トロル戦
トロル。トロルって強いイメージがあります。僕の中では棍棒を振り回すアイツのイメージです。
さて、トロルのステータスを見た限りでは、
トロル
レベル30
体力 3000/3000
魔力 100/100
攻撃力 800
防御力 800
素早さ 150
こんな感じだった。
たかがトロルとは言ったが、されどトロル。やはりステータスもレベルもそこそこに高かった。
まあ、だからこそ俺はこいつを実験台にしようと思ったんだが。
物凄い勢いで馬鹿正直に突っ込んでくるトロルを見つめる。フロアにトロルの足音が響くうえに、振動で物凄く揺れる。もう、ガッタガタだ。揺れまくりである。
「いや、流石に揺れ過ぎでは…」
俺は疑問に思い、後ろを振り返ってみると…
俺の腰に抱き付いた謎の転移?少女、リリーが物凄くガタガタしていらっしゃった。
「おまっ、震え過ぎだろ!あんまりくっつくなよ!」
「だだだだ、だっ、だって、トロルですよ!?む、昔、習いましたがっ、え、Aランクの冒険者のパーティが3つ揃って、ようやく倒せるって…。って、前!向いて下さい!前!来てますっ!来てますからぁっ!」
ランク…。なるほど。この世界では冒険者にランクがあるらしい。てことはギルドもあるってことかな?俺はそう思案しながら前を見ると、今まさにトロルが俺たちを踏み潰そうとしているところだった。
「キャアァァァァアアアアア!!!私、美味しくないですよおお!!!」
キンキンとしたリリーの叫び声が洞窟に響き渡る。物凄くうるさい。どこから声出してるんだ。気絶してると可愛いのに。
トロルの足が俺たちに物凄い勢いで迫る。
そして俺は…
片手を上に持ち挙げて、 奴の足を受け止めてやった。
「ふむ、こんなもんか」
俺は少し疑問に思った。
この程度なら、簡単に受け止めれるぞ?ぶっちゃけ、こんなんなら母さんのチョップの方が重い。そして、なんかちょっとベタベタしてるんだが…。汚いな、後で手を洗わなければ…。
「うぅ…。ごめんなさい。お母さん、お父さん。私、死んでしまったようです…。お父さんとお母さんより、早くに死んじゃった…。うぇぇえ」
いや、なんでやねん。彼女は泣き出してしまわれた。
「おーい。まだ生きてますよー。生存してますよー。お父さんとお母さんより長く生きようねー」
てゆうか、うわ、腰に彼女の鼻水と涙が…。腰までベタベタかよ。
「グォオオオオオオ!!」
いつまで経っても俺たちを踏み潰せないことに苛立ったのか、トロルは足を振り上げては降ろすを何度も繰り返し、俺たちを力づくで踏み潰そうとしてきた。
が、
「案外、軽いんだな。」
俺は何度も振り下ろされる足を片手で掴んで、トロルの巨体を持ち上げてやった。
「グォオ?」
首を傾げる気配がする。疑問に思ってるようだ。こんなデカイ自分の巨体が浮くとは思うまい。
さて…
「とりあえず、まあ…投げてみますか」
俺は周りにいるゴブリン達目掛けて、軽くトロルを放ってやった。すると物凄い勢いでトロルは飛んでいき、ゴブリンをその巨体で蹂躙していった。
最終的にほとんどのゴブリンをトロルの巨体で弾き飛ばすことができ、ゴブリンのドロップアイテムでフロアが溢れかえった。
「へぇ〜、剥ぎ取りとかしなくていいのは、便利だな」
魔物は体力が尽きると普通に消滅してくれるらしい。さらに運が良ければドロップアイテムまで残してくれる親切設計だ。
「と、トロルは…?」
リリーが俺の腰に抱き付いたまま、辺りを確認する。まだ抱きついてたのか、お前。
ま、まあいいさ。そんなことよりトロルさんは…
「…グ、ゥ…」
嘘ん!?虫の息じゃん!!ちょ、実験も何も投げただけだよな!?Aランク冒険者云々は嘘だったのか!?
「グォオオオオ…」
トロルは最後の力を振り絞り、断末魔の叫びのようなものを上げて、消滅していった。
「う、嘘だろ…?なにも試せなかった…」
トロルのドロップアイテムなのだろう。なにやら大きな心臓のようなものを残して消滅しやがった。
物凄く期待外れなトロルだった。
実験結果
ーー手加減を覚えることから始めよう。
若干の違和感を感じながらもタイプを終了しますw
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