魔法訓練
7)魔法訓練
翌朝からはミツの魔法指南が始まった。やっていることは基礎中の基礎。系統魔法だ。
この世界一般に伝わる魔法は二種。属性魔法と系統魔法だ。
俺はそこら辺を混同して考えていたようだ。いきなり、ミツから指摘された。
悲しいかな、これがバカのバカたる由縁なのか…。
そもそも、魔法を使うためには素質が要る。これは俺でも知っている知識だ。
使えるか使えないかの二択。使える者は7属性7系統の中から自分の資質に合った魔法を修め、ようやく、その魔法の力を発揮出来るようになる。
大概の者は、一つの属性魔法しか使えない。系統魔法だって、一つ二つと言ったとこだ。
それも、生まれた土地や個人の性格にも影響されるらしい。
六系統六曜の才能とは…。俺は素質に恵まれている。
フフフ、自分の才能が怖いぜ。
因みに、その才能は親から子へ継承されることもあれば、自らその才能を開花させる者もいるとか…。
俺と市、それにミツの場合は後者だ。
と、まあ。全部ミツの受け売りだ。
「なあ、ミツ。そろそろ休憩しないか?」
「そうだな。そうしよう」
気がつけば、既に昼。飯時だ。
持って来てくれたのは市…。だったら良かったのに、フツーのおばちゃんだ。
飯を持って来たら、さっさと行ってしまった。俺って人望ないのね?
って、そんなこと、どうでもいい。
ミツの指南は厳しい。超厳しいが教え方が上手い。自惚れじゃなく、ホントにメキメキと上達しているのがわかるのだ。
系統の使い方一つでこうも変わるのかと驚く。単純だが、使い方と使いこなすは違う。
攻撃系統、防御系統、霊能系統、支援系統、流動系統、結界系統。俺が使える系統それぞれを使い分けて操るとなるとホント難しい。
何で、治癒系統だけが使えないのか分からないが…。
まあ、何にせよ。攻撃系統さえ使えれば俺は何でも構わない。攻撃こそ最大の防御なりってな。
「結構、様になってきたよ。攻撃系統は大丈夫そうだね。ノブ」
「ああ。ミツのお陰で完璧だな。でも、他の系統はまだまだだな。イメージが難しい。支援系統は思ったより応用の幅が広いな…。支援系統って他の系統にもつかえるんだよな?」
支援系統は、肉体能力の向上として使うのは基本。属性と合わせることで向上する能力もまた違ったものになる。
俺の場合、6属性を操れるから6種類の能力が向上する。簡単に言うなら、筋力や持久力、跳躍とかだな。
フツーにアスリート並みの運動能力が得られる。素手で岩を砕く人間もいるというし、魔法はホント、何でもありだな。
「そうだね。攻撃系統の強化、防御系統の強化と使えるけど、戦場だと滅多に使われることはないよ。一人に対して使うには無駄が多いんだ。乱戦になる戦場で、人に合わせて使い分けるなんて不可能だし。でも、ノブなら大丈夫。ノブだけなら、だけどね。一応言っとくけど、人前ではあんまり使わないでくれよ」
「分かってるって!!」
「本当かな…。じゃ、休憩終わったら次は防御系統と結界系統も基本からやってみようか」
基本はもう良い。基本は。
俺は実践派、体で覚えるタイプだ。
とは言え──。
「先は長そうだ。覚えること多過ぎじゃね?」
「それはノブが今までサボっていたせいだろ」
「前世思い出すまでは、ホントうつけって呼ばれても仕方ない生き方してたからな。城の中に居るのも嫌だったしな」
「そう言や、そうだったな」
納得するミツ。それはそれでちょっと悲しい。
俺だって、嫡男としての自覚はあるが、親父の稽古についていけなかったのだ。
獅子は子供を千尋の谷に落とすと言うが、地獄に落とすの間違いだろ。
親父のつける稽古は凄惨過ぎる!!グレたって当たり前!!
ゆとりプリーズ!!
