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The cheap ring

「それにしてもアーロン、ほんとあなたは見かけによらず努力家ね。さっきジムでボディ見てびっくりしちゃったわ」


とラルフ。


「見かけによらずはないだろ? ひどいなぁ。でも筋トレは楽しいよ」


「でもなんで急に肉体改造とか始めたわけ?」


とたずねたエヴァンに得意の不敵な笑いを浮かべながらアーロンは答えた。


「そりゃあラルフみたいなボディになってエヴァンに惚れさせるため、とでも言って欲しかった?」


LDF戦士のふたりは再び臨戦態勢に入った。アーロンの次のことばによっては玉砕覚悟の聖戦にその身を捧げる事態になるかもしれない。


「非常にシャイでプライドも高い僕がこんなことを言うのはお酒の勢いと久しぶりのナットーのパワーのせいかもしれないから、まあ適当に聞き流して欲しいんだけど」


と言いながらバネッサに向けた目は、口で言うほど適当ではなかった。


「僕はこれからロースクールに入ってラルフみたいな法律家を目指すつもりだ。一人前になるには何年かかるかわからない。でも、キミとはずっとつき合っていきたいと願っている。ずいぶん待たせることになるかもしれない、だけど……いつかその日が来た時、今の僕の貧弱な体じゃキミをお姫様抱っこしてあげることもできないじゃないか」


そう言いながらアーロンはポケットから小さな箱を取り出してバネッサに渡した。


「今夜、ラルフとエヴァンに立会人になってもらってキミにどうしても言いたいことがある」


そこでアーロンはふうっと息を整えて。


「Will you marry me? Vanessa」


「もちろんオーケイよ! 100年だって待つわ! アーロン、愛してる!」


泣きながらバネッサは黒豹の勢いでアーロンに抱きついた。


「今はこんなチープなリングしか買えなかったけど」


バネッサの指にリングをはめながらアーロンは言った。


「キミと出会えてよかったよ、愛してる。でももしかしたら当分はロックスターのひもみたいな生活になっちゃうかもしれないけどね」


そう言いながらアーロンは強くバネッサを抱きしめてキスをした。


アーロンのサプライズなプロポーズによって今夜、LDFはみごとに玉砕した。


「よかったわ、おめでとうバネッサ」


ラルフは今にも泣きそうだった。


「やったな、アーロン」


と少し筋肉が割れてきたアーロンの腹にパンチを食らわせたエヴァンの目もうるんでいた。


が、次の瞬間『ラルフに指輪なんて渡してなかった……』と気づき大いに焦ったのだった。


「それで、DELUGEのコンサートツアーが始まる前にバネッサ、キミの家族にもちゃんと会っておきたいんだ。婚約を認めてもらうために」


「うれしい! アーロン。じゃあ近々、4人のスケジュールが合いそうな日にジョージアに帰省しない? ラルフ、あなたも長いこと帰ってないんでしょ?」


さっきまでアーロンとバネッサの幸せなシーンに盛り上がっていたラルフとエヴァンの顔が急に曇った。


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