1浄化【無自覚疲労】
初めての投稿になります!
温かく見守っていただけると幸いです!
このお話はとある神様に仕える眷属のお狐様の物語りです。
登場人物
真白→社務所に在中の狐の眷属様神社に呼ばれた人々の浄化を助けるお役目をしています。
※今回訪れる女性は長年病気で寝たきりになってしまった兄弟を介護しながら生活している女性のお話。
昼下がりの社務所。御神木の枝葉が柔らかい影を落とし、窓際の花や小さな観葉植物がそよぐ。光の粒がゆらりと舞い、空気は静かで神聖だった。
「そろそろ神社に行きたいな」
女性は、ふと思っただけでよく行く神社に足を向けた。
不思議なことに本人も気づいてない疲労や邪気が溜まると、自然とこの場所に呼び寄せられていた。
それは神様や眷属様に見守られているから。
なぜかって??
彼女はこの神社に定期的に参拝しておりその信仰心の高さゆえだ。
ここでは人の姿をしている真白とも世間話をするくらいの関係だ。
真白様は神様の眷属のお狐様でここを訪れる人の子達を見守って居る。
社務所の扉を開けると、真白が静かに立ち上がる。中性的で美しい姿は、木造の社務所に柔らかく溶け込み、御神木の神聖さをさらに引き立てていた。
「こんにちは」
女性はにこりと笑いながら挨拶を交わす。
「こんにちは」
真白も穏やかに返す。互いに軽く微笑み合い、いつもの親しみある空気が広がる。
この人の子は…兄弟が寝たきりだ。
神様がこの兄弟に課した試練は重すぎると判断され、この女性が最後まで支えるために、兄弟として生まれてきたのだ。
そしてその役割を、身体も精神も強く、穏やかな人柄で果たせる子として。
真白はいつものように声をかけた。
「こんにちは、今日はとてもいい天気ですね」
「ほんとですね!こんなに晴れた日は神社日和だっ!と思って気づいたら来てました!」
にこっと笑い、人懐っこい笑顔を浮かべながら答える人の子に真白まで自然と顔が綻んでしまう。
この子は定期的にこの神社に参拝にやってくる。
なので真白とも軽く世間話を交わしたりする。
人の子は少し笑いながら話す。
「昨日、兄弟に言われちゃってね」
「『俺は頼んでない!勝手にやってるんだから、やるなら黙ってやれ』って。確かにそうなんですよ!頼まれて無いんですよ!私がほっとけなくてやってる事だから!
ホントはその態度も注意しなきゃいけないんでしょうけども、きっと自分の感情を素直にぶつけられるのが私なんでしょうね。そう思ったら出来なくて。
それに、1人くらいは全力で感情ぶつけられる存在がいてもいいと思うんですよ!でもね小言くらい言っちゃいますよね!心配だもの!」
真白は静かに頷く。話の内容は重くも、この子の穏やかさや優しさを際立たせるもので、少しの会話の時間が心地よい時間となった。
サポート役として生まれた人の子はメンタルや心身が
とても丈夫に生まれてくる。サポート役としての人生を送るために加護が備わっているからだ。
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女性はサポート役として生まれ、元々神様の加護を受けているため、日常の邪気くらいなら自然に浄化される。
しかし体調が優れない時や、自分でも気づかないほどの疲労が積み重なると、神様は浄化の助けのため、神気を補充させるべく自然とこの神社へと呼び寄せているのだった。
そのお手伝いこそ真白の日常の役割である。
光の粒が舞い、御神木の葉がそよぐ。真白はその周囲に静かに力を注ぐ。
すると女性の内側から、元々持っていた浄化の光がふわりと増していく。
兄弟から貰い受けた邪気も、真白の力によってより強く白い光へと変わり、静かに浄化されていく。
御神木の影と光の粒が柔らかく混ざり合い、社務所の空気は深く清められた。
女性は社務所を出て、境内の御神木の前へと歩み寄る。手を合わせ、深呼吸しながら静かに祈る姿を、真白は少し離れた場所から見守る。光の粒が彼女を優しく包み、御神木の影が長く伸びる中、無意識の疲れが浄化されていく。
祈りを終え、女性は社務所に戻り、御守りを手に取る。真白はそっと手渡しながら、微かな光を込める。
女性は御守りを握りしめ、笑顔を浮かべる。
「いつもありがとうございます!」
その言葉と笑顔とともに、疲れが軽くなったように元気に帰っていく。
真白も、思わず微笑む。
扉の向こうに消えたあと、社務所には光の粒がまだ舞い、御神木が揺れ、静かな神聖な空気が残った。
真白は静かに思う――
あの子と兄弟が悔いなく健やかに生涯を歩める事を
神様が課した試練を支えるために生まれた者を、今日も見守り、現世で浄化の力を届ける役目を果たしているのだ。




