どうすれば良いのか悩んでいたら、暁光が見えた。
文通始めてから三日ほど経った。でもどうやって餓鬼の六道輪廻を出そうか未だに迷っている。もう気のせいで済まそうとは思うが、あいにく取り付かれた奴に触れていなければキースの権限は使えない。寝ている隙にやれと言ってもまず起きてしまうだろう・・・本当にどうすれば良いのかな。
「いっその事このままにしておくのはどうだ?満たされなければ満たそうと頑張るだろうし、と言うか取り付かれた方が良い方向に行くんじゃないの?」
僕の家の一階で、僕はキースと真妃の前で投げやりな事を言った。
「・・・まぁ、そうとも言えるな。そもそも何故餓鬼、畜生、地獄が男なのか分かるか?」
僕の投げやりな言葉にキースが質問して来たが、僕と真妃は当然沈黙する。
「男と言う存在は最初は弱いが後で強くなるんだ、女の場合はその逆だな。これは若いOLが三十路になるとシワが出来たりシミが出来たり、男子が成長して力が強くなったりで証明されている。まぁもちろん例外はあるけどな・・・それと同じで天、人、修羅が取り付かれると最初は楽しい気持ちになるが、いずれ飽きる。だが、人間は最初だけ楽しいのを求めていずれ腐り落ちるのを望んでいるんだ。逆に餓鬼、畜生、地獄は取り付いた相手に必ず這い上がれるだけの力を与える。僕たちはそうするのが望みなんだ。だが、世の中の人間は僕たちと同じ考えでは無い。這い上がれるだけの力を与える余裕なんてない。だから不幸な人間がどんどん増えるが、それを上回るスピードで幸せな人間も増えているから世の中は幸せなんだよ。」
キースは、僕と似ている。いや、僕と似ている奴なんか世の中に溢れているだろう。だがその大勢はしょうがないと思って割り切っている。僕は割り切れないから・・・これ以上は止めておこう。
「・・・悪い、話が脱線した。」
キースは謝罪した。
「このまま可憐が文通を続けるのは少々無理があるし、快感を受けても良い様な仲になったら後が面倒だし、どうすれば良いかな・・・?」
「なぁ真妃、ちょっと気になる所があるんだけど・・・」
「なんだよ、なにか良い方法でも思い付いたのか?」
「そもそもエーフィはどうして夢現校に来たんだ?後、僕とエーフィが初めて会った時にどうして僕のプロフィールを色々聞いたんだ?」
「・・・後者の理由だが、エーフィは自分の歌を聞いた奴が全員踊ったのに可憐だけ踊らなかったからショックで色々聞いたんじゃないか?」
キースは僕の質問に答えたが、
「じゃあ何でその時一緒に聞いていたお前には何も聞かなかったんだ?」
僕は反論した。
「あれ?そう言えば何でだろう・・・」
「そもそも何でお前は勝手に踊らないんだ?」
「勝手に踊るのは餓鬼の六道輪廻の力だ、そんな力は餓鬼と畜生を使役できる僕には効かないよ。」
「じゃあ踊らなかったのにエーフィが色々と聞かなかったのはお前が六道輪廻だとエーフィが分かっていたからか?」
「そんな訳ないだろ、アイツは人間・・・あれ、だとしたら何で色々聞かなかったのかな・・・?」
「真妃、六道輪廻を知っている奴って誰だ?」
「えーと、人間は知る筈もないから・・・俺とか可憐とか・・・後、ネリーも知っているな。」
「そのネリーは人間か?」
「何を言ってるんだ、新夢現実に決まって・・・あ!?」
「あくまで予想なんだが・・・エーフィは新夢現実なんじゃないのか?」
「なるほど!確かにそうだとしたら僕に質問しなかったのにも合点が行く!」
「早速エーフィに文通で確かめるぞ!」
僕は二階へ行き、書き始める事にした。




