いつもより雨がちょっと強いなーなんて思ってたら超可愛い子に出会っちゃいました
「おじょうちゃんおいしそうだね、殺しちゃうよ?」
口についた血をぺろりと舐めると、跪き、今度はお前の番だと言わんばかりににこりと笑う。
おじょうちゃんだなんて話し掛けてくるけれど、君だってまだまだお兄さん、とっても若そうじゃない。
「お兄さんみたいな人に殺してもらえるなんて本望! どうぞ?まずはどこからいくの?さぞかし驚くようなところからかしら?」
きょとん。
これ以上に適切な音はないだろうなと思うぐらいきょとんとしている。
「おじょうちゃんは・・・殺されたくないのかい?」
取り繕ったような笑顔でナイフのやり場を探している。
「親も目の前で殺されちゃったし、元々別に生きていたいと思った事もなかったし、どうせなら人生で悲惨な死に方をして悲劇のヒロインになった方が死後幸せだと思わない?」
にこっと笑う。彼女の白いワンピースが真紅なまでの返り血で二割は白さが失われている。
「お、おじょうちゃん、僕の嫁に来ないかい!」
ザアザアと雨が降り注ぎ、血も水と薄まり流れていく。
「お兄さん、一体なんさいなの?」
先に口を開いたのは少女の方で、可愛らしく首を傾げる。
「さあ、数えていないから分からないなあ」
にっこりと笑って答える。
「おじょうちゃんは?」
「さあ、数えていないから分からないわ」
同じようににっこりと笑う。
「そうか、じゃあ僕は今日から一六歳という事にしよう」
立ち上がり、少女の手を引く。
「おじょうちゃんは今日から六歳だ」
「今日がお兄さんと私の誕生日ね」
「いやいや結婚記念日」
「何か言った?」
「何でもありません・・・」
これは、彼が手を引いた時のままになっており、手を繋いでいることに気付き喜び少女に一蹴される五秒前のおはなし。