不幸少女リリー
スライムに襲われかけていた少女視点です。
「なんでっ…こんな目にっ!…」
リリー。それが私が唯一両親からもらった大切な名前だ。
私は生まれた時から奴隷として生活していた。親が奴隷だったので、その親から生まれた私も必然的に奴隷となるわけだ。父は男手としてどこかの商人から買い取られ、母は欲望に塗れた脂ぎった貴族のおじさんに買い取られていった。私は5歳の頃にそんな残酷で最悪な世界の一端を目にして、暮らしていた。
「来ないでっ!」
私は泣きながらも、若干自分の命を諦めかけていた。もう楽になってもいいかなって。
奴隷商人と思わしき人から、様々な事を教え込まれた。読み書き計算や性的な事、果ては魔物との戦闘方までだ。処女の方が高く売れるらしくて、体には手を出されなかったけど、失敗をする度に何度何度もぶたれた。何度も何度も泣いた。その度にまたぶたれる。そんな毎日だった。
それから何年か経って、私を買い取ってくれるという人が現れた。綺麗な服に身を包んだ上品そうな男の人だった。お母さんを連れて行った、嫌な人とは違ってえっちな視線は感じなかった。とても嬉しかった。たくさんたくさん喜んだ。これでもうぶたれないって!ごはんも1日に一回は食べれるって!私は甘い考えを持っていた。
買い取られて家に連れて行かれ、私は武器を持たされた。疑問に思いながら武器を腰につけていると、ご主人様が言った。
「これから森に行くよ」
◇
私は剣をひとつに森の深い所に放り出された。
「魔物を10匹、狩ってきなさい。そしたら帰ろう。」
私は唖然とした。戦闘方を学んでいるとはいえ、実際には戦闘をしたこともないような奴隷商人からの戦闘方など役に立つ訳がない。私はその旨を伝えると、
「じゃあ、いいよ。君はもういらない。」
私は簡単に捨てられた。
もともと物覚えの悪い私は、処女という点だけがウリであるため、ある程度の値段で購入出来た。捨ててもなんの痛みもないのだろう。ご主人様は私を置いて森から帰ってしまった。私は泣きながら謝ったけれど、ご主人様が許してくれることはなかった。
家に着いた時に気付いたことだが、ご主人様は魔物を奴隷に狩らせて、危なげなく儲けているような人だった。家もそれほど大きくはなかったし、でも傷だらけの奴隷は沢山いた。その時点で気付くべきだった。
それからは地獄の日々だった。森からの帰り道も分からず、ひたすら魔物から逃げ、弱い魔物を倒しては食べ、お腹を壊して吐いての繰り返しだった。そんなことを繰り返しているうちに剣は傷んでいき、ついには折れてしまった。戦うことが出来なくなり、何度もスライムなどの弱い魔物に殺されかけた。食べることも出来なくなった。今ではスライムを見るだけで足がすくんでしまう。
夜になる度に魔物の恐怖で泣いた。死にたくない、死にたくないって。だけど大きな声を出したら魔物が寄ってくるから、声を殺してずっと泣いていた。
そんな日々が何日か続いて、ついに私はスライムに追い詰められていた。
足に限界がきたのだ。もう走れない。お腹も空いた。我ながらよく頑張ったほうだろう。私は泣きながら助けを求めながらも、諦めに似た気持ちでスライムを眺めていた。
あーあ…。一度でいいからちゃんとしたご飯を食べてみたかったなぁ…。
私は物凄い勢いで迫ってくるスライムに恐怖し、目をギュッと目をつぶった。
だが、いつまで経ってもスライムの衝撃は訪れなかった。
見たこともないような所で区切ってみました。違和感が微妙にw
訂正感想是非聞かせて下さいー。