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本腰入った戦争

105   本腰入った戦争


「ハハハ!!下界がこんなにも良い場所は思っていなかった!!」


黒い雲の中心で笑う者。それはかつてマクスウェルと名乗っていた者と姿が似ていた。紫色の目をし、赤い角を生やしてコウモリのような翼を生やしていた。さらにマクスウェルと名乗っていた悪魔よりも膨大な魔力を宿しているらしく、俺の本能がヤバいと言っている。


青い空は黒り雲に蝕み始めていて青い空が黒い雲に覆いつくされようとしていた。


「あの雲は……」


青い空を覆いつくそうとしている雲を見つめる女神様の顔がどんどん険しくなっていた。黒い雲が何をもたらすのか知らない俺にとってはそんな女神様の顔を黙って見ていることしかできなかった。


「あの雲はダメです。光を食らい尽くしてしまう可能性があります。黒が光を食らい尽くしたら、世界が崩壊してします」


「それを止める方法はないんですか?」


「雲を出す本人を殺すこと……そして、今ある雲を消し飛ばすことです。しかし、あの雲は私たち神の類でないと消すことが出来ません」


それを聞いた俺は少し身震いをして大きく深呼吸をする。魔力はまだ半分も回復していないが、数分くらいなら悪魔と戦うことはできるだろう。少なくとも今ある黒い雲を消す時間くらいは作りたい。


「俺が悪魔の相手をしますので、女神様はその間に今ある黒い雲だけでも消してください。正直何分持つか分かりませんが、何とか持ちこたえようと思います」


「……さっきまで標的だったあなたと協力するのは少し複雑ですが、今はそれに従うしかなさそうですね。私もなるべく早く片付けます」


そう俺に言った女神様は隠していた翼を再び出して飛び立った。気配を極限まで消し、悪魔に見つからないように移動してくれているために俺が悪魔の気を引きやすくしてくれていた。魔力の無駄遣いが出来ないと判断した俺は空中戦ではなく、地上戦に持つ込むことにした。


俺も気配を極限まで消しているため悪魔はまだ俺の存在に気が付いていない。今はただ黒い雲を増殖することに専念しているようだ。


「よし、【魔弾】!!」


そんな油断している悪魔に狙いを定め、飛距離とスピードを出すために小さく凝縮した【魔弾】を放った。悪魔目掛けて放たれた【魔弾】はそのまま悪魔に直撃する。――しかし、悪魔は痛みを感じていない様子でただ【魔弾】を放った俺のことを睨みつけていた。


「今の……お前がやったのか?」


「そうだよ。他に誰が居るんだ?」


悪魔の問いかけに対して挑発するような口調で答えると、瞬間移動したように俺の目の前に現れた悪魔。その圧倒的な力の差と悪魔ならではの威圧感に硬直してしまったが、それは直ぐに解けてしまった。圧倒的な力を差を感じているが、それでもノワールより弱いという考えが頭の中をよぎったのだ。


「人間のくせに俺たち悪魔にケンカを売るとは大した度胸だな。……ん?いや、お前の顔はどこかで見たことがあるな」


俺のことを見下すような目で見ていると思ったら次の瞬間顎に手を当てながらまじまじと俺の顔を見だした。そして何かを思い出したような顔をした悪魔は急に殺気を露わにした。


「思い出したぞ……お前、俺ら悪魔たちが狙っているアンデッドの仲間だな?あいつが居たから俺たちの計画が全て狂ったんだ」


筋違いもいいところの理不尽な怒りを向けられたことに思わず唾を飲んだ俺。マクスウェルより遥かに強いこの悪魔の威圧感が俺を襲っていた。数秒後に生きていることすら確信できない俺は残りの魔力を全て攻撃ではなく、防御に回すしかないのかもしれない。


「仲間のお前を殺せば自動的にノワール()も現れるかもしれない」


「!!?」


悪魔がゆっくりと手をこちらに翳し、スキルか魔術を放とうとしたことに直感が働いてそれより早く悪魔の腹を殴った。


「グガァァァ!!!?」


―――すると悪魔はただのパンチを喰らったとは思えないほど吹っ飛び、踏ん張って何とか勢いを止めようとする。


《 確認しました。新たなるスキル【掌底】を習得しました。 》


悪魔を吹っ飛ばした直後に頭に流れ込んできた懐かしき機械音。どうやらさっきの一撃がたまたまイイ感じにヒットし、それがスキルとして認められたらしい。【掌底】ということは物理攻撃のスキルであることは確かだろうが、効果は良く分からない。


(【解析:掌底】。)


《 解析が終了いたしました。

   スキル名【掌底】。物理攻撃スキルの一つでパンチの威力を持て余すことなく相手に伝わせるスキル。倍率からして通常のパンチより5倍から10倍の威力が出る。


 そして【掌底】の解析が完了したことにより【掌底破】と【肉体保護解除(リミット・オフ)】を習得いたしました。 》


「え?マジで?」


スキルを解析したら新たなるスキルを習得するということに動揺したけど悪魔が完全回復したらしく俺に向かってすさまじい殺意を向けていた。


「ハハハ!!なるほど、さすがは最強の仲間だ!!こうでなくてはつまらない」


悪魔は戦闘狂の奴らが多いのか知らないけど、どうにもこんな感じの反応する悪魔を多く見る気がする。新しいスキルを習得してもそれを存分に使えるだけの魔力も回復していない俺にとっては持て余すだけだ。しかし、習得したもう一つの【肉体保護解除リミット・オフ】というスキルは気になる。保護を解除するということは身体能力を飛躍させるスキルなのは分かるが、俺には身体能力を飛躍させるスキルをもう二つ習得している。

一つは【身体強化】で魔力を消費することで身体能力を倍増させるスキル。もう一つは【身体増強】でこれは身体能力の数値を増やすというものだ。


そして今回【肉体保護解除リミット・オフ】というスキルを習得した。


「やってみるしかないか。【肉体保護解除リミット・オフ】!!」


一か八か駆けるしかない俺は思い切ってスキルを発動させた。……しかし、これといった分かりやすい変化はなく魔力を消費したような感覚もない。


「今度はこっちから行くぞ!!おらぁぁぁ!!」


「やべっ!?」


変化のないことにおどおどしていると悪魔が紫色に光らせる剣をこちらに振りかざしながら近づいてきた。咄嗟のことで上手く反応できなかった俺は適当に力いっぱい跳躍することしたできなかった。


「うっ!?何だ……?」


跳躍しようとした瞬間、今まで感じたことがない痛みが俺を襲う。さらにただ跳躍しただけとは思えないほど高く跳び、遥か上空に移動した。黒い雲が目の前に映り、驚異的な跳躍をしたことを自覚した。


「あれ?俺ってただ跳躍しただけだよな?」


スキル【肉体保護解除リミット・オフ】を発動させたこと意外は何も特質的なことをしていないことを振り返ると、完全にスキル【肉体保護解除リミット・オフ】の効果だと言うことがわかる。悪魔は俺が驚異的な跳躍を見せたことに戸惑ったのか、急いで空を飛んで追いついてきた。


「脆弱な存在である人間がここまでの跳躍を見せるとは思わなかった……。正直、俺はお前のことを舐めていた。けど、ここまでのことをされたら舐めることが出来ない。

 だから……ここからは本気で行かせてもらう」


今までは本気じゃなかったのか軽く思いながら地上に降り立ってから勝負の続きが始まった。紫色に光る剣を向け、俺にも剣を抜くことを指名してくる。俺はその指名にあえて乗り、ノワールから授かった剣を抜いた。


―――そこからしばらく剣での戦いが続くこととなった。

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