人の異変 2
僕は今、空を飛んでいる。言っておくがこれは夢では無く、現実だ。
「可憐、大丈夫ですか?」
そして僕は女性に抱えられながら飛んでいるのだ。空を飛んでどこへ向かうのかと言えばもちろん真妃の所だ。何故僕が女性に抱えられ、昨日までと違う真妃の所へ行くのかと言えば・・・
三時間前、僕はキースに引っ張られてどこかの公園へ連れられた。
「おい、なんでこんな所に?」
「それは順番に説明する。まずネリーには六道輪廻の人が取り付いている。」
「・・・え!?」
「可憐と僕以外の全員が何故、昨日までと違うのかは人の所為だ。そして、例の如く追い出す訳だが・・・僕とお前だけではハッキリ言って力不足だ。」
「でもしょうがないだろ、他の奴は全員・・・」
「そこで、コイツを使う。出て来い!」
「コイツ・・・?」
すると、公園の木の陰から誰かが出て来た。
「あの、コイツは・・・」
「コイツは六道輪廻の修羅だ。」
「本名はジャンヌです。」
六道輪廻の修羅は、半田と言う僕の友達に取り付いていた奴だ。天、人、修羅の三人は女性だと言う事は真妃から教えて貰った。
「それで、この修羅・・・ジャンヌを使ってどうするんだよ。」
「ジャンヌには海外にいる真妃に取り付いて貰う、そうすれば人の力から逃れる事が出来る。」
「後は海外のどこにいるかが分かれば良いんですけどね・・・」
「ジャンヌ、一つ質問なんだが・・・」
「何ですか?」
「そもそもなんで僕には人の力が通用しない訳だ?」
「・・・・・・分かりません。」
なるほど、戦っているだけの奴に脳みそは無いと言う訳か。
「取りあえず、しらみつぶしに海外を回るぞ!」
と言う訳で三時間、このジャンヌと一緒に世界を回っている訳だ。
「大陸に着きました。」
「そうか、分かったよ。」
僕はまた、ジャンヌと一緒に真妃を探しに向かう。
それから一時間、全く収穫は得られない。
「ジャンヌ、質問があるんだが・・・」
「何ですか?」
「お前は天の管轄に入っているのに何でキースに協力するんだ?」
「キースは私の・・・」
「私の?」
「いえ、何でもありません。」
(なんだよ、まるで僕のモノローグみたいじゃないか。)
そんな事を思っていると、突如に電話が鳴った。
「もしかしてキースが見つけたのかもしれません!」
「そうだな・・・はい、もしもし?」
「もしもし可憐か?今、時間あるからお前の話を・・・」
「なんだよ!今頃電話するな南!!」
僕は怒って電話を切った。
「あの、誰からですか?」
「セールスだよ!!」
それから更に一時間・・・
「全然、見つかりませんね・・・」
「やっぱり広い世界をしらみつぶしに探すなんて無理があるぞ・・・」
「仕方ありません、奥の手を使いますか・・・」
そう言うとジャンヌは、僕を抱えて空を飛んだ。
「さてと、日本に着きましたよ!」
「帰ってどうするんだよ・・・」
「まぁ見ててください。」
ジャンヌは、電話ボックスに入り十円玉を入れた。
「はい、もしもし?」
「あ、すいません。そちら、花坂可憐さんのお兄さんでしょうか?」
「はい、そうですが・・・どちら様ですか?」
「私、可憐さんのクラスの担任の千堂桜と申します。実は可憐さんが・・・」
なんで真妃に電話をするんだ?
「トラックにはねられて今、生死の境を彷徨っています。」
「何ですって!?すぐに日本へ帰ります!!」
そして真妃が電話を切る音が聞こえた。
「これで万全ですね!」
最初からそれ使えよ、と言うツッコミは入れないでおこう・・・




