そう言えば、美紀と僕にはこんな昔話があったな。
「第一回!ホラーゲーム速攻攻略対決!!」
「「「イエ―イ!!」」」
今日も僕のゲーム部屋に僕こと花坂可憐、花坂真紀、佐々木南、キースの四人が集まった。
「ルールは簡単!これから二人ずつのチームに分かれて5つのホラーゲームをやり、先に全部終えたチームの勝ちだ!但し、途中で指定の音量以上の悲鳴を上げたらペナルティとして十分間何も出来なくなる!」
「「「イエ―イ!!」」」
「賞品は・・・ホラーゲームのグッズ一年分だ!」
「「「いらない!!」」」
「そうか!じゃあ始めるぞ!」
いい感じに盛り上がっている。さてと、次はチームを決める為にくじ引きをやろう。
「じゃあ皆で一斉に・・・」
「「「「せーの!」」」」
僕のクジの先は赤い線が一本あった。真妃とキースの引いたクジの先には線は無く、南のクジには僕と同じ赤い線があった。
「と言う事は、僕と南が味方チーム。真妃とキースが敵チームか。」
「キース、頑張ろうな。」
「おう!」
「ごめん、僕ホラーゲーム苦手なんだよ・・・」
「・・・マジ?」
その言葉を聞き、僕は少し不安になった・・・
「ギャッ!!」
「「はい、10分間行動不能。」」
「南の大馬鹿・・・ただガラスが割れただけじゃないか・・・」
「だってガラスだよ!?ガラスがバリンだよ!?」
この怖がり南が・・・ヤクザのボスやってる癖に・・・
「あぁ・・・あの頃を思い出すな・・・」
「あの頃?」
「僕が中学二年の頃、美紀と初めて会った頃だよ。」
「あぁ・・・あの頃か。」
「「何それ、何の話?」」
真妃とキースが食いついて来た。
「聞きたいか?」
二人とも頷いた。
「そうか、じゃあ話してやろう・・・」
僕がゲームを買った帰り道・・・
「・・・誰だ?」
誰かが僕を後をつけている様な気配を感じた。僕は隠れられそうな所を探したら・・・
「意外とあっさり見つかったな、おい・・・」
「・・・」
「何で僕をつけていたんだ?お前、名前は?」
「・・・私、家出をした。でも行く所が無いから誰かに泊めて貰おうとしたんだけど、こんな事頼んで良いのか分からなくて・・・後、私の名前は藤崎美紀・・・」
当時の美紀は丁寧に説明した。僕はどうしようかと迷ったが・・・
「分かった、お前を僕の家に泊めてやるよ。ゲームが沢山あるから退屈はしないと思うぞ。」
「・・・でも、やっぱり・・・」
「大丈夫だ、変な事はしないから。女子の家の方が良いと言うなら心当たりはあるけど・・・」
「・・・ううん、貴方の家に泊まる。」
「そうだ、家出した奴は他人の好意に最大限に甘えてればそれで良いんだ。」
こうして僕は美紀を家に連れて行った。
「・・・・・・」
「おいおい、窓に血が出た位で気絶するなよ・・・怖くなるのはここからなのに・・・」
ちなみにこれが真っ先に思い出した所だな。
「あ、チャイムが鳴った。」
僕が玄関に向かってドアを開けたら三十代に見える女性と、強そうな男たちがいた。
「何か用でしょうか?」
「家出をした私の娘が貴方の家にお邪魔していると言う情報がありまして、迎えに来ました。」
「ここには藤崎美紀と言う奴がいますけど・・・そいつですか?」
「そうです、私は藤崎彩と申します。早速私の娘を・・・」
「全員、帰れ。」
「・・・は?」
「今すぐ帰れと言ってるんだよ、美紀は帰さない。」
「何をおっしゃっているのでしょう?美紀は私の娘で・・・」
「貴方の娘だから何なのですか?」
「私の娘は私の物に決まってるでしょう!?ふざけた事を言ってないで・・・」
「貴方が嫌で家出をしたのに?」
「私とあの子は親子です!あの子の勘違いはすぐに・・・」
「勘違い?心が傷付いて家出をしたのに家出をした方の勘違い?どうしようもないですね、貴方。」
「もう良いです、娘を返してくれないのなら貴方を訴えます。」
「だったらこっちは特権を使います。」
「特権?」
「僕は一年間、テストで百点を取って夢現校では何でも出来る特権を手に入れました。美紀も夢現校ですから美紀を親に近づけさせないと言う事も簡単に出来るんですよ。」
「そんなふざけた事、許される訳が・・・」
「文句でしたら夢現校の理事長に言って貰えますか?特権を使える様にしたのは理事長ですので・・・」
「・・・キー!!このクソガキ!!死ね!!死ね!!」
「こうして美紀の母親とその他大勢は帰ったんだ。」
「なるほど、そう言う事があったのか・・・」
「それが切っ掛けで・・・」
真妃とキースは僕の話にすっかり夢中になっていた。
「良し!ゲームクリアだ!」
「ナイスだ南!」
そのおかげで真妃とキースより先に一つゲームをクリアした。
「「しまった!!ゲームの事忘れてた!!」」
真妃とキースは急いでゲームを再開した。
「「ギャ――!!追いかけて来た!!」」
「「はい、十分間休み!!」」
こうして僕と南は次のゲームへ移行した。




