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草を食べる毎日

どうもココアです。

 一週間に一話投稿とか言ってましたが、書いたので更新しました。



皆さん楽しんで読んでください。

2      草を食べる毎日



霊体として異世界に転生して、早くも四日がたっていた。大分体の感覚にも慣れてきて、動きやすくもなってきた。

 舌が以上に長いものと、存在感ない薄い体はどうにかしてほしものだが。


この舌が長いお陰で全く喋れない。何度か挑戦してみたけど、全くもってできなかったので諦めることにした。


それでもこの体で便利なのは空が飛べることだ。

 転生を瞬間、頭のなかに流れ込んできたNSノーマルスキルの浮遊によるものかもしれないが、ふわふわと空を渡れるのは異世界らしくてとても楽しい。 


  唯一の不満を挙げるとすれば暇だということだ。  草原が広すぎるゆえに人に一回も………と言うか動物に出会っていない。そんな広すぎる草原で俺がしていることは草を永遠と食べていることだ。


異世界に来てはや四日経ったが、俺は早速分かったことがある。

 魔力の減り方と回復方だ。 どうやらNSノーマルスキルを使っていると魔力を消費するらしく、数字に表すと10分に魔力1という消費だ。そして、親切なことに魔力が一定より少なくなると頭のなかに言葉が流れてくるのだ。


《  現在30%の魔力を消費しました。 》


おっと、言っているそばから忠告がきた。

 そう。ずっとそらを悠々と浮かんでいることはできず、この魔力が無くなるまでということだ。 最初は知らなかった俺は、何回か魔力を切らしたことがある。


その瞬間、まるで15日連続出勤+残業をして家に帰ったときのような疲れが俺を襲い、それだけで軽く6時間ほどは眠ってしまったのだ。 

 この魔力が全て無くなってしまったら、手を動かすことも口を動かすこともできない。 だから、時々頭に流れてくる言葉を頼りにするしかないのだ。


ちなみに、さっき30%消費したと言っていたから俺の残り魔力はあと15くらいということだ。

 悲しいことに攻撃力と防御力が0の俺は、魔力だけが全ての頼りだ。………まあ、岩を破壊するくらいの攻撃力ある幽霊を望んでいた訳じゃないけど………もう少しましというか、強くなりたかったというか。 



とりあえず俺は、俺が乗り移る予定だった体を探しているところだ。今は、それまでにこの世界のことを知っておこうしているだけだ。

 魔力のことが少し分かった気がするが、もう少し早く魔力は回復しないのだろうか?


俺の腹時計的な感覚だと30分で魔力1が回復するという計算だ。それも、多く消費していればそれだけ長く時間がかかってしまうというとてもめんどくさい状態なのだ。

 あの世にも美しい女神様が言っていた『レベルアップ概念』というのが非常に気になるが、それはこの世界で知っている誰かに聞くことにしよう。 ………とりあえずそろそろ魔力切れが怖いので、そらに浮くのはこれくらいにして地面を歩くことにしよう(足ない)。 



ノソノソと、まるで歩くというより引きずる感じで草原を進んでいく。

 ………まじでなんもねえな。何かこう………強力なモンスターとかさ(会いたくない)。メチャクチャレアな石とか見つからないもんかね………。

  俺が今会いたくないのは人間だが、幽霊を快く受け入れてくれる人間なら大歓迎だ。 今の俺の趣味と存在意義が『草を食べる』ということになってしまっている。



一家に一台必要の自動草刈り機(幽霊)に成り下がるのだけはなんとしても避けなければならない。

 ………そう言えば、やたらと舌が長いと思って草をガンガン食ってるけどこの草ってどこに貯まってるんだ?一応幽霊にも内蔵ってあるものなのか?


幽霊になるのが初めて………というか、二度となりたくないけどこういうのは事前に教えてほしいものだ。

 永遠と草を食べる作業も、最近飽きてきたところだ。舌が長すぎるから上手く喋れないし、歌を歌うこともできない。



………まあ、幽霊が草原で歌を熱唱してたらそれはそれでみんなパニックかもしれないけど。それでも草を食べる以外何もできないというのはとても暇だ。


魔力のことも、結局はそれに詳しい誰かに聞かないといけないし、レベルアップ概念って言うのも気になって仕方ない。もしかしたら生まれ変わって赤子からやり直した方が良かったかもしれない。

 ………そう言えばトラックに引かれた後って、俺どうなったのかな?ちゃんと葬式あげてくれたのかな?みんな来てくれたのかな?



………何だろう。心臓ないのに胸が痛くなってきた。  ………むうう。とりあえず、一回地球のことは忘れるとするか。部長とか、俺の棺桶のなかにパソコンとか入れてねえよな。まさかとは思うけど、その日俺がやる予定だった仕事の資料とかぶちこんでねえよな?