「ノブの場合、歴史的な作用も働いているのかもな…。ここ、異世界だけど」
「そうなんじゃね? 歴史上でもバカな人間だと云われていたからな。織田信長って、って、異世界!? 何言ってんだよ、ミツ!!」
「もしかして、ノブ…。この世界が異世界であることに気づいてなかったのか?」
「おい!!ミツ、頭大丈夫か!?」
可哀想な人を見る目を向ける。
何をまさかな。生まれ変わりって言ったら生まれ変わりじゃん? 異世界って意味わけわかんね。ホント、何言ってんだよ。
だが、ミツは真剣そのもの。え、ホントに異世界?
「やっぱり気づいてなかったんだな、ノブ…。そもそも、戦国時代に魔法が有ることがおかしいだろ。現代にない物が、過去の時代にあるはずがない。大体、歴史にそんな記述がない以上────」
「いや、でも、ホラ。…それは魔法を使える人間が居なくなったから、とか。魔法なんて便利な力、使えるって知ったら使えない奴らから妬まれて当然的な理由あるじゃん。やっぱ、それって憎まれるだろ?だから、内緒にしておこうって、国家機密になったとか?」
「もっと常識的に考えてくれよ。ちょっと、この世界に染まり過ぎだよ。ノブは」
常識的とか…。
ミツに言われると納得せざるをえないな。確かに魔法おかしい。生まれ変わりって現実に、魔法もあり的な考え方を受け入れてしまったと言うことか…。
俺ってチョロい奴だな…。
「ま、ぁ、いいじゃん。過ぎたことだ。ここがどこでも俺は俺。それより、次の特訓しようぜ」
「軽いな、ノブ…。まあ、ノブが良いなら僕も良いんだけども」
「じゃ、続き続き」
自分でも分かるほどノリは軽い。
漫画やアニメなら重いテーマになるんだろうが、むしろ異世界に生まれ変わって良かったとさえ思うぞ。
前世にはなかった魔法だ。その魔法に浮かれないわけないだろ。
「本当にノブは楽しそうだね。じゃ、さっきも言ったけど防御系統と結界系統。この2つは重要だよ。使えなくても知っておいて損はない。ノブは使えるから問題ないけど、使えない人でも対策は必ず用意されているからね。対策の対策が必要だよ」
「なんか、小難しいな。つまり、防御も結界も単体では使えないってことだろ? 守ってばかりじゃ敵は倒せないからな」
それでも、使い道は多そうだ。
防御系統は盾であり鎧の魔法。結界系統はフィールド変更。指定空間の属性を変える魔法だ。
防御系統に関して言えば、防御系統は有能だと思う。対魔法として使えるし、刀で斬りつけられても防ぐことができる。
その中でも地属性と風属性の防御系統は、結構使える。地属性は物理的攻撃にはほぼ万能だと言えるし、風属性は間接的攻撃に効果が高い。
魔法攻撃に対しては、各属性で対応して防御と考えれば、俺は確実にあらゆる攻撃から身を守ることができるのだ。
うひょ。やっぱ、俺サイキョーじゃん!!
