ここに残る理由
これで完結でぇぇぇぇす!!!
今まで本当にありがとうございました。
131 ここに残る理由
――――500年前に一度終わった戦争が今となって始まり、今度こそ戦争は終わった。魔界も天界も共に王を無くし、混乱状態にあった。魔界の方は殆どの魔族を戦争に駆り出してしまったため、魔界は崩壊寸前だった。
天界はまだ神、女神共に生き残ってはいるが誰が次の王の座に君臨するのかを揉めているらしい。
「―――で、結局二人はこっちに残るんだな」
「当たり前じゃないですか~。女神何てもう沢山ですし~」
「記憶を取り戻したから私が女神でいる意味もないからね。今はヒューズ君との約束を果たすよ」
俺が話を振った相手は戦争の際に地上にやってきた女神様たちだ。片方はノワールの恋人で、女神になるために記憶を奪われてしまったルナさん。もう片方は俺に【女神の祝福】という加護を授け、天界から追放されたロゼ。
二人は天界の王を決める口論に参加することを拒否し、この世界に残ると決めたらしい。
「あんな戦いがあったのに世界は平和だったな」
「それは仕方ないだろう。仮にこの世界の人々全てが知っていたら、もっと被害があったかもしれないのだ。知らない方が幸せの場合もあるということだな」
とっさに口から出てしまった言葉に反応したノワール。言われたことに頷くしかなかった俺はそのままため息をつきながら【千里眼】で街や国の様子を視ていた。
驚くほどに平和で、人々はいつもの変わらない日常を過ごしていた。いつもと同じように時を刻み、いつもと同じように日々を過ごしていた。その光景を見ていると、あんな壮絶な戦いがあったことを忘れそうになってしまう。
「ノワール…………これからお前はどうするんだ?」
長年の目的を達成したノワールにそう問いかけた。草原に吹く風が俺の背中を押すように誘導し、その言葉を言わせたのだ。
「質問を質問で返すのは好きではないが、貴様こそどうするのだ?貴様は元々異世界から来たのだろう?ルナに聞いた話だと、天界に頼めば元の世界に帰れるそうだぞ?」
本当に質問を質問で返してきたノワール。でも、そのことは俺も真剣に考えていた。最初に言われたのはルナさん本人からで、そのことに対して真剣に考えていた。元々この世界の人間でもない俺がこの世界に居ていいのかということ、そこまでの目的を持たずに来てしまったこと。
「分からねえんだよな。俺も一体どうすればいいのかさ。帰りたくないわけじゃないんだけど、この世界に居る意味もない。だから分からねえんだ」
少し寂しそうな気持ちが乗った声でノワールに告白した。“分からない”という言葉に左右されている俺は、自分の気持ちに素直になれなかった。
するとノワールが呆れたようにため息を吐き、そのつぎに大きく息を吸い込んだ。
「貴様は一体何を言っているのだ?どんな世界に居たとしても、全員がそこに居る意味を持っていると思うのか?居ることに意味を持っている奴などは数人だろうが、貴様はこの世界を救った一人だろう」
「………」
「胸を張ってこの世界を生きればいいだけだ。生きづらいならば、我が友に居る。それに…………貴様は一人ではないはずだ」
「ノワール…………」
ノワールの言葉は、俺の胸に深く深く突き刺さった。その言葉はとても温かく、心まで温まったような気がした。
「ありがとう…………ノワール」
溢れそうな涙を堪えながらお礼を言い、俺は――――
――――この世界に残ると決めた。
最後まで読んでいただいて本当にありがとうございます。
投稿を開始してから約9ヶ月。ようやく完結させることができました。
今まで読んでいただいた方々には本当に感謝の言葉しか出ないです。
小説をそれなりに書いて来ましたが、物語を完結させたのは始めてです。しばらく読み手の方に回ろうとしますが、新作が出来たら報告致します!!