………いや、あの部長ならありえるか。………何か今度はムカムカしてきた。 もういい。やけ食いするし。



俺は舌をデローンと長くして、凪ぎ払うかのように草を刈って食べた。俺の3メートルくらい先の視界までは、緑色だったところが一瞬にして茶色に変わり、その刈った草をベキベキと噛み砕いて食べた。 

 


ベキベキ………ゴクン。



《 レベル2となりました。ステータスの向上と、新たなるスキルの習得を報告します。 》



………え?今何て? 口に含んでいた草を全部飲み込んだ瞬間、いきなり頭のなかに興味深い言葉が流れ込んできた。



《 【種族:アンデッドモンスター】

   レベル1→レベル2

   攻撃力0→攻撃力5

   防御力0→防御力5

   魔力20→魔力45

   NSノーマルスキル浮遊・透視→浮遊・透視・保護色 》




………何か、色々頭のなかに入ってきたけどとりあえずレベルアップしたってことでいいのか?

 何か、草食ってただけでレベルアップってすごい悲しい。攻撃力が0だった俺は元々攻撃をする手段すらないけど、それでも草食べてただけでレベルアップするとは思わなかった。 



………それに何か新しく覚えた『保護色?』。まだ透視の詳細まで分からないのに、こんなに早くスキル覚えていいのか?

 ………そう。一回だけ透視というスキルを使ったことがある。だけど、まるで何も変わらないのだ。別に何かが透けて見えるわけでもないし、遠くの景色が見えるわけでもない。 



この保護色ってスキルも、下手すれば何にも役に立たないクソスキルじゃねえの?



………まあ、とりあえず使ってみるけど。  ………でも、実は俺スキルの発動方法がいまいち理解できていないのだ。浮遊というのも、何か勘だけでできたし、透視は発動したのかどうか分からないけど魔力が少し減っていたからきっと発動していたのだろう。



………とりあえず、適当に言ってみるか。


(………保護色。)



心のなかでそう呟いた瞬間、俺の体は透けているような白から草原と全く同じ色の黄緑色に変化していった。


………え?まって、何か強くね?このスキル結構強くね?  


目に見える変化に弱い俺は、結構テンションが上がっていた。

 そして、そのままさっき自分が茶色に染めた地面の方へと移動する。

………すると、今度は体が地面と同じ茶色となり、俺の姿は認識が不可能となっていた。 


………何か、ごめんなさい。  保護色がここまで実用性が高いことを知ると、きっと透視というスキルはタイミングが悪かったのだろう。透視する必要のある物が周りに無かったかもしれな―――



《 現在75%の魔力を消費しました。 》




――――え? 嘘だろ?

 まじか。保護色ってそんなに魔力消費が激しいんだ。その頭に流れ込んできた言葉の通り、急いで保護色を解除した俺の体はいつもの通りの薄い白い色となっていった。………せっかくレベルアップしたというのに、早くも魔力を失ってしまえば元も子もない。 



………何か、魔力を早く回復する方法とかねえかな?地球で言う『楽して金を稼げる方法ってないかな?』見たいな感じだ。

 でも、ここでお決まりの台詞は『そんな物があるなら皆やってるよ』という言葉だ。 地球にいたころは毎日毎日そんなことを思ってたっけ。

 

 ………てか、本当に長いなこの草原。


どこまでも続きそうな草原を見ていると、さすがに俺のポジティブハートも心が折れそうだ。

 少しは森とか町とか無いのかよ………。このままだったら、本当に自動草刈り機に成り下がってしまう。幽霊だから夜の方が動けるかな~~とか、最初は思っていたりしたが、そんなことは全くなく、単純に眠くなる。  夜になれば他のアンデッドモンスターが来たりしないかな、とかも思っていたりしていた。 



………でも、来るのは耳元をブゥーンという音で通過してくる害虫しかいない(耳ない)。

 いっそのこと、今度きたら食ってみるか。


 というか、まじでこの先俺どうしようかな。

 

結局は所詮アンデッドモンスターだし、最後は冒険者に殺されて終わるんだろうけど、それまでずっと草食ってるのは悲しすぎる。 



第2か第3の霊生か知らないけど、草食って終わるのは俺ぐらいなもんだろう。

 ………ヤバイ何かまた胸が痛くなってきた(心臓ない)。




読んでいただいてありがとうございます!


 プロローグに比べると文章が短いかもしれませんが、そこはご了承ください。そろそろ戦闘のシーンや、他のモンスターとか人間も登場させたいと思っています。

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