表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

さっさと独り、野垂れ死ね

作者: 芥見 塵


その日、私は会社を辞めた。理由を色々考えてみるが、要は疲れたのだ。

こうは成りたくないと思っていた人間にいつの間にか成っていた。

被害者面で、他人が悪いと考えて自身には一切の責任が無いと思い込み、くだらない自尊心と自己憐愍で職場を掻き回していた。気づいた頃には、周りから信用を無くし、居場所は無かった。自分で気づかぬ当たり我ながら末期だと思う。私は幼稚な人間だ。

会社を辞めた翌日、私は独り宴会を開いた。朝から酒盛りだ。最寄りのコンビニで酒を買い込み、お菓子や肴を買い込んで辞めた事を正当化しようと躍起になってPCに向かい、好きな動画を見ながら酒を煽った。相変わらず罪悪感すらも感じていない自分がいた。そんな日が数週間続いた。最近は、起きる時間にも無頓着で昼過ぎなって起きることも多くなった。普通なら職を持っていないことに焦燥感の一つもあっていいはずが危機感を感じずこれでいいとさえ思っている。愈々、愚かな人間だ。

 金が無くなってきた。全く働かず、日々自堕落な生活をし、無駄に時間を浪費していれば当然の如くお金は減って行く。そんなことにも気が回らなかったのだ。ここでバイトをすることにした。近くのコンビニでバイトを始めたが上手く行かない。毎日、叱責される日々だ。自尊心の塊が耐えられる訳もなく、バイトが終わる度にアパートで鬱憤を晴らすように酒を浴びるように飲んだ。当然、バイトにも影響が出始めるのに時間はかからなかった。遅刻や無断欠勤が増え、クビになった。

クビになった日、私は物に当たり散らした。散々当たり散らした後、疲れたので直ぐに床に入った。僅かな貯金を切り崩し、酒盛りを開いた。バカも此処まで極まれりだ。

やっと、就活する決意をした私だが、これも上手くいかない。主軸が「楽で」、「大金が入って」、「休みが多い」だ。面接に行くにも貴社への貢献を演説するのではなく、自身は如何に優れた人間か、他人を貶すことに必死になった口演が受け入れられる訳がなく反感を買って落選することを繰り返した。それでも自分の非を認めないため、悪循環が継続することになる。救いようのない人間だ。

金が愈々底を尽き掛けた頃、私は薬に溺れていた。違法薬物ではないのでこれだけは安心して欲しい。市販薬を規定値の倍を飲んでいた。所謂、ODという奴だ。この頃から、自殺を考えてOD、自傷を繰り返していた。相変わらず自身には非が無いと考えながら。 

ODと自傷のせいか、最近はフラフラすることが多くなった。どうして、周りは判ってくれないのか。理解して貰えないことに勝手に憤りを感じていた。理解してくれない世の中が悪い。等々、世間一般が悪いと考えるようになった。死にたい気持ちが一段と強くなった。最後に旨いものが食べたいとコンビニで好きなものと酒を買った。

好きなものを食べ、酒を飲み気持ちが楽になった。そして、台所に向かって包丁を取り出した。徐に私は自分の首元に切先を持って行き、それを首に押し当て「えい」と私は包丁を引いた。その先、私は意識を失った。全く嫌な人生だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