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新しい職場は異世界でした  作者: しょうわな人


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第二話 マーケター、就活する


 クビになった翌日。僕は舞衣が好きだった僕の作る料理で朝昼晩と持て成したよ。

 それによってかなりご機嫌な舞衣が一日中笑って過ごしてくれたのは嬉しかったね。


「兄さん、明日は私もついていこうか?」


「何を言ってるの舞衣? 僕は子供じゃないんだから大丈夫だよ。それよりも志望校に受かるようにちゃんと勉強しておくんだよ」


 いきなりついていこうか宣言されて僕はそこまで信用されてないのかとショックだったけど、兄らしくちゃんとお断りしておいた。


「…… 変な企業に騙されないようにね、兄さん」


「ハハハ、大丈夫だよ、舞衣」


 舞衣にそうやって心配されるのも後わずかな時間になるね。大学に進学したら一人暮らしを始めるだろうからね。そう思うと少しお兄ちゃんは寂しくもあるけれども、誇れる兄でいられるようにちゃんと就活してくるからね。


 僕はリクルートスーツを着て気合を入れて市民会館へと向かった。


 元の会社と同じぐらいの規模の大企業も三社きているよ。これは給与水準を下げずにすむチャンスだ。

 僕は意気揚々と会場に入ったんだ。


 そして、元の会社と同種で同じレベルの企業に向かって歩き出す。

 僕はその企業の説明を聞いて面接を受ける事にしたんだけど……


 僕の名前を確認した担当者の人が言い難そうに


「申し訳ありません春夏冬あきないさん、わが社では中途採用でマーケターの方は雇わない方針なんです。新人の方を一から教育して育てていく方針を取っておりまして。今回はご縁が無かったという事でよろしくお願いします」


 そう言ってきたんだ。そうかぁ…… 新人さんを採用する方針なら仕方が無いよね。


「そうですか、御社で僕の力を試して欲しかったのですが、そういう方針なら仕方がありませんね。分かりました、またご縁がございましたらよろしくお願いします」


 僕もこう返してその企業のブースを後にしたんだ。まだ二社あるしね。そして直ぐにもう一社のブースに行き話をして面接を受けたんだけど……


 その会社でも


「春夏冬さん、申し訳ありません。今回はご縁が無かったという事で……」


 そう言われてしまい、残るもう一社でも同様の言葉を言われてしまった……


 どうなってるの? あれ? 僕って本当は役立たずなのかな? 落胆しながらもマーケターを募集してる他の企業にもアタックしてみた。給与水準は少し落ちるけどここならと思った企業にもお断りされてしまい、最後の一社になってしまいここで雇われなかったら舞衣になんて言えばいいんだろうと考えながら説明をよく聞かずに面接を受ける事に。


「春夏冬正司さん、二十五歳ですね。私は面接担当のリナ、いえスズシロと申します。本日は当社に興味を持っていただき有難うございます。それで、これまでの春夏冬さんの実績をご自身のお言葉で私に教えて下さいますか」


 面接に入っても直ぐにお断りされるだろうって思っていたけど最後のこの企業はちゃんと面接をしてくれるみたいだ。 

 僕は気持ちを切り替えて元の会社で僕がやって来たマーケティングについて担当者の鈴白(?)さんに説明をした。


「なるほど、なるほど、春夏冬さんはここでこのような分析をされたんですね。その根拠となったのがここで調査された購買者の気持ちだったと…… フンフン、本当に勉強になります!」


 鈴白(?)さんってとっても聞き上手! 僕の話を聞いた上で疑問に思った事を確認してくるんだけど、一つ一つ説明をしても嫌な顔なんてしないし、しかもそのお綺麗なお顔が僕のようなブサメンに近づくのもいとわずに真剣に話を聞いてくれるんだ!


 もう、惚れてまうやろーっ! って感じだよ。気がつけばこのブースにいた鈴白(?)さん以外の人は居なくなってて、会場も何故か僕と鈴白(?)さんの二人しか居らず、職員さんに閉館時間ですよと言われてしまった……


「アハハハ、すみません春夏冬さん。つい私も夢中になってしまって! それで、どうでしょうか? わが社に再就職していただけないでしょうか?」


 市民会館を出てから面接がまだ終わってないという事でそのままファミレスまでやって来て遅めのランチを食べ、食後のコーヒーを飲んでる時にそう聞かれたんだけど。

 確かに元の会社に比べて給与水準は少し下がるけれども、こんなに真剣に話を聞いてくれる人がいる会社ならと僕は考えていたんだ。


「はい! 僕でよろしいなら是非ともお願い致します」


 僕の返事を聞いて鈴白(?)さんもニッコリと笑って、


「良かったです。私どもの会社は春夏冬さんのような優秀なマーケターの方を必要としておりましたので。来ていただけると聞いて私もホッとしました。それでは、いつ頃から来ていただけますか? あ、ハローワークを通された方が再就職手当をもらえますからそうしましょうね。それでは…… 五日後の週明けの月曜日からでよろしいでしょうか?」


「はい、大丈夫です!」


 凄い、再就職手当の事まで考えてくれてるなんて。なんて親切な会社だろう。良し、僕はやるぞ!


「有難うございます。それでは来週月曜日の午前八時にこの住所まで来て下さい。遅刻厳禁ですよ」


 自慢じゃないけど僕は生まれてから遅刻した事が無いんだ。なんたって産まれまで早めだったからね。出産予定日の一日前に産まれたんだから。

 幼稚園、小中学校、高校、大学、会社、全てを遅くても十分前には到着していたからね。


「はい、遅刻はしませんので大丈夫です! よろしくお願いします!」


 僕の返事にまたニッコリと微笑んでくれた鈴白(?)さん。そう言えば最後までスズシロってどういう漢字を書くのか聞きそびれてしまった。来週の月曜日にはちやんと聞こうと思う。

 幾ら僕の脳内の事だと言えど、いつまでも【鈴白(?)】さんっていうのは失礼だからね。


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