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『日の出』

作者: 下山羊店

三角屋根はご飯を食べている。暖かいご飯ではあるのだが、「暖かい家族とご飯を食べるのだ!」と頭の真ん中に貼り付けている。真っ黒な太い習字で、真っ白な半紙に、特別文字が分かりやすいように。習字の説明である。違う風にも言える。漫画のギザギザの吹き出しと、大量のビックリマーク。とにかく、バンッと貼り付けている。


目は遠く、そこにはいないまま、暖かいご飯を、冷たいものかのように、最早食べていないかのように食べている。


しかし、僕等アリンコから見ても、三角屋根は平和の象徴であるのだ。この世界の。例えばその日のご飯の後も、テレビの中の、白いブリーフ一丁のおじさん達と一緒になるように、ガバガバと僕等の巣を揺らす程爆笑していた。


そして昨日なんて、丸い女の子とベッドの上を転げ回っていた。その前は携帯電話を片手にバタバタと、幸せそうに物を避けたり、置いたりしていた。その後は、二人とも幸せそうに互いの手を触れ合っていた。


僕は、この報告書を長官に渡したら、その日の夜、太陽が完全に裏に回ってるうちにこの巣を出ようと思っている。表向きは自分の意思という、「だから、それがなんなのかを知りたいんだよ」と言われても仕方がないような理由を、でもそれでも許されてしまう悲しい事実を掲げ、裏向きは、不幸になりたいという理由を、そのまた裏向きは食べ物に飽きたという理由で。


「どっちにしろだね。まぁ不幸になってくるよ。」大切な君にはそうやって告げた。

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