第2話 天才実験をする。
あれから3日が経ちました。野球をした次の日に筋肉痛になりました、学校に行くのが辛かったです。今日は平日なので、普段なら学校から帰ったら勉強をするのが日課なのですが、今私は誰もいないグランドにいます。今日は試したいことがあるのです。
「それでは実験を始めましょうか」
そして、私は二日でまとめた野球のレポートを見ました。
「うん?あれは・・・新入りか?」
彼女は平野真琴。大輝のチームメイトで、西岡シニアのレギュラーでこのチーム唯一の女性だ。
「何をやってるんだ?」
大輝はマウンドの上でノートを見ていた。真琴は気になり大輝の元へ向かった。
「それでは実際をやって見ましょうか」
「何をやるんだ?」
「?・・・平野くん。どうしてこんな所にいるんですか?」
「ランニングをしてたら、貴方を見つけたの。こんなところで何してるの?」
「実験です」
「実験?何の?」
「野球です」
「はい?」
平野くんが首を傾げて聞いてくるので、答えてもピンと来てない見たいですね。
「平野くん、お願いがあるんですけどお願いして良いですか?」
「何?」
「コレで球速を測ってくれませんか?」
私はスピードガンを取り出した。
「別良いけど」
私は平野くんにスピードガンを渡して、モーションに入り全力で投げました。うわ、全然遅いですね、自分でもわかります。
「なんキロでした?」
「83キロ」
「おぉ、思った以上に速かったですね」
「いやいや、中学生でコレはかなり遅いよ」
「面目ありません。それじゃあ、もう1度測ってくれませんか?」
「別に良いけど、そんなに変わらないと思うよ」
そして、再びモーションに入った。今度はボールに一番力が伝わりやすく、自分に最適なフォームで全力で投げました。すると明らか的にボールの速度が上がりました。
「今度はなんキロでした?」
「・・・101キロ」
「これは予想どうりですね」
18キロの上がりました。
「ちょっと待って!」
「どうかしました?」
急に平野くんに止められてしまいました。何でしょう?早く実験の続きをしたいんですけど。
「この前より全然球が速くなってるじゃない?この3日でどう練習をすれば、そんなに球速が急激に上がるの?」
「すみません。この三日は筋肉痛で、まともに動けなくって練習はしてません」
「嘘、練習をしてないのに、どうやって球速を上げたのよ?」
「自分の最適なフォームで投げれば、球速を上げる事ができますよ」
「自分の最適なフォーム?それだけで急に球が速くなるの?」
私の理論と計算は完璧です。
「それじゃあ、試して見ます?」
「試す?」
「私がこの短時間で平野くんの球速を上げましょう」
「そんなこと本当にできるの?」
「出来ます!ですから、やりましょう!やらせてください!」
「わ、わかった」
おっと、つい大声を出してしまいました。初めてかもしれませんこんなに必死になったのは。
「それで、どうすれば良いの?」
「それでは、身長、体重、握力、その他もろもろ教えてください」
「・・・」
なぜか平野くんが、軽蔑の眼差しで見られた。何でしょうか?
「セクハラよ」
「何でしょうか?」
「女に何てことを聞くの?」
「誰が女なんですか?」
「私が」
「・・・女!?」
えっ!?平野くんが女性?それじゃあ、平野くんは平野さんだったのか!
「平野さんって本当に女性何ですか?」
「そうよ、何にか悪い?」
「いえ、全然」
うわ、平野さん怒ってるよ、怖いです。しかし、女性ですか、うん?女性?
