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プロローグ

新作を書いてみました!

 更新ペースはおそいですが、皆さん楽しんで読んでください!!

    プロローグ



35歳独身、現在国が敷いたレールの上を辿っているだけの社畜だ。

 大学を卒業したあとすぐに就いた仕事先は電気会社だった。………新入社員だからと押し付けられる激務………ミスは自分で手柄は上司という最悪な会社だ。



 でも、それから約10年間、俺―――荻原隼人は、現在は専ら社会の忠犬としてしっかりと働いていた。  よく小学校の時は………とか、中学校の時は………何て言うが、俺レベルまでいくと過去のことを羨ましがっても仕方ないと思うだけだ。


むしろ、この人生が失敗な故に来世はイケメンの秀才で生まれたいものだ。 毎日のように女子にちやほらされたり…………中間テストでぶっちぎりのトップを取ったり、来世はそんな人生を期待するとしよう。 



俺はいつもの変わらない日常が一日でも早く終われるようにと、毎日目覚まし時計を恨みながら止めていた。 平均の睡眠時間が4時間の俺は、そろそろ過労死してしまう。


…………まあ、とりあえず今のプロジェクトが終わったら落ち着くから有給を貰うことにしよう。

 現在取り組んでいるプロジェクトは、『声センサーで開く冷蔵庫の開発』だ。正直、全くもって需要のないくそみたいな企画だと思う。 

別に声でひらくことを必要としていないのに、無駄に複雑な精密機械を取り組むものだから、値段だって普通の冷蔵庫なんかより飛び抜けて高い。  

 しかも、これが売れなかったら俺の責任となってしまう。 元々あったこのプロジェクトは、長い間放置されていたことだが、俺が少しミスをしたときの当て付けのようにプロジェクトのリーダーとして任命したのだ。  いっそのことぶん殴ってやろかと思ったが、さすがにそんな度胸も覚悟ない俺は精々休憩室にある自販機を殴るくらいだ。

 

 サービス残業がモットーである内の会社で有給という単語があるのか分からないが、一応あるだろう。 俺は渋々6時30を示す目覚ましを止めてからベッドから起き上がった。



もうすっかり冬のシーズンが終わった今、窓からは春の気持ちいい日差しが差し込んでいた。

 ………とりあえず毎日窓からは日の光を浴びないと、俺のテンションとモチベーションは全く上がらないのだ。数分間、悟りを開いたかのようにして日の光を浴びていた俺は、モチベーションをしっかりと上げてからスーツに着替える。




………せっかく上げたモチベーションだというのに、このスーツを見ただけで一気にモチベーションが下がってしまう。

 すっかりくたびれたスーツはまるで買い換えを要求しているようにも見えたが、残念ながら買いに行く金がないのではなく、暇がないのだ。唯一俺が行く店と行ったら、コンビニ・弁当屋・牛丼屋・本屋くらいだ。  


 この上位4つは度々行く。 たまに飲み会などにも誘われるが、残念ながら俺は酒が一滴も飲めないのだ。大学生のとき、先輩に無茶ぶりをされてから酒がトラウマになってしまったため、飲むとしても最初の乾杯のときだけだ。 皆が酒を飲んでいるなか、俺は一人でウーロン茶を飲んでいることとなる。そんな寂しい状況は避けたいため、俺は誘われてもいかない………というか、最近は皆誘ってくれない。


俺が酒飲めないことを理解したのだろうが、誘ってくれないのはそれはそれでとても寂しい。



「よしっ!!」



ピシッとネクタイをして、どこからどう見ても立派な忠犬社畜にしか見えない格好で俺は会社へと向かう。

 アパートの鍵をしっかりとかけてから階段を下りて、会社へ向かう。

朝食は食べていないため7時前くらいには家を出てしまうが、俺が普通のサラリーマンよりも早く出るのには理由がある。



「おはようございます」

「おはようございます荻原さん。今日もお早いですね」



春の太陽にも負けないくらい眩しい笑顔で挨拶してくれたのはこのアパートの大家さんだ。

 名前を中尾 九美さんと言って、俺より年下なのに大家さんというしっかりした人だ。  主婦を思わせるエプロンに、逆にエロく感じるジーンズはその見事な体型のぼんきゅっぼんをしっかりと表現している。