「防御系統魔法の対策は、対属性効果なのは分かってるよね、ノブ?」
「ああ、モチロンだ!!こう見えて、ゲームは一齧りしてたからな。属性は基本だろ」
「なら大丈夫そうだね。説明、要る?」
「うーん、イチオ。聴いておいた方がいいかもな。ゲームによっては対属性違ったりするしな」
ある程度、規則性はあるが全く違ったりするのもある。ゲームでならともかく、俺の思い込みでイタい目には会いたくない。
「じゃ、基本属性から。基本属性は5つで、火水風地木。上位属性は天と月の2つだ。火は水に弱く、風と相性が良い。水は風に弱く、地と相性が良い。風は地に弱く、木と相性が良い。地は木に弱く、火と相性が良い。木は火に弱く、水と相性が良い。簡単だろ?」
「ナール。字に書くと一目瞭然だな。じゃあ、この上位属性ってのは?」
「上位属性は万能。基本属性と相性が良いし、対属性にもなる。天と月同士も相性が良いけど、両方とも持ったという話は聞いたことがない。恐らく、上位属性は両方とも持つことは出来ないようになってるんだと思う」
俺に月属性が無いのは、天属性があるからか。どちらか一方しか持てないなら、それは仕方ない。天と月、どちらも上位属性で万能なら片方だけでも十分だ。
「なら、天属性の防御系統は、どの属性にも抵抗できるってことだな」
「まあね。でも、月属性には気をつけてくれよ」
「月曜の力か…。じゃあ、市には要注意か」
俺の知っている月属性といえば市。つまり、妹だ。
身近なだけに怒らせると俺もヤバいか。だが、怒った市も可愛いかも。
期待に胸膨らむ。ゾクゾクしそう。
一か八かの賭けだけど、親父に似ているのが市だ。やっぱり、怒らせないようにしよっと。
「まさか、ノブ。ノブは、お市の方様を怒らせたことがあるのか!?」
「それこそ、まさかだ。市が怒ったとこを見たことないよ。いつも、この程度怒ることでもありませんって笑って許してくれるからな。俺の妹は心が広いっつーか、マジで器がデカいよな」
今生の14年を思い出してもマジギレした市を見た記憶がない。だからその分、怒った時の反動が怖そうなのだ。
「そ、そうか。ノブは知らないのか」
「何だよ。市に何かあるのか?」
「お市の方様を怒らせるな。これは、僕がこの城で仕えるようになって最初に言われたことだ。お市の方様は昔一度だけお怒りになったことがあるらしい…。ノブがやったのかと」
「ひでっ!?何もかんも人のせいにするなよ。心当たりが多過ぎて不安になるだろ」
「やっぱり、心当たりあるのか。気をつけてくれよ、本当に」
しかし、あの市がなぁ。
ホントかな?
俺にはどうも信じられないんだよな。本人に聞いてもいいけど、やぶ蛇はイヤだ。
心の内に仕舞っておこう。と、次は結界系統だ。
これでチュートリアルも中盤だ。早く終わらせて実戦で使いたい!!
ミツの指南は分かり易いし楽しいけど、説明が長いのが玉にきずだな。
「市のことより、次やろうぜ。次!!次は、結界系統だろ?」
「そうしたいのは山々だけどさ。もう日も暮れてきたし、明日にしよう」
「何だよ。こんなの序の口だろ? せっかく、道場に照明付けたんだしさ。もっとやろうぜ?」
前の道場にはなかった照明を取り付けたのだ。家電じゃない方。魔法な照明をだ。どうも、機械の再現は魔法では無理っぽい。特に電気を使うもの無理。
うーん…。
ミツの言う通り魔法にも理屈があるようだ。
ただ、親父はこれをずいぶん気に入ったらしい。
なんなら、城にも付けてやれば俺のこと見直すんじゃね?
お小遣いアップとは言わないが、俺への態度は改めてくれるかも。
「こんな遅くまで修練に励んでいたのか、信長。珍しいな」
「ゲッ!!親父!!」
噂をすればかよ。マジびっくりこいた。
こんな時間に来るなんて、夜でも明るく灯る照明がそんなに気にいったのか!?
「ゲとは何だ。ゲとは。信長、どうやら修練が足りんらしいな。今日は儂が自ら稽古をつけてやろう」
「いや、もう今日は遅いし部屋に戻るから。親父の邪魔すんのもアレだしな」
「遠慮するな。さっきはもっと稽古したいと言っていたではないか」
いつから居たんだ!?
城主として毎日忙しいとか言ってたくせにホントは暇なのかよ!!