「そう言えば女性の方はまだ、研究してませんね」
「はぁ?」
「うん、女性と男性ではいろいろ違いますから、違う結果が出て面白そうですね」
「ちょっと、何にブツブツ言ってるの?」
「よし!やってみましょう」
「何を?」
よし、ここは平野さんに協力してもらいましょう。
「平野さん」
「何に?」
「実験に付き合ってください」
「はい?」
「それでは、先程の質問に応えてください。身長は?体重はいくつですか?それと・・・
私はそのあとひたすら平野さんに質問し続けました。
「セクハラよ、あれはセクハラよ・・・」
「う~ん、これで良いはず」
私は平野さんを理想のピッチャーにするため、自分なりに考えた。
「平野さん、さっそく実験を始めましょう」
「!ッツ!セクハラよ!」
丸まっていた、平野さんが怒った顔でこちらを睨み付けている。まあ、今はそんな事はどうでも良いです。
「平野さんの最速はなんキロですか?」
「無視するな!」
「何がですか?」
「あれは歴としたセクハラよ!」
「すみませんでした。それで最速はなんキロですか?」
「ちょっと!話を誤魔化さないで!」
「早く私の質問に答えてください!私には時間がないんです!」
早く実験がしたいんですから!
「えっ?す、すみません。・・・あれ?何で私が謝ってるの?」
「それで、最速はなんキロですか?」
「えっと、112キロくらいかな」
「それでは先程の説明した通り投げてください」
「本当にフォームを変えるだけで球速が上がるの?」
「もちろんです!私の理論と計算は完璧です!」
「はぁ~、わかった」
平野さんはしぶしぶに了承してくれました。でも真面目にやってくれました。軽くキャッチボールをやってから、平野さんはモーションに入りボールを投げた。
シューン!ボコ!
投げられたボールは勢いよく壁に直撃した。
「どうでした?」
「・・・うん、今間で1番指の引っ掛かりが良かった」
「そうですか、ちなみに今は125キロ出てました。13キロ上がりましたね」
これは凄いですね、女性にしたらかなり速い。
「嘘!?」
「本当です。私の計算では、平野さんはこれから成長期ですので身長が伸びますので、将来的には140キロは出ると思います」
「本当に!?」
「次は変化球のデータを取りたいので、言われたとうりの握りをしてください」
「ねぇ!?本当なの!?」
平野さんは真面目なようすで聞いてきた。
「何がですか?」
「私は本当に将来140キロ投げれるようになるの?」
「えぇ、このまま身長が上がれば上がるほど、球速は速くなりますよ。更にある程度の筋肉をつければ更に球速を上げれます」
それを聞いた瞬間に、平野さんは満面な笑みになった。何がそんなに嬉しいのだろうか?
「よーし!今から毎日筋トレしよ!」
「ダメです!」
「えっ!?何で?」
「筋トレは高校生になってからです!そうしないと140キロは投げれませんよ!」
「わ、分かった」
「良ですか?今は平野さんには技術を身に付けてもらいます。次は変化球の実験をします。いいですか?」
「うん」
そのあと様々な変化球を投げた。スライダー、カーブ、フォーク、シンカー、シュート。でも、変化球は肘に負担がかかるから、それぞれ一球ずつだけ投げた。
「ふむ、こんなものですかね」
「嘘」
「すみません、少し家に来てもらえますか?他にもデータが取りたいので」
「ねぇ!今の見た!?」
「見ましたが?」
と、平野さんが興奮している。そんなに変化球が投げれて嬉しいのだろうか?そして私の話を聞いてくれませんかね?
「凄くない?初めての投げる変化球が、あんなに変化するって凄くない!?」
「それはそうでしょう、変化しやすい握り方をしたんですから」
「どこで教えてもらったの?この変な握り方」
「失礼な!この握り方は、私が寝ずに15時間考え続けた。握り方なんですよ!」
「本当!?大輝って凄いね!」
「いや~、誉められると嬉しいですね」
あれ?いつの間にか下の名前で呼ばれてる。同級生の人に名前を呼ばれたのは初めてですね。
「でも投げすぎるのはダメですよ。肘を壊しますから」
「それくらい、私にもわかるわよ」
「それでは、一度私の家に来てください。壊れにくい身体を作ります」
「壊れにくい身体?」
「はい、そうです。これから毎日私の実験に付き合ってもらいますよ。フフフフ!」
楽しみすぎて笑いが止まりません。
「ま、毎日!?」
「さあ!行きますよ。平野さん!」
「えっ!?キャアアアア!!」