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エピローグ


 【冬】と探した雪帽子。寒さは木々を解放し、新たな季節を迎える用意。


 冬眠していた寝坊助の【ヤマネ】。木の実をどこに埋めたのだっけと、うっかり【リス】と祭りの準備。


 桜の舞台で音楽会。【テントウムシ】が奏でる音で、【ウグイス】【メジロ】の歌声響く。


 【ミツバチ】の国の隣には、【モンキチョウ】達が暮らす【チョウ】の国。【アゲハチョウ】と小さな命を、【カラスアゲハ】が守る国。


 四人のきょうだい、渡るバトン。吹き抜ける風が野山を起こす。繋がる新たな旅路の記録に、長女の【春】はにこりと笑んだ。



「素晴らしい」

 数え切れない花が並ぶ花屋。そのカウンターに陣取った彼が愛でるのは、咲いたばかりの五つの鉢植え。タンポポ、アネモネ、マーガレット、チューリップ、そして桜。

 ……いや、五つだけではなく。

「ね、また増えたよ」

 頬杖をついてクスクスと肩を揺らす。蜂蜜色の優しい眼差しは、いくつかの別の鉢に注がれた。そこに植えられたものは、どれも未だ蕾のまま。

「ソルはいっつもお別れが下手なんだわ! だからこうやって戻って来ちゃう」

「いいじゃないか。ルナだって寂しかったろう?」

 男の肩に座った小さな少女が、腕組みをしてそっぽを向いた。その様子に更に楽しげに笑った彼は、頬杖をついていない側の腕をおもむろに伸ばし、人差し指を立てる。

「ごらん、君のおかげでこの花は咲いた」

 言葉は少女に向けられたものではない。少女の方も男の指先を見て、穏やかに表情を崩した。

「新しい蕾は、あなたの物語が誰かを楽しませた証」

「君が辿ってきた旅は、少なくとも僕達を喜ばせたよ」


 ひらり、ひらり。男の指先にとまる【モンシロチョウ】。

 不思議な街の不思議な花屋、店主の名前は【太陽】と【月】。

「お帰り、ピエリス」

 笑顔の花咲く、この世界のどこかに。


【雲の後ろに太陽】、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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