ようこそ教会へ
本日更新でございます!
ここで朗報ですが、現在は97ptです!
100ptの大台まで残り僅かとなりました。この調子で頑張りたいと思います!!
22 ようこそ教会へ
ゴンさんの導きによってようやく教会に着くと思ったが、まさかの教会ではなく協会に導かれているとは思わなかった。
どこから現れたのかは知らないが、いきなり現れたノワールのお陰で今度は無事にたどり着くことができそうだ。
この街の観光をするということだったが、この街にはどういった場所があるのだろう。俺の体と無事にご対面してちゃんと乗り移ってから観光とかはするとしよう。
味覚がないこの体では何か食べても味が全くしない。今まで食べてきたラインナップを振り替えると味覚が無い方がいいかもしれないが、やはり美味い物は食べたいものだ。
(そうだノワール。ちょっと聞きたいことがあるんだけど。)
「どうした?この全知全能である我に何を聞くというのだ?」
お前はゼウスか何かなのかよ。全知全能なんて奴はこの世には――――少なくとも俺の世界では存在しなかったぞ。
ゲームとかの世界だと、よく『ゼウス』ってキャラがそんなことを言いながら必殺技を使ってたけど。
お前はただのチートヴァンパイアだろ。またの名を最強のアンデッドなんだろ?最弱のアンデッドという異名をつけられている俺のことも考えろ。
「貴様…………我に質問があったというのに、なぜ我はそこまで責められないといけないのだ?」
おっとすみません。結構久しぶりに会ったからつい心の中で溜め込んでいた愚痴を言ってしまった(しゃべれないから関係ない)。
(さっきゴンさんから聞いたんだけど、お前って元人間って本当なのか?)
俺がそう聞くと、ノワールはいつもよりも数段真面目の顔に変わってこちらを向いた。一瞬だけゴンさんを睨んだかのように見えたが、それはきっと気のせいだろう。
実際にノワールが人間だったとしても、俺にはあまり関係のない話だしな。
「確かに我は人間であった…………。だが、丁度500年前にヴァンパイアになったのだ」
500年前…………?そう言えばこいつ、「500年生きてきた我でも…………」とか出会った時に言ってたっけ?
ヴァンパイアになってからの500年って意味だったのか。てか、ヴァンパイアになったって簡単に言ってるけど簡単になれるものなのか?
アンデッドって死んだ人間の魂なんだろ?
「確かにそうだが…………実を言うとアンデッドになる方法は二種類あるのだ。一つ目は貴様が言った通り、死んだ人間の魂が源となって誕生する。これで誕生するのはゴーストやゾンビなどと言った下級のアンデッド族だ」
下級ね…………まあ、死んだ人間の魂なんてそこまで強くなさそうだしな。よくホラーゲームとかでもゾンビ出てくるけど、頭潰したら死んでるし。
あれ?でも下級は死んだ人間の魂が源なら、ノワールみたいな上位のアンデッド族って…………。
「さすがに元人間であるだけあって察しだけはいいな。貴様の予想通り、我のようなヴァンパイアやリッチー、グルーなどは生きている状態からアンデッドになる必要があるのだ。
だが、生きた人間→アンデッドでも必ずしも上位のアンデッド族になれるとは限らないのだ」
なるほど…………結局は運ってことなのか?でも、自分からアンデッド族になる覚悟もないし…………ほとんどはゴーストとかゾンビになっちゃうんじゃね?
俺が仮に人間だったとしてアンデッドになっても、結局ゴーストになっちゃいそうだし。
(何でお前はアンデッドになろうとしたんだ?)
「…………」
俺がそう聞くと、ノワールは珍しく黙秘を続けた。今まで多くの質問をしてきたが、ノワールが答えたくないと訴えるように黙秘したのは今回が初めてだ。しかも何やら遠い昔のことを思い出したかのように悲しい顔になっている。
これは俺が自ら地雷を踏んでしまったらしい。地球で働いてきたときは、『どうやったら部長の地雷を踏まずに行けるか!?』みたいなことばっかり考えていたのに、何でここに来て地雷を踏んでしまったのだろう。
地雷を踏まずに行くのは俺の得意分野だと思っていたのに、久しく使っていなかったから精度が落ちているのかもしれない。
(の、ノワール。言いたくなかったら言わなくていいぞ?)
さすがに空気が重くなりすぎたと思った俺は、とっさにノワールをフォローした。できればゴンさんがフォローを入れて欲しかったが、なぜかゴンさんも顔色が優れない。
………この二人ってどういう関係なの?
「ハルトよ…………。今は全てを説明できないが、一言だけ言っておくとしよう」
お、おう…………続きはまた今度でもいいけどな。俺だって言いたくないことを無理矢理吐かせるほど鬼畜でもないし。
…………まあ、部長だったら絶対やってるな。お陰で俺の黒歴史が何個増えたか数えきれたもんじゃない。
「我がアンデッドになった理由は…………『守るために力が必要だった』からだ。
詳しく聞きたいことがあるだろうが、今はこれで我慢してくれ」
(分かった。悪かったなノワール。思い出したくない過去を思い出させちまって。)
「気にするな。我も潔く忘れたい過去だが、忘れてはいけない過去でしかないのでな」
頑張って絞り出したかのように辛い表情をしているノワールに一応謝っておくことにした。
『守るために力が必要だった』とノワールは言っていたが、一体あいつは過去に何があったんだ?詳しいことは今度話してくれるみたいだけど気になって仕方がない。そんなどっかの主人公みたいなカッコいい台詞を言われたら惚れちゃうじゃん。
しかもその後に言った
『忘れたいけど、忘れてはいけない過去』
とかもめちゃくちゃカッコいいじゃねえか。
一見…………というかどこからどうみても矛盾しているけど、こんな感じの感情は分かる気がする。
忘れたいけど忘れてはいけない。そんな過去は俺にはないけど、ノワールにはあるということだ。
最初は単なる『頭の狂ったチートヴァンパイア』だと思っていたけど、さっきの言葉を聞いてからじゃ前言撤回しないといけない。
「それよりゴンよ。貴様は今レベルはいくつなのだ?」
「私は65だ。大分上がってきたが、まだまだ力が足りない。その証拠に、お前との力の差を感じて浄化すらしないのだからな」
「フハハハハ!!!貴様の成長速度ではいつになっても我には追い付けんぞ!いくら寿命の永い混合種だったとしても、精々もって150年であろう!僅か150年で500年生きている我を浄化するなど片腹痛い!」
台無しじゃねえかノワール。俺の純情をリボンを付けて返せこの野郎。カッコいいとかイケメンとか思った瞬間にそんな行動しちゃうから『残念なイケメン』とか思われちゃうんだよ(思っているのは俺)。
…………てか、目の前に教会みたいな建物がありますけど、もしかしなくてもあそこですよね?
「着いたぞ。お前らのようなアンデッド族が教会に入るなど前代未聞だが、今回だけは許してやろう」
どや顔で言ってくるゴンさんの顔はとてもつもなく殴りたかった。でも、攻撃力は高くないので猫の手並の強度を誇る手で【魔力撃】を食らわしてやりたい。
お前が許したとしても中にいる巫女さんが許すとは限らないだろ!?
加護持ってる俺はともかく、チートのノワールでも数には勝てないよ。
「よし!では入るとするぞ」
おーい!ノワールさーん!帰ってこーい!
お前が先頭で入っていったら間違いなく浄化されるだけだって!!意味ないし巫女さんを刺激するだけだからやめてくれぇぇぇ!!
誰よりも早くドアを開けようとするノワールを止めようと、俺は急いで駆け寄っていく。
…………だが、ここからはよくある展開だった。
1 ドアを開けているノワールは俺に気がついていない。
2 全力でそれに走っていく俺(急停止不可)。
3 最後まで気づかずそのままドアを開けたノワール。
4 それに激突した俺。倒れ混みながらノワールと共に教会の中へ
「「「ようこそおいで参りました!!巫女の街オーレンの教会へようそこ!」」」
5 ゴンさんと同じ白い着物のような巫女服を着た女性が精一杯の笑顔で出迎えている――――――!?
読んでいただいてありがとうございます!
ここでお知らせですが、明日からテスト週間に入ってしまいます………。
もしかしたら更新ペースが落ちてしまうかもしれません。
でも更新してたら読んでください。




