消えてしまった、君の…
自室にある、小さな窓から差す朝日を浴びて、僕は目を覚ました。
そして昨晩みた夢を不思議に思う。
初めて好きになって、初めて付き合ったあの人との夢。
だけど、今はもう隣にはいない。
別に死んだわけではない。
単純に別れたのだ。
僕は激しく後悔している。
あんな別れ方を。
だから昨晩の夢に出てきただけで、嬉しかった。
学校であっても話すらできなかったのだから。
ただ、すべては夢の中の出来事。
いずれは現実に引き戻される。
だから、僕は必死で思いだそうとする。
僕が大好きだった、初めて心の底から好きになれた彼女を。
けど、思い出せない。
僕が心から愛した、あの笑顔を。
思い出そうとしても、思い出せない。
どうしても思いだせない。
そう、彼女は現実だけでなく
僕の記憶の中からも
消えてしまった。
それでも、僕はその日みる夢を楽しみにする。
忘れてしまった、彼女の笑顔を探そうとして。