年下なのに、どこかお姉さんのような雰囲気を醸し出す九美さんは、このアパートのマドンナとも言われている。 ………この笑顔を毎日みるために俺は少し早く家を出るのだ。

 


「では行ってきます」

「行ってらっしゃい荻原さん。今日も頑張ってくださいね」



まるで年上の女性に誉められた少年のように喜んだ俺は、スキップをしながら駅へと向かった。



「………あ」


信号がしっかりと青になってから渡った俺だったが、歩き出したときには既に遅かった。

 右から来る巨大な影………その場にいる全員の目線が俺の方に向いている。


 ………その瞬間、俺は目の前からすごいスピードで走ってくるトラックの餌食となってしまったのだった。











「………あれ?ここは………」




一体どれくらい眠っていたか知らないけど、なぜか俺は生きていた。

 そして、俺はひとつの椅子に座らされていた。………真っ暗でなにもないのに、なぜか椅子に座らされていた。




「………ようこそ荻原隼人さん。………申し上げにくいのですが………あなたは死んだのです」



………いきなり目の前に現れた女の子に、人生最大のカミングアウトをされた。


………でも、俺はなぜか冷静だった。  死んだからどうとか、別にやり残したらことがあるわけでもない。俺が気になることはここが何処なのかということと、目の前の女の子が何者なのかということだけだ。 

 いきなり現れた女の子は、地球では絶対にいないと言えるほど綺麗な銀色の髪をしていた。



どちらかというと年上属性だったはずの俺だったが、女の子の綺麗な銀色の髪と、ルビーのように光り輝く目に引き込まれそうで少し困った。

 

 他人の死だというのに、意外と悲しんでくれる女の子は一体何者なのだろうか?



「………私は女神です。そして、あなたは今『死後の世界』にいます」

「死後の世界?」

「はい………トラックに引かれて死んでいったあなたは、そのまま異世界に事前に用意されていた体に魂を宿らして生きてもらう予定でした」

「………予定?」

「………あなたは、異世界転生をする時に、もう一度死んでいます」



まるで自分が死んだかのように悲しんでくれる女神様は、次にこう語った。

 トラックに引かれて死んだ俺は、魂だけ地球とは違う世界に行くということだった。そして、魂だけの俺は事前に用意された体へと乗り移り人生を歩んで行く予定だったと言う。


………だが、ごく稀に違う世界………言わば異世界に行く瞬間に失敗が起こるらしい。 その、1%にも満たない低確率を見事に引き当てた俺は再び死後の世界に魂だけ来てしまったわけだ。  ………我ながらどれだけ不幸なのだろうか。  アニメやライトノベルでお馴染みの異世界転生かと思いきや、まさかの失敗とは。



いきなりのバグ発生に、俺にはどうすることもできなかった(だって死んでるし)。

 

だが………そんな姿を見ていた女神様は、まるで俺には希望を持たせるような形で言ってきた。




「………あなたは二度死んでいます。だから、『アンデッドモンスター』としてなら異世界に行けますよ」

「アンデッドモンスター?」

「アンデッドモンスター………言わば『幽霊』ですね。絵で表すとこんな感じです」




そう言って手品のように出した紙とペンでいきなり絵を描き始めた。

 シャッシャッとペンが紙を擦る音が、俺の耳にも響いていた(死んでるけど)。


………待つこと約5分。 ようやく描き終わったらしい女神様は、描いたその絵をこちらに見せてきた。  



「こんな形で転生ですね………。幽霊と言ってもモンスターなので、討伐される可能性は高いですが………」




そう言って見せてきた絵は、典型的な幽霊の姿だった。

 存在感が無いように思わせる薄く白いからだに、頭に三角の布をつけていて腕のようなものはなく、「うらめしや~」と言っているかのような猫の手をしていた。



………何か、その辺の小学生が描いたような形で俺は異世界に行くらしい。 しかも、俺は幽霊だから冒険者とかに倒される対象だ。既に二度死んでいる身だけど、殺されるのは何か怖いな。   

 


………待てよ。転生するときにその体ってことは、今の俺の体も白くて透けてる体なのか?

 嫌な予感がした俺は女子のように自分の体を見回した。  


………すると、スライムのように透けている体と指と腕のない手、舌が妙に長く感じる口。 頭には熱を冷まシートのような物を貼っているかのような違和感と冷気が感じられる。  



………何より足が無いのが一番の説得力だ。 

………ちなみに、俺の息子の存在も無くなっていた。  35年間共に生きてきた息子と離ればなれになり、息子にいい思いでを作ってやれなくて本当に申し訳なく思っている。




「えっと………ひとつ聞いていいですか?」

「はい。どうぞ」

「事前に用意された体というのは、もう無いんでしょうか?」



これは単純な質問だ。 用意された体に乗り移る瞬間にもう一度死んだのだ。

 なら自力でその体を見つけて乗り移ることも出来るだろう。

しかし、女神様はなぜか難しそうな顔をしながら言った。




「一応存在します。ですが………場所はどこにあるのか分かりません。そして、自力でその体を見つけたとすれば乗り移ることもできます」



やっぱりか。でも、場所が分からないんじゃどうやって探すか分かったもんじゃねえな。人に聞いて教えてもらう訳にもいかないし………というか、幽霊の俺って一般人に見えるのか?

 てか、仮に転生するのを拒否したらどうなるんだ?


「ちなみに、転生するのをお辞めになるのなら、新しく地球で人生を歩んでもらいます」



俺の心を全て悟ったかのような口ぶりで言ってきた女神様だったが、どこか適当に言っている気がした。

 ………まあ、適当に言ったってことは俺が異世界に転生することを望むことも知っているのだろう。  



俺は少しカッコつけながら言った(霊体の状態で)。




「やっぱり転生します」

「分かりました。じゃあ、その世界に干渉するために『レベルアップ概念』を吹き込みますね。これで少しは戦えると思います」



そう言って近づいてきた女神様は、俺の頭を撫でるようにして頭に手をかざし、そこから水色の神秘的な色が発生した瞬間、頭のなかに数字と言葉が流れてきた。



《 概念の吹き込み完了しました。

 【種族:アンデッドモンスター】

  レベル1

  攻撃力0

  防御力0

  魔力20

NS(ノーマルスキル)浮遊・透視》




………何だ今の? 魔力?NSノーマルスキル?   よく分からない単語と数字が頭に流れんできた俺は、女神様の方をじっと見つめていた。  

 


「では行ってらっしゃいませ。霊体でありながら努力して生きていくあなたに神の祝福があることを祈っております」

「………えっ?ちょ、まっ――――」




よく分からない単語が出てきたことに質問しようとした瞬間、いきなり魔法陣のようなものが俺にしたに現れて宙に浮いた。

 最後のずいぶんと女神らしい言葉を聞いたときには既に手遅れだったが、俺はそれでも女神様に言っていた。









NSノーマルスキルって何ですかぁぁぁぁ!!!」  



………咆哮のように叫んでいたところは、既に死後の世界とは全く異なる世界だった。

 どこまでも続くと思わせるような広く、壮大な草原………地球とは比べ物にならないくらいに大きな太陽………自然が豊かと言う他ないこの世界で、

 俺の第2?第3?



よく分からないけど、俺の新しい人生が――――




―――幽霊だから人生じゃねえか。  



   俺の新しい霊生が始まるのだった。

 

読んでいただいてありがとうございます!

 プロローグから感想を貰えるとは思っていませんが、誤字等があったら遠慮なく言ってください!


更新ペースは一週間に一話を目指しています!

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