すでにやる気満々マンだ。
これはもう逃げれないな。だが、ミツのお陰で親父に後れをとるような俺ではない、…はず。
「なら、遠慮はしないぞ。泣いて後悔させてやるからな、親父!!」
気がつけば、本当に真っ暗。夜になっていた。
気がつけば、というのは時間を忘れてということではない。今まで意識を失っていたのだ。
親父との稽古。確かに最初は良かった。
あれは完全に勝ったと思った。俺は本気だったし、親父の魔法は俺に通じない。防御系統の魔法で防げる上に、こちらは親父の防御を貫ける。
なのに終わってみたら、この有様。一撃すら決められず気を失っていた。
あれでは親父は本気を出してた気がしない。やっぱ、実戦経験の差だな。完膚なきまでに負けた。
「起きたのか、ノブ?」
「ミツか…。ざまぁないな」
己の未熟さの恥…。
ヤッベ。情けなくて泣きそうだ。
ま、ミツの前では我慢しなくて良いから助かるけど…。
「親父、ホントにツエーな」
「当たり前だろ。逆にノブに負けてたら信秀様が泣いていたよ」
「よし!ゼッテェー泣かす。親父泣かせてやるぞ!!」
「なら、明日からも僕が指南するよ。良いよな?」
「う…。おう!!当然だ!!ローマは一日にしてならず。だよな!!」
ヤバい。また地雷踏んだな。断るに断れない。強くはなりたいが、訓練は嫌だ。
「格好いいこと言ったつもりだろうけど、この世界にローマはないよ。と言うか、他に国はない。この世界は日本だけだから」
「え、何それ?ウソだろ?」
これは、ホントに信じて良いのか?
まさか、日本だけ残して他の国が滅んだとか?
「天属性と支援系統で視覚強化。この魔法を使ってみてくれれば直ぐに分かるよ。この世界の大地は一つだって」
「おう。こうかな?」
言われたとおりにやってみる。
目が空を飛ぶ感覚。何これ?コエェな。
「天神の眼、天眼通。俗に言う千里眼ってやつだ。父の得意とした魔法だよ」
「へぇー。そうなのか」
視覚的には空の上。なのにミツの声が聞こえるとは不思議な感覚だ。
空の上、意識すればもっと視点を上げられる。調子にのって宇宙まで。
確かにミツの言った通り、世界にあ陸地は日本だけだった。後は、海が広がるだけで何もない。
ホントにここは異世界だ。
「父は空を見るのが好きな人だった。優しさだけが取り柄のような人だったよ。だからこそ、殺されてしまったのだけどね…。それでも、僕は好きだったよ」
慣れてくるとこれは、なかなか…。
空からの景色に見惚れてしまい、若干上の空。
だけど、そうか。ミツの身の上を聴くのは初めてか。いや、死んだとは聞いていたから初めてでもないのか。
「あ!!ごめん。しんみりさせちゃったね。気にしなくていいから。僕も、千里眼の魔法が使えたらってちょっと思っただけだよ」
「なら、やるよ。って言えたら良いんだけどな…。魔法資質の譲渡はできるって話だけど死後限定。それも100パーセント確実じゃないもんな」
継承と言うか、それって遺産相続じゃね?
しかも、成功例自体ほとんどないらしい。だから、ほぼ無駄死にだ。
「何をバカなことをいってるんだよ、ノブ。ノブがくれるって言っても僕は受け取らないぞ。まず、第一にノブは死なない。殺しても死なないだろ?」
「おいっ!人を化け物みたいに言うな!!」
いつの間にそんな設定が!?俺に対するミツの認識おかしくないか?!
「魔法の資質に恵まれた者。それって魔王って呼ばれるだろ? なら、ノブは魔王であってるだろ」
「それで魔王!?それはそれで間違ってないが、勘弁してくれ。俺はフツーの人間だかんな!!」
「普通?バカの間違いじゃなくて?」
「ミーッツ!!表出ろ!!」
流石にカッチーンと来たよ。ミツの奴、本気だな。本気で俺をおちょくってるんだな!!
「まだ懲りてないのか? ついさっき、信秀様に負けたばかりだろ。それにもう限界だろ?MP切れ」
「は?MP切れ?」
「僕が勝手に言ってるだけなんだけどね。使い過ぎると死ぬよ?」
「な!?マジでか!!」
「ゴメン。嘘だから安心して。でも、かなり疲れるから気をつけてくれよ。ノブが倒れて気を失ったのもそのためなんだから」
何と!?
