プロローグ
ボロボロの服、その服は俺の物ではなくさっき殺した研究員から奪った物だ。既に炎に包まれている研究所……俺の記憶は既に消されて一つしか覚えていない。
「…………俺の記憶を……取り戻してやる! 」
研究所から奪った書物には俺の名前と思われる、蒼真 凜道と書いており、ずらりと説明がされていた。
そこには、俺の記憶が封じられ、ばらまかれたと書いてあった。
そして、一番上の行に一つ目の目的地が書いてあった。
「…………ジェストラード魔武学園……」
その名を読んだ時、脳裏に電気のようなものが走った。酷い頭痛に襲われ膝をついてしまう。
そこで気づいた。目の前で銀髪で腰まで伸びていて赤いヘアピンを二個している少女が倒れている。だが、そいつはさっき俺が抜け出した研究所の服をしている。
あいつ……研究員か…………
意識がないのか死んでいるのかわからないが全く動かない。
最初は殺そうと思った。こいつらは多分俺の敵だ、生かしておけば俺が殺られる。
だが、俺の本能がそれをさせず少女を助けた。
「おい、起きろ、生きているか? 」
「…………んっ」
声をかけてやっと目が覚めたらしい、死んでいなかったようだ。
少女の黒い瞳がこっちを向いた。
確かこれがあいつとの出会いだった。