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ドラムが好きな彼は
彼の時間は僕のよりずっと早い。
僕が唾を飲む間に意識は別のもに移ってしまう。
互いに目を見て話してあっても頭の中では違うことを考えている。
そうは不幸だけれども、それでも別に嫌いじゃない
時間だけではなく、話したい内容もずっと違う。
僕が掘り下げたいところに力を入れると、言葉はふっと固いものにあたって、お互いの間の僅か30cmの間に霧散する。
一方彼が話したいことは、僕が追い付く前に遥か彼方に行く。
それでも彼が気になる。
ほら、だって僕らは友達だろう。