつの視界から離れることに―――



《 現在80%の魔力を消費しています。 》



―――まじかい。どうやらこの世界は、俺を殺すことを専門的に考えているらしい(死んでいるけど)。

 てかほんとにどうしよっかな。この黒いスーツを着た変質者の目を欺きながら、残り少ない魔力で逃げ切るというのは現実的に不可能なのだ。ファンタジー何て聞こえはいいが、ここは地球よりも単純な世界で弱肉強食………結局、弱い奴は強い奴に殺されてしまうのだ。 



魔力切れのところを殺されるのを選ぶのか、和解できるかもしれないという儚い可能性に賭けてみるものなのか。 

 いずれにしても高いリスクを負うのは目に見えている。………結局俺は、地球でも異世界でもリスクを負うのは決定事項らしい。



………その、リスクを負い続けている俺がとれる選択肢何て既に決まっている。 



「アンデッドモンスターのトップに君臨する我に背を向けたことを今ごろ地獄で後悔している――――」




(…………すいません。生きてます(アンデッドモンスターとして))



なにかを言いかけた瞬間、俺は保護色を自ら解除して姿をさらした。姿をさらした瞬間、男の目線はこちらに移り、『何でこいつ生きてるんだ?』見たいな鳩が豆鉄砲くらったような顔をしてる。

 


………その沈黙がとてつもなく怖い俺は、舌が長くて喋りにくい口を一生懸命動かして話かける。



「………おへの……なまゃえ…はにゃと……」

 




………やっべ!絶対殺される。  今まで喋ってこなかった口をいきなり動かしたため、想像以上に喋れなかった。

 冷や汗をかきながら体を震わせていると、男はまたもや高笑いを初めて語りだした。



「クハ、クハハハハ!!これは傑作だ!我の力を目の前にして姿をさらすバカなアンデッドモンスターが存在するとは!!しかもそれが喋れる個体とは」



………あれ?思ってたりよりも普通だな。

 ここはいきなり殺しに来るのだと思ってた。今度は俺の目が豆鉄砲をくらったような顔をしている。



「そう驚くな。元より我は、貴様のことを殺そうとはしていない」



(………うーん。話かけてくれているのはありがたいけど上手く喋れないからな。)



「大丈夫だ。我のスキルを用いれれば、貴様の心なんぞ筒抜けだ」



(なるほど、それはあんし―――今なんつった?)



いきなりのカミングアウトに、俺は思わずのり突っ込みをしてしまった。 筒抜けといったけど、俺の心のなかが全部あいつに駄々漏れ……って、ふざけんな!!



「そう警戒するでない。我も貴様の曲がった性癖については何のツッコミは入れない予定だからな」



………もうやだこいつ。

 そろそろ観念しようかと思った俺は、おとなしく男の話を聞くことにした。今の会話で俺に敵意を向けているようにも思えないし、別に殺されるようなことはないだろう。 




「よし、では自己紹介させてもらう。我の名前はハルニトル・ニランクニル・ドルゾエム・フィーレ・ノゼムリム・ハタストム!!アンデッドモンスターのトップに君臨する【ヴァンパイア】。そして、元魔王候補だ!!」




………は?

  やけに長い名前だと思ってかなり聞き流していたけど、最後の最後でたんでもないこと言わなかったか?


魔王候補? いや、元魔王候補?    



………やっぱり、『ヤバイ奴』という俺の勝手な偏見に間違いはなかったことだけは分かった。

読んでくれてありがとうございます!!

 ちなみに、明日も更新をいたしますので面白いと思った人は是非お立ち寄りください!


誤字報告や、辛口の感想もお待ちしております!!

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