そうか、一応MP設定はあるんだな。そりゃ、一日使いぱなしだとMP切れにもなるか。
それに親父との稽古でもかなり魔法乱発したからな。切れて当然だ。
「分かった。気をつける。…でも、そのMPってどうやって測るればいいんだ?疲労具合でしか分からないんだろ?」
「自分ではね。別の人から見れば簡単に分かるよ。例えば、ノブはMP切れすると髪の毛が白くなる」
「なぬっ!?ホントに!?」
「他の人は、そうだね…。肌の色が変色して青くなったり黄色くなったり。多分、属性によって変わるんだと思うよ」
なるほど。それがバロメーターになって判断するのか。でも、なんで俺は髪の毛?
髪の毛だと分からないじゃないか。そうか、髪を伸ばせば良いんじゃね。
────。
あー、ないない。似合わないって。やっぱ止めておこっ。
「じゃあ、ミツは? ミツの場合はどんな変化するんだ?」
「僕は変化しないんだ。ノブに隠す必要ないから言っちゃうけど、僕の属性は無属性虚無の力なんだ」
「おおっ!!カッコイいじゃん。無属性!!何だよ、虚無の力って!!」
何気に俺より良いもの持ってんじゃん。無属性なんて聞いたことないけど、やっぱりスゲーんだろうな。
「多分、ノブが思っているのとは違うと思うよ?」
「え、でも無属性ってかなり使えるじゃん。究極魔法って大概が無属性だしさ」
「異世界って言うか、ゲームに染まり過ぎだよ。ノブは…。かく言う僕も始めははしゃいだんだけどね」
はしゃいだと言うわりにミツの表情は暗い。
ミツに限って俺みたいな失敗をしたとは思えないんだけど、もしかしたらということもある。
あまり深く突っこまない方が良い。誰にだって触れられたくないモノはある。
「なあ、ミツの無属性って何ができるんだ?」
「魔法の無効化…」
「マジ?」
「うん。マジ」
信じられないが本当らしい。第一、ウソを吐く必要がない。
じゃあ、ミツって俺よりも強いんじゃね?
「僕の魔法は属性系統関係なしに消し去ってしまう魔法なんだ。勿論、物理攻撃も無効化できる。でも、ぶっちゃけ使えない」
「はあ!?何でだよ。魔法無効化なんて最強チートもいいとこじゃん!!」
属性も効かない系統も関係ない。さらに物理攻撃まで防げてしまう。それのどこが不満なんだよ。
某主人公みたいでカッケーじゃん。
「うん。普通はそう考えるよね。でも、本当に使えない魔法なんだよ」
「せ、説明プリーズ…、ミツ。理解不能だ」
俺がバカだから?
違う、違う。ミツの説明不足だ。
俺はバカじゃない。能ある鷹は爪を隠すのだ。
「そうだね。ちゃんと説明しないと分からないよね。無属性魔法はね、つまり防御魔法なんだよ。簡単に言うとね、魔法を消し去る魔法。それも弱い魔法だけにしか効果がない」
「あ…。そう言うこと…」
仕方ない。うん、それは仕方ない。励ましもしない。きっと逆効果だ。
「そうなんだ。一発一発はその程度。相手の魔法が強ければ半減、さらに強ければ軽減。多分、ノブの魔法にはさらに効果ないと思う」
「なら、一緒に特訓するか?魔法も鍛えれば強くなるんだろ。俺のための稽古も良いけど強くなるなら一緒に強くなろうぜ?」
俺にできることはこの程度。ミツは無属性魔法を秘密にしているみたいだし、俺相手なら気兼ねなく特訓できるだろう。
「戦国乱世。生き延びるためには力は必要…。ノブが良ければ、僕の特訓にも付き合ってくれるかい?」
「当然だ。ここは互いに協力しようぜ」
「ありがとう、ノブ」
自分勝手なのは分かってるが、俺一人で生き延びてもしょうがない。ミツにも生きて俺の側に居てもらう。今、決めた。
何より、死んで初めてできた俺の理解者。親友を失うことになったら俺はまた生きる意味を失う。
ミツには悪いが、俺のわがままに最後まで付き合ってもらうからな。だから、ミツの感謝は勘違い。必要ないのだ。