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 太陽は今日も変わらず、日陰の少ないこの荒野にも、容赦なく光を浴びせている。不意に、疎らに散る雲の一部が、サヤカとチハルから太陽光を取り除いた。

「ありがとう」

 少年の格好をしたサヤカは、座ったまま振り返り、背後で体育座りをして顔を伏せているチハルに小声で礼を言った。涙声になっているのがばれてしまうので、大きな声では言えなかった。

 チハルには悪いけど、十分くらい待っていてもらわないと……。泣きながらサヤカはそう思った。

 いつの間にか空は橙色に染まり、気付けば太陽は沈みかけていた。

 ここからヒジリ達の野営地は、そう離れていないが、蟻地獄のようなクレーターが点在するこの荒野で、子供が懐中電灯も持たずに暗闇の中を歩き回るのは自殺行為だ。

 サヤカ、そろそろ帰ってきなさい……。

 夕方は、家に帰らないといけない時間。両親が生きていた時と変わらず、この時間になるとサヤカは切なくなる。

 ましてや、今日のように嬉しくて沢山涙を流した日は、振り子の動きが一層激しい。

 しかし、いつまでもじっとして地面を涙で濡らしている訳にもいかない。

 サヤカは小声を出して、涙声でないことを確認すると、チハルの肩を正面から優しく叩く。

「そろそろ帰ろう」

 チハルは顔をあげて、サヤカの格好を目にした瞬間、柔和な笑みを浮かべて頷いた。

 六月の晴れた夕空に別れを告げ、男装した少女と女装した少年は、手を繋いで帰路につく。

 一ヶ月前から大してこの時間の気温は変わっていなかったが、サヤカには、いつもより夕方が暖かく感じられた